さて、新型コロナで大騒ぎな世間でありますが、我々カジノ業界も大変な局面に直面しています。2018年にIR整備法が成立しカジノ合法化がなされた我が国ですが、そもそもの予定では今年1月にIR整備区域選定の為の基本方針が国から公示され、それを元にIR導入を希望する各自治体による事業者選定、そして来年1月~7月にかけて国が各自治体からの申請を受け取るというプロセスが始まる予定でした。
ところがそれが、昨年末発生した500ドットコム社を巡るIRに関連した贈収賄疑惑事件の発生によって、そもそも今年1月に予定されていた基本方針の発表が延期、3月から4月にかけて改めて発表を行うとの予定だったわけですが、それが新型コロナの発生で現在のような社会環境に突入してしまったわけです。
で私、正直思うのですが、今の状況で来年1月~7月にかけて各自治体からの申請を受けるのって無理じゃないですかね、って話。新型コロナはその蔓延の発端となった中国本土から日本、韓国などを含む東アジア地域に広がり、現在では欧米圏で蔓延が始まっています。WHOは既に3月12日に新型コロナウィルスは世界的パンデミック期に突入したことを宣言し、アメリカや欧州各国では非常事態宣言を行い厳戒態勢を敷く国も増えました。
この様な状況下にあって、世界の株式市場、外国為替市場は既に大混乱の途にあり、何よりも新型コロナに対する社会的緊縮体制によりカジノ業界が属する観光・レジャー産業全体が先行き不透明な状況に陥っています。
もし、日本政府がそもそも予定していたスケジュール通り、我が国のIR導入計画を進めるとなると、今年、少なくとも今年の後半にはIR導入を希望する各自治体が、それぞれが指定するIR整備候補地に対して各事業者から開発計画を募り、当該地域における開発候補者の選定を行わなければならないわけですが、現在の環境下でそんなこと出来るんでしょうか?まずもって自治体側は新型コロナ対策で大変なことになっていますし、一方の事業者側だって刻々と状況がかわる既存事業の営業下で厳しい対応が求められています。
何よりも、この新型コロナ禍がいつ明けるか判らない中で、資金調達も含めて5年後に向けた新たな開発計画を立てられる事業者がどれほどいるのか。そんなこと百も承知で無理やり入札を進めることも可能なのでしょうが、おそらくカジノ事業者側に資金を提供をする金融機関側が現在の不透明な市場下ではまともに資金提供を出来ないでしょう。結果、今無理やり入札をやっても、おそらくまともな計画も建たず、期待をだいぶ下回る提案しか各事業者から集まらないように思えます。
ということでまずは問題提起として、本当に当初のスケジュール通りIR整備プロセスを進めるのですか?という問いかけをしておきたいと思います。
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- 2020年03月16日 11:24