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新型コロナ対策、協力よりも対抗が優先? 日本を敵視する文在寅政権、背景に総選挙への意識か

 新型コロナウイルスの感染者数が累計で8000人を突破した韓国。地域別に見ると、新興宗教団体で集団感染が起きた南部・大邸が約6000人と最も多く、首都ソウルのコールセンターでも集団感染が発生しているが、1日の新規の感染者数は鈍化、退院者数が上回ったとも報じられている。

 これまで韓国は2013年のMERS対策に沿った対応として、韓国CDCを中心に“ドライブスルー方式”と呼ばれる積極的なPCR検査を実施、“コロナ3法”を議決、罰則付き・個人情報監視システムも運用してきた。

 13日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した同志社大学の浅羽祐樹教授は「直近のMERSでかなりの死者が出たので、CDCのトップを次官級ポストに上げるなどの対応を取ってきた。日本では韓国のドライブスルー方式が素晴らしいと言う人もいれば、あれはやり過ぎで、そのために医療崩壊が起きていると言う人もいるが、そもそも感染拡大の経緯が日本とはかなり違っている。国民が不安になるので、きちんと新興宗教団体の信徒20万人を調査しようとしたことが一つ、そして現金を使わない社会なので、スマホのGPSや決済の履歴で移動経路を辿ることができる。そこで小規模のクラスター感染が起きたソウルの複合施設に入っている人や、立ち寄った人も全部調査するという体制を敷いた。しかし新興宗教での著しい拡大によって病床がいっぱいになり、このままでは大邱市の医療が崩壊してしまうということで、軽症の人は入院させないようにした。ただ、ソウルでの感染には注視しないといけないし、首都圏で重症者が増えることに備え、医療資源を強化する対策を取っている」と話す。

 また、「CDCが毎日10時と17時にブリーフィングをしていて、国民に対して情報が適宜、詳細に提供されているし、マスクは生まれ年の末尾の数でもらえる曜日が決まっていて、どこの薬局に在庫がどのくらいあるかが分かる。こうした透明性について韓国政府は“我が国が世界で新しいモデルを提供できるかもしれない”と誇っている」とした。

 他方、今月1日には文在寅大統領が「共に危機を乗り越えて、未来志向的な協力関係のために共に努力しよう」と日本に呼びかけていたものの、6日には康京和外相が「事前通告もなく措置を強行したことについて慨嘆に堪えない」と怒りを露わにした。

 火種となったのは日本政府による入国規制だ。韓国と中国に対し、発行ビザの効力停止や観光目的の来日を自粛する要請のほか、入国者には政府が指定した施設で2週間の待機を要請するというものだが、韓国政府は猛反発。対抗措置として、日本人に対するビザ免除を停止し、事実上の入国禁止にした。さらに、日本全域を対象に旅行警戒レベルを1段階引き上げる決定をしている。

 現在、韓国からの入国を制限しているのは120カ国以上。その中で、なぜ日本に対してこれほど強い反応を示したのだろうか。韓国各紙の社説を見ていくと、中央日報「日本の措置は遺憾だが、極端な対立は防ぐべき」、朝鮮日報「日本はやっと中国を遮断、世界から孤立する韓国は日本にだけ憤怒」、東亜日報「最小限の信頼すら一蹴した日本…。中国には黙り、日本には文句を言う文政権」となっている。

 浅羽氏は「GSOMIAや輸出管理、徴用工問題もあるので基本的に信頼関係がなかったし、日本側に政治的な意図があるというのが韓国側の理解だ。だから我々も対抗するというロジックになっている。加えて、検査数も少なく、情報提供も劣っている日本が、すばらしい感染症対策を取っている我々より先に入国禁止措置を講じるのが我慢ならないという考えだ。しかし、メディアも国民も真っ二つに割れていて、与党支持者は“文在寅政権はよくやっている”だが、野党支持者は“文在寅政権はダメだ。中国を止めないにも関わらず日本を止める。均衡が取れていない”と言っている。来月15日に総選挙もあるので、そもそも文在寅政権を支持する・しないによって、行う政策を支持する・しないも分かれてしまっているところがある」と説明する。

 「しかし、こういう実務的な問題に関しては、政治的な葛藤があっても、本来は粛々と情報共有もできる分野。そこでオーバーラップしてしまい、民間の人的交流の部分にまで影響してきているのは非常に残念だ。ビザなしで年間1000万人が行き来し、メディアなどを経ることなく自分の目で見て耳で聞いて語れるということが日韓関係を下支えしていた。防疫の観点でやむを得ない部分はあるが、そうした交流が当座の間、途絶えてしまう。日本はとりあえず3月末までと期限は切っているので、収束に向かうようであれば止めてほしい」。

 国会(一院制)の定数300の議席を争う韓国の総選挙。文大統領を擁する与党。「共に民主党」の現有議席129に対し、最大野党「未来統合党」は113となっている(議席数は韓国メディア報道より)。

 浅羽氏は「どちらが勝つか、読みづらい局面だ。ただ、日韓関係の最大の懸案事項である徴用工の問題では、今年中、早ければ上半期に現金化の措置が取られるかもしれない。そうなると、もう一度、底が抜ける可能性がある。その時にどういう措置を取るのか、日本は考えておかないといけない。韓国は今年の経済成長の伸びを2%で予定していたが、0%台まで落ちるだろう。非常に深刻な事態で、桁違いの補正予算を組んでいる。経済が止まってしまうことで死んでしまう人の方が、ひょっとしたらコロナで死んでしまう人よりも多くなるかもしれない。トータルの中でどういうプライオリティで施策をやっていくのかが問われる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:新型コロナで日韓関係は再悪化!? 入国規制になぜ対抗措置?

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