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第437回(2020年3月17日)

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各国は自国経済立て直しに奔走。1931年、英国マクドナルド挙国一致内閣が金本位制停止に踏み切ると、33年には米国も金本位制停止。世界の金本位制は崩壊しました。

第3にドイツへの対応。第1次大戦の敗戦国ドイツも世界恐慌の影響を受け、1931年6月、独ブリューニング首相が賠償金支払いは困難と表明。米フーバー大統領は賠償金の1年間支払い猶予を表明(フーバー・モラトリアム)。

フーバー大統領は1年(「暗黒の木曜日」からは約3年)で恐慌は終息すると考えていたようですが、事態はさらに深刻化。

1932年、日本の働きかけでドイツ債務問題を再度協議するローザンヌ(スイス)会議を開催。ドイツ債務問題は事実上棚上げされると同時に、英仏両国も自国の対米債務帳消しを企図。しかし米国は会議に出席せず、英仏の目的は果たせませんでした。

1933年のドイツの失業者は600万人(3人に1人)に増加、銀行破綻も発生。ドイツ経済の破綻はドイツに戦争債権を有する英仏経済も悪化させ、英仏から米国への債務返済にも影響が出て、米国経済も従前のようには回らなくなりました。

そのような中で、ドイツでは1933年1月、ヒトラーが首相となり、対米英仏の戦争債務(賠償金)は曖昧なまま第2次大戦に向かっていきます。

1933年6月、国際連盟主催のロンドン世界経済会議に67カ国が集まり、国際協調を協議したものの、米国ルーズベルト大統領は世界経済全体に責任を持つことを放棄。賠償問題、通貨問題で合意はまとまらず、結果的に第2次大戦につながっていきます。

3.デッド・キャット・バウンス

世界恐慌の影響を最も強く受けたのがドイツ。植民地が少なく、国内資源も少ないイタリアも破綻。日本は既に大陸進出を果たしていましたが、国内には地主制度等の古い社会構造が残り、農村不況が慢性化。資源と市場を海外に求める経済界と軍の圧力が強まりました。

「持てる国」英米仏と「持たざる国」日独伊の構造が明確化。後者は「生存圏」の拡張を掲げ、ドイツは東ヨーロッパ、イタリアは北アフリカとバルカン、日本は満州から中国本土へ進出。世界は第2次大戦への途を歩み始めました。

この間、米国ではルーズベルト大統領のニューディール政策が一定の成果をあげ、1937年には失業者が770万(14.3%)まで減少。しかし、それ以上には減りませんでした。

米国の失業問題は、第2次大戦開戦(1939年9月)後の1941年3月、武器貸与法が成立して連合国に武器を売却・貸与することが可能となり、「民主主義国の兵器廠」として軍需産業が大活況になったことによって改善。失業率は1%台に低下しました。

話題を現在に戻します。今回のコロナ恐慌による世界経済の動揺も、その背景に他の要因も影響していることを注意深く見極める必要があります。

大恐慌の背景にあった、過剰生産、投機、需要不足の3点は、現在の世界経済にも当てはまる面があります。

リーマンショック以降の主要国の超金融緩和の下で、人々の経済力の実態とはかけ離れた消費、生産、投機が行われる一方、実質的な消費購買力、需要は低下していた気がします。

大恐慌の時にはなく、今回のコロナ恐慌にのしかかる問題が2点あります。ひとつはグローバルなサプライチェーン問題。現在の事態が長期化すると、グロ-バルなサプライチェーンの破綻がコロナ恐慌を深刻化させます。

もうひとつは、根本的な問題です。そもそも新型コロナウィルス感染症がピークアウトし、その治療薬、治療法が開発されなければ、現在の事態が続くということです。

この2つの問題に警戒感を持ちながら、金融証券市場の動向を見極めなくてはなりません。

大恐慌では、株価暴落は1929年10月24日の「暗黒の木曜日」だけではありません。翌25日(金)、28日(月)、29日(火)の株価も暴落。むしろ、壊滅的下落は28日と29日。そして、株価暴落は1ヶ月間続きました。

株価(ダウ工業株平均)は1929年まで6年間上がり続け、当初の5倍となり、1929年9月3日に最高値381.17をつけた後に下がり始め、1ヶ月間で17%下落。その後約10日間で下げ幅の半分を回復したものの、その後また下落。下げ基調は加速していきました。

「暗黒の木曜日」の売買高は当時の記録破りとなる1290万株。市場が休みの週末、24日、25日のウォール街のパニックは全米の新聞で報道され、週明け28日には13%下落。

そして29日の火曜日、1600万株が売買され、壊滅的な株価崩壊。その日だけで140億ドルの市場価値が失われ、1週間の損失は300億ドル。米国連邦政府予算の10年分以上に相当し、第1次大戦で米国が費やした戦費をはるかに上回りました。

一時的な底値は11月13日の198.60。市場はこの時点から数ヶ月間回復し、翌1930年4月17日には294.07という2番目の高値をつけました。いわゆる「デッド・キャット・バウンス」です。

そこから再度下落、1年3ヶ月後の1932年7月8日に41.22をつけ、最高値比89%下落という衝撃的な水準に到達。米国及び世界の経済は崩壊しました。

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