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弁護士「東京五輪のボランティアは途中でバックレてもOKです」

ボランティアなら職場放棄もOK

東京オリンピック・パラリンピックのボランティアが人気だ。内容は案内や競技のサポート、関係者移動時の運転など。炎天下であることを考えると楽ではないが、募集枠8万人に18万人以上が応募した。「やりがい搾取」との批判はあったものの、フタを開けてみると、タダ働きでいいから大会を盛り上げたいという善意の人が大勢いたようだ。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Joel Papaliniあああ

しかし2019年11月、そのボランティアの心をざわつかせる動きがあった。バイト情報誌に、東京2020スタッフの求人広告が掲載されたのだ。職種はボランティアと重複するものもある。20年4月から同一労働同一賃金を定めた改正労働者派遣法が施行されるが、かたや無償、かたや有償では格差どころの話ではない。これは問題ないのか。住川佳祐弁護士はこう解説する。

「同一労働同一賃金は、正社員と非正規の間の話。そもそもボランティアは労働者ではないので関係ありません」

やることが同じだとしたら、なぜかたや仕事で、かたや奉仕になるのか。違いを分けるのは「使用従属性」だ。これが強いと労働者となり、なければボランティアとなる。

使用従属性を判断する大きな要素の1つが、拘束性だ。

「活動の最中に帰ってもペナルティがなければ、拘束されているわけではないため、使用従属性がなくボランティアといえます。逆に『無責任だ。帰るな』と無理に引き留められたら労働者性が増します」

募集要項によると、活動時間は1日8時間程度。時間が決まっていると拘束性がある気がするが……。

「組織委員会もボランティアを選ぶ権利はあります。だから事前に条件を提示するのは問題ない。ただ、選考後に辞められたり途中で帰られても文句は言えない。だからこそ、拘束可能なアルバイトを有償で雇うに至ったのでしょう」

炎天下の活動で熱中症になったら……

使用従属性を左右する別の要素に、対価の有無・程度がある。報酬が出れば、労働者性は高くなる。大会ボランティアは無償。ただ、交通費として1日1000円のプリペイドカードが支給される。

「交通費名目でもお金を受け取れば有償ボランティア。有償ボランティアは法的にグレーで、本当は無償のほうがすっきりします。交通費支給はブラック批判に対する苦肉の策だと思いますが、かえって労働者性が増しましたね」

労働者ではなくボランティアだったとして、気になるのは熱中症で倒れるなどのトラブルに見舞われたときだ。

「労働者ではないので労災は適用されません。ただ、労働者として特別に保護されないものの、原則に戻って民法の法理で判断されます。組織委員会に過失があれば、損害賠償請求は可能です」

大会の成否はボランティアにかかっている。組織委員会には、ボランティアがモヤモヤせず、気持ちよく活動できる環境をぜひつくってもらいたいところだ。

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村上 敬(むらかみ・けい)
ジャーナリスト
ビジネス誌を中心に、経営論、自己啓発、法律問題など、幅広い分野で取材・執筆活動を展開。スタートアップから日本を代表する大企業まで、経営者インタビューは年間50本を超える。
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(ジャーナリスト 村上 敬 コメンテーター=QUEST法律事務所 住川佳祐 図版作成=大橋昭一)

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