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パンデミックと市場パニックの分析と展望

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欧米非常事態、中国では感染終息が視野に入ったか?

中国発の感染は欧州に蔓延した。イタリア、スペインでは武漢型の医療崩壊が起き、米欧は非常事態体制となっている。米国による対欧州渡航禁止、EU域内での移動制限と域内への渡航禁止などは、経済大動脈の遮断ととらえられ、市場にショックを与えた。新型コロナウイルス感染による世界需要の落ち込みはこれから深刻化するだろう。

しかし対新型コロナウイルス戦争の先に希望があることも確かである。新型コロナ感染という天災さえ克服されれば経済と市場は、大きく落ち込んだところから鋭角的に回復に向かうだろう。中国や韓国、北海道などの先行事例を見れば、欧州でもここ1~2か月で感染がピークアウトし治癒者が感染者を上回ることは見えている(南半球やアフリカ新興国などでの感染伝播リスクはあるが)。

この天災は全世界の非常事態共同戦線を形成させた。各国の非常事態宣言に次ぎ、米国の1%利下げとQEの復活、1兆ドル規模の財政出動に見られるように、各国当局は何でもありの政策総動を繰り出し始めた。欧日でも封印されてきた財政出動が一気呵成に出てくるだろう。年後半は、後述の三重の押上げ圧力も想定できる。

日本株式安全領域(margin of safety)に突入

留意すべきは1か月弱で3割というパニック売りの結果現出した、株式の極端なアンダーバリュエーションである。ことに日本株は配当利回りが3.1%、PBR0.9倍と、将来にわたって企業価値棄損され続けることまで織り込んだ。

ウォーレン・バフェットの師匠ベンジャミン・グレアムが説いた、何が起こっても絶対的に割安な安全領域(マージン・オブ・セーフティ)に奇しくも入ったのである。この割安さを是正するアニマルスピリットから、復興は始まる。企業と投資家にはこの危機をチャンスととらえる覚悟が求められる。

(1) 対新型コロナ戦争の勝利はいつか

全ては感染制圧にかかっている

株価がいつ何により底入れするかは、連鎖感染が遮断されるかにかかっている。基本シナリオは、今年前半で感染終息、後半は経済回復、株価上昇であろう。回復が緩慢か急速かは意見が分かれるが、急回復の可能性が高いのではないか。

①パンデミックによる生産急減で在庫払底、
②繰り越されているペントアップディマンドの発現、
③各国政府の何でもありの政策総動員による刺激効果、
の3つが想定されるためである。

他方、
①感染が完全に制圧できず人的接触に対する敬遠が続く、
②蒸発した需要(特に人的接触が必須の航空、観光、飲食、エンタメ等)の回復がスロー、
③企業破綻など悪循環も尾を引く、

の3つの理由から緩慢回復シナリオもあり、どちらに転ぶかは、パンデミック制圧と繰り出される各国政策にかかっている。

中国、韓国、北海道の先行事例

今欧州で猛威を振るっている感染制圧には、ほぼ新規感染者がなくなった中国、感染者急減の韓国、日本の北海道などの先行事例が参考になる。図表4は北海道の感染と治癒者の推移であるが、緊急非常事態体制が打ち出されてから2週間で感染者はピークを打ち、それから1~2週間で治癒者が増加し始め、数週間で現在患者数が高原状態に入るということが分かる。

新型コロナウイルスは感染力は高いが、軽症者8割、重症者2割のうち半分も短期で回復、死亡者の多くは高齢者か持病がある人と言われている(日本政府感染症対策本部専門家会議副座長尾身茂氏)。また致死率は1~2%と、不治の病と言われたペストやコロナ、サーズ(10%)、マーズ(35%)と比べれば毒性の低い感染症である。

また中国政府で専門家チームを率いる鐘南山氏のように、温かくなれば感染力が弱まる、との指摘は完全に否定されているわけではない。


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