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新型コロナで日本のテレビや新聞に感染者はまだいない? 感染者と接触した記者らはどうしてるのか

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米国メディアではイタリアや米国内で取材していた記者が感染した

4大ネットワークのひとつ「CBS」の子会社「CBSニュース」では16日にスタッフ6人の感染が判明。そのうちの1人は感染の拡大が社会問題化しているイタリア・ローマ在住のセス・ドーン特派員であることが明らかになった。AP通信によれば、ドーン特派員は「CBSモーニング」の番組の中で「微熱があり周囲の人を悩ませるほどの咳があったので検査を受けた」と語り、症状は軽いことも説明。

さらにABCでも感染者の多いワシントン州シアトルで取材していたロサンゼルス支局の記者が感染しており、同記者はすでに前週から隔離されている。またNBCでもニュース番組のスタッフ1人が感染。このスタッフが関わっている番組のキャスター2人は自宅待機となった。

出典:ヤフーニュース「米メディアにも感染者が急増 CBSはイタリア特派員を含めて6人」

日本のメディアの“衛生管理”は大丈夫なのか?

 テレビ局や新聞社・通信社など大手マスコミではこうした際には取材の際の「安全管理」「衛生管理」が徹底されるのが通常の動きだ。

 各社ごとに新型ウィルス感染拡大にともなう「マニュアル」も整備されている。

 こうした際に中心となる部署が報道局の中の「業務部」とか「報道管理部」などと呼ばれるセクションだ。

 大きな災害の際には、安全管理のための服装やヘルメット、長靴、戦争地の取材では防弾チョッキ、さらに食料などを調達する担当だ。

 軍隊用語で前線の兵士を記者に例えるならば、後方支援する役割を兵站(へいたん)と呼称し、英語だとロジスティックスになるので社内では“ロジ担”とも呼ばれる。

 当然、今回の新型コロナウィルスで必需品となる「マスク」なども“ロジ担”が用意することになる。

テレビでは取材する記者やレポーターはマスク姿、取材を受ける側はマスクなし、という映像が流されている

 よくよく考えればこうした映像はとても相手に失礼な感じに見える。

 マスクの着用が「記者が外部の感染から身を守るため」の防御のためだとすれば、記者は取材相手のウィルスが自分にかかってこないようにマスクをしているようにも見えるからだ。

 実際には、万一、記者がウィルスを持っていたとしても取材相手にはウィルスをうつさないような配慮という意味が大きいのだが、どうしてもマスク=自分を守るものというイメージが強いため、こうした映像を見ると筆者などは理屈ではわかっていてもやはり違和感を覚えてしまう。

今のところ日本の大手メディアの中で感染者が出たという報道はない

 もしどこかの放送局や新聞社から感染者が出たということになったら、その職場が消毒しなければならないし、相当数の社員らが感染者との濃厚接触者として検査を受けなければならなくなる。感染者が複数出て、職場がクラスターなどということになったら、新聞社もテレビ局も業務は完全にストップしてしまう。万一そんなことになってしまったら、ビジネスの上でも大打撃だし、感染者がいた「〇〇局」の記者やディレクターや「〇〇新聞」の記者は「取材を受けたくない」ということになってしまうだろう。報道機関としてはお手上げだ。

日本のメディアも「立ち会い」「土俵入り」で“全員マスク着用”

 報道機関の各社の仕事の仕方は大きく変わってきている。

 新聞社でもテレビ局でも午前中や午後などに「立ち会い」とか「土俵入り」などと隠語で呼ばれる打ち合わせの会議がある。

 政治部、社会部、国際部などの各部署のデスクらが一堂に会するもので、その日その日の取材方針と編集方針が協議される。

 たとえばテレビ局では夕方のニュース番組に向けて、あるいは夜のニュース番組に向けて、新聞社であれば夕刊や明朝の朝刊に向けて、とそれぞれの責任者と取材担当部のデスクらが見通しや取材や出稿予定を伝えるものだ。

 この「立ち会い」や「土俵入り」が参加者は全員マスク着用が義務づけられるようになった社が多いという。

 考えてみれば、この「立ち会い」は各部同士が口角泡を飛ばして激論することもある。飛沫感染を防ぐという意味では仕方ないだろう。

 さらに緊急を要しない取材のための飛行機移動や新幹線移動も原則に禁止したというメディアもあった。

「取材は2メートル離れて」と指示を出した大手メディア

 ある大手メディアがこうした指示を記者たちに出したケースも耳にした。あくまで「原則」なのだろうが、ブラックジョークのような通達だ。実際の取材現場は珍妙なことにななっていることだろう。政治家や警察官、官僚らの取材では「こそこそ話」を耳打ちで聞き取るケースも少なくないからだ。

 海外ニュースの映像で見たが、半径1メートル以内に他人が近づかないように自分の腰に円形の防御バリアを作った男性の姿があった。

 半径1メートルでもかなり大げさな印象だったが、2メートル離れて相手と話をしなければならないとは・・・。

 報道機関としては「過剰すぎるのでは?」とも思う。

「限りなくグレー」 

 実は新型コロナウィルスの感染の広がりが「ニュース」となった時期に、各社がコロナウィルス感染が広がった現場や当事者の関係者などを取材していた。特にテレビ局の場合には映像を撮影しなければニュースをつくりにくい面があるため、感染の現場や感染者の周辺に近づく必要がある。国内での感染が拡大した時期に複数の社で感染者などに濃厚接触したと思われる人間が一定数存在していたとメディア関係者は言う。そうした人間は検査を受けて陽性なのか陰性なのかを確認したのか? 「感染者」になることはないのか? 

 実はそうした人間は「自宅待機」の状態が続いていてまだ検査を受けていない状態だという。つまりPCR検査をすれば陽性になる可能性はあっても、検査を受けていないから実際に感染者なのかどうかはわからない。検査で陰性とされたわけでないから、シロと言えない状態。そんなグレーな状態が続いているという。あるテレビ局の関係者は「限りなくグレーな状態」だと表現していた。

テレビ・新聞各社に「自宅待機者」はどれだけ?

 今のところ疑わしい記者や番組スタッフがいる場合でも「自宅待機」の間に高熱が続くなどで発症が疑われない限り、それぞれのメディアでの感染者が出現したということにはならない。このためメディア各社では疑わしい人間がいても「自宅待機」という方法で現状をやりすごそうとしているように思える。結果としてメディアの「感染者ゼロ」という均衡状態がかろうじて保たれている。

  グレーな状態で自宅待機状態にある人について「○○テレビは△人」「××テレビは▽人」などとヒソヒソ会話が記者同士で実際になされたりしているという。

 だが、アメリカのCBSやABC、NBCの記者やスタッフらの感染のニュースを見る限り、日本のメディアでもいつ同じように記者やスタッフから感染者が出る状況になってもおかしくはないだろう。

 新型コロナで「医療崩壊」は最も憂慮すべき問題だが、どこかのメディアで感染者が出てしまって「報道崩壊」というような事態が起きてしまうこともやはり心配しなければならない事態だ。

 それを避けるためなら、今は取材者との距離の取り方などでやや過剰な面があっても仕方ないのかもしれない。

※Yahoo!ニュースからの転載

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