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日本航空の再上場の評価

8/3、東京証券取引所は日本航空の株式上場を承認した。この再上場をいかに評価すればいいのだろうか。とくに、全日本空輸が実施した公募増資との比較が気になる。

日本航空の取締役会は、この再上場において最大の場合、企業再生支援機構が保有する全株式を売り出すと決議した。予定どおりに進めば、公的支援から完全に脱却できる。思い出すと、2010年12月1日、日本航空は更生計画に基づいて100%減資を行うと同時に、企業再生支援機構に対して1株2000円で1750億株の第三者割当増資を行い、3500億円の公的支援を受けた。現在、普通株式の96.5%を企業再生支援機構が保有している。

それから2年弱での早期の再上場である。もっとも、自民党が再上場に異議を唱えているらしいので、まだまだ予断を許さないのだろうが。

日本航空と全日本空輸を簡単に比較しておく。数字は2012年3月期のものであり、日本航空、全日本空輸の順である。

売上高(営業收入):1.20兆円、1.41兆円

営業利益:2049億円、970億円

経常利益:1977億円、634億円

総資産(資産合計):1.09兆円、2.00兆円

ここからわかることは、第一に、両社の売上高に大きな差がない。強いて言えば、全日本空輸は国内線の売上高が少し大きく、かつ旅行業務を有しており、この分だけ日本航空より少しだけ大きくなっている。一方、利益は日本航空の方が圧倒的に大きい。更生計画に際して日本航空は債務免除を受けたが、営業利益段階では債務の大きさは無関係である。ましてや、日本航空がかかえる繰越欠損金が効くのは税引き後の利益である。営業利益段階で全日本空輸と大きな差を生み出したのは、日本航空が図った資産のスリム化と事業の効率化への努力だろう。

日本航空の2012年3月期の利益は出来過ぎのきらいがあるし、日本航空自身が公表した今年度の営業利益予想は1500億円である。しかし、この予想利益水準でも全日本空輸の1.5倍に達する。

以上から考えると、時価総額で全日本空輸を大きく上回っても不思議ではない。その全日本空輸の公募増資後の時価総額は6000億円程度である。もっとも、全日本空輸の時価総額は、公募増資の影響が完全に織り込まれておらず、過大に評価されている可能性もある。とはいえ、日本航空の時価総額は、政治的混乱が及ばないかぎり、少なくとも全日本空輸を上回ると考えるのだが。

最後に、「では、投資するのか」と問われれば、残念ながら航空産業は過当競争過ぎ、投資魅力に乏しいと思っている。ということで、個人的には見送りだ。

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