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日本だけが感染者数を低く抑え続けることは、疫学的・統計学的には非常に難しい〜日本は冷静にこの新型の疫病と持続可能な対策を講じるべき

ここへきてヨーロッパの状況の悪化が顕著です。

さて現在日本の新型コロナウイルスの感染状況を含め、国際比較をしつつ検証してまいりたいと思います。

この6日間(3月11日〜3月16日)の変化を検証します。

各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況の正確な情報が公開されている外務省のサイトは以下です。

外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/

まずは3月11日の国別感染者数推移①を見てみます。

■図1:新型コロナ国別感染者数推移①(3月11日現在)

※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
※グループ分けは『木走日記』付記
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

中国、イタリア、イラン、韓国の感染者数が突出していることが確認できます。

この段階でイタリア、イラン、韓国をグループAとします。

グラフの縦軸に着目してください、感染者数8万の中国までグラフに入れていますが、2番目のイタリアが範囲に入るように12000人(赤丸を付けました)が中国を除けば軸の最大値になっています。

この目の荒い軸では日本(568人)はほぼフラットな線に見えます。

次に、上記4国を除いた各国の感染者数推移②はこちらです。

■図2:新型コロナ国別感染者数推移②(3月11日現在)


※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
※グループ分けは『木走日記』付記
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

やはりグラフの縦軸に着目すると、最大が1900人(赤丸を付けました)と拡大されていますので、明らかに2つのグループが存在していることが見て取れます。

感染者数および伸び率から、上位のフランス、スペイン、ドイツ、米国をグループB、日本、スイス、オランダ、英国をグループCとします。

このように国際比較すると、日本は中国を除けば感染者数とその伸び率は比較的低い第三グループCに位置づけられます。

このサイトでは国別感染者数推移のグラフを今確認したように、上位国を確認するグラフ①と下位国を確認するグラグ②を、それぞれ縦軸の目盛りを変えて2つのグラフで表現しています。

さてたった6日間で2つのグラフは様変わりします。

まずは3月16日の国別感染者数推移①を見てみます。

■図3:新型コロナ国別感染者数推移①(3月16日現在)


※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
※グループ分けは『木走日記』付記
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

縦軸の最大が、中国を除けば12000人から24000人(赤丸を付けました)と倍になっていることに着目してください、これは5日前から比べて、2番目のイタリアの感染者が10149人から24747人に増えているためです。

さらに着目したいのは、グループB・Cからスペインが抜け出す形で韓国に迫り、グループAに加わっています。

3月16日の下位の国を、感染者数推移②で確認します。

■図4:新型コロナ国別感染者数推移②(3月16日現在)


※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
※グループ分けは『木走日記』付記
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

5日前は1900人だった縦軸の最大が、4倍以上の8000人(赤丸を付けました)になっていることに着目してください。
8000人に迫るスペインだけでなく、グループBのフランス、ドイツ、米国も感染者数が拡大していることも見て取れます。

グループCの中でも、少し見づらいですが、スイスと英国などが感染者数・伸び率共に増加していることが分かります。

新たにノルウェー・スウェーデン・オーストリアなどヨーロッパの諸国がグループCに加わっています。結果、このグラフでは日本はグループCの最下位に位置づけられています。

目立つのはこの六日間で欧米諸国で感染者数が爆発的に増えていることです。

国別の感染者の増加率をグラフ化してみました。

■図5:新型コロナ国別感染者増加率(3月11日〜3月16日)


※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
※『木走日記』作成

スペインはなんと4.78倍です、他の欧米諸国も軒並み2.4〜3倍以上です、驚くべきはこの感染者の増大がたった6日間で起こっていることです。

逆に中国と韓国は、1.001倍、1.062倍と感染者数に関しては収束に向かっていると見てよろしいでしょう。

さて注目するのは、六日間の国別の感染者の増加率が1.433倍の日本です。

この値をどのように評価しそしてどのような将来の感染者数推移の予測をするのか。

遠くない将来、この新型ウイルスも今までインフルエンザや流行性感冒がそうであったように、全世界的に国民の感染率がフラット(かつ高め)に近づいていくとすれば、抗体保有者も増えて落ち着いてくることでしょう、残念ながら今感染者数の少ない日本国もやがて感染者数は確実に増えていくことでしょう。

問題はそのペースだけであり、日本だけが感染者数を低く抑え続けることは、疫学的・統計学的には非常に難しいことでしょう。

つまり、欧米のような急激な感染者爆発でイタリアのように医療リソースが破綻することは絶対に避けなければなりませんが、このウイルスとの戦いは、かなりの長期戦を覚悟しなければなりません。

とすれば、医療破綻を避けつつ、しかし経済破綻してしまうような持続不可能な無理のある対策も避ける、絶妙なバランスの政策が求められると考えます。

前回私は日本は「自粛要請を打ち切る政治的決断の時」だとのエントリーさせていただきました。

安倍首相の責任において自粛要請を打ち切る政治的決断の時
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/03/15/182113

主張のコアの部分を再掲します。

ここは政治的決断の時です。

安倍首相の責任において自粛要請を打ち切ると共に、国民に新型コロナウイルスとの戦いは、「短期決戦型」の勝利は不可能であることをわかりやすく説明をしていただきたいです。

新型コロナウイルスを短期で撲滅することはその感染力からほぼ不可能であること、しかしながら今までのインフルエンザや感冒と同様に、中長期的に人間社会と「共生」させることは可能であること、やがて人類にとって毎年のようにはやる流行性感冒が一種類増えただけという当たり前のような存在になること、医学的・科学的知見を得た上で、国民心理をパニックに陥らせないように説明していただきたいです。

そのうえでこれ以上、自粛要請の延長は、現在まで判明した疫学的事実は徹底的に配慮した上ですが、全面的に解除すべきです。

ここは政治的決断の時です。

長期間でも持続可能な柔軟なウイルス対策を取るべきであり、全国一律のイベント中止要請など経済的に破綻してしまうような、政府による自粛要請は、この際解除すべきだと考えます。

解除したとして、学校の休校期間は、公立校は各自治体の判断に委ね、私学は各学校法人の判断に委ね、各イベントの開催するかしないかも官民のそれぞれの主催者の判断に委ねればよろしいと思うわけです。

また万が一、解除によりその反動で感染者数増加の兆候が見られたら、すぐに政府による必要な対策を復活すると、解除の際条件を付けるのも有効だと思われます。

中長期的には日本だけが感染者数を低く抑え続けることは、疫学的・統計学的には非常に難しいと考えます。

日本は、欧米とは独自に、冷静にこの新型の疫病と持続可能な対策を講じるべきだと考えます。

(木走まさみず)

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