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主張/高速バス事故/危険性生む構造の見直しを急げ

夏休みで出かける機会も増えるなか、「格安」を売り物にする高速ツアーバスの事故がまた起きました。宮城県内の東北自動車道で、東京から仙台市に向かっていたバスがトラックに追突したのです。高速ツアーバスをめぐっては4月末に群馬県内の関越自動車道で7人が死亡する痛ましい事故があったばかりです。関越道事故を受け国土交通省が対策を強めた直後だっただけに深刻です。バスを使った帰省や行楽はピークを迎えようとしています。再発防止策は待ったなしです。

国交省も監査で見逃す

 今回の事故は一歩間違えば大惨事となるところでした。午前4時すぎという疲れがピークに達する早朝の発生は、4月末の関越道事故を思い起こさせます。前夜から乗務を開始した運転手がもっとも睡魔に襲われる時間帯です。

 追突したバス運転手(61)は「眠かった」「仕事がきつかった」などと話しているといいます。関越道事故でバス運転手が「疲れて居眠りした」と述べていたのとそっくりです。国交省は7月20日から、夜間運行の場合には1人で10時間を超える運行はできないという新基準を決めていましたが、バス会社は守っていませんでした。無理な乗務体制が事故の背景にあることは間違いありません。

 重大なのは、対策を強めていた国交省自身がバス会社の違反を見逃していたことです。同省は、関越道事故を受け実施した5~6月の緊急重点監査で事故を起こしたバス会社も調べていましたが、「重大・悪質な違反は認められなかった」としていました。7月の抜き打ち監査でも、同社が新基準に反した乗務時間体制をとっていたことをチェックできませんでした。

 1人乗務走行距離の新しい上限基準(670キロから400キロに短縮)については調べたものの、乗務時間は調査項目から外していたのです。せっかく新基準を決めても、おざなりの監査で終わらせては「絵に描いたモチ」です。監査方法の見直しは不可欠です。

 国交省はバス、トラック、タクシーを含めて10万を超える業者を監査対象にしているのに、300人程度しかいない監査体制では、そもそも無理があります。人員増と体制の強化が急がれます。

 高速ツアーバス事業を急速に拡大させ、「安全」を後回しにする状況をつくりだしたのは、2000年の自公政権下の「規制緩和」路線です。免許制から許可制に緩められたことで貸し切りバス事業への参入が容易になり、過当競争が引き起こされたのです。人件費まで犠牲にする「値引き競争」を生み出した「規制緩和」路線そのものを徹底的に検証し、参入のあり方などを含め制度の根本にメスを入れなければなりません。

同じ過ちは許されない

 「規制緩和」がもたらしたツアーバスの危険は早くから指摘されながら、国交省がまともな対策をとらなかったために07年の大阪府吹田市でのスキーツアーバス事故、今年4月の関越道事故と悲劇が繰り返されました。これ以上、同じ過ちは許されません。今回の事故は、関越道事故を受けて国交省が実施しつつある「安全対策」では限界があることを示しました。国民の命を守るために「規制緩和」を根本から見直し、政策転換することが求められます。

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