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福原愛選手の素晴らしい「スポーツ外交力」を見習え〜韓国中央日報も石原都知事も怒ってばかりじゃダメでしょ

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 スポーツ事はずぶの素人である不肖・木走でありますが、それにしても今回のロンドンオリンピックは「誤審」とか「無気力試合」とかトラブルが多発していますよね。

 で、お隣の韓国なんか国民性なのでしょうか、そうとうカッカした論調のメディアの記事があり興味深いわけですが、その当りをご紹介しながら、今回は我が国の「スポーツ外交力」について、読者のみなさんと考えてみたいと思います。

 1日付け韓国の中央日報記事は、「ロンドンオリンピック(五輪)が「誤審」で汚されている。オリンピック精神が傷ついている。犠牲者は韓国選手だ」という強烈な怒りの言葉で始まります。

<五輪>“誤審オリンピック”4件のうち3件が韓国…スポーツ外交力が問題?

2012年08月01日08時55分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/647/156647.html?servcode=600&sectcode=670

2012ロンドンオリンピック(五輪)が「誤審」で汚されている。オリンピック精神が傷ついている。犠牲者は韓国選手だ。

31日未明(日本時間)に行われたフェンシング女子エペ個人の準決勝で、シン・アラム(26、鶏竜市庁)はあきれるような判定に泣いた。シン・アラムはハイデマン(ドイツ)と5-5の状況で、延長戦終了1秒前に攻撃を許した。しかし、この1秒がおかしかった。ハイデマンが4度も攻撃したが、時計はずっと止まっていた。シン・アラムは延長戦でアドバンテージを確保していたため、1秒だけ持ちこたえれば決勝に進出できた。シン・アラムは1時間もピスト(フェンシング競技台)で涙を流し、韓国のコーチは強く抗議したが、判定は変わらなかった。シン・アラムは3位決定戦で中国選手に敗れ、メダルを獲得できなかった。

 「韓国ばかりが犠牲になっている」とはちょっと被害妄想じゃないのかと苦笑せざるを得ないのですが、記事は日本や中国に比べて「スポーツ外交力が落ちる韓国だけが誤審の犠牲になっている」のだと主張を展開します。

なぜ韓国だけが犠牲になるのか。特定種目を掌握した国の力が考えられる。フェンシングは欧州、水泳は米国・カナダなど西欧先進国の勢力が強い。韓国はフェンシングでドイツの選手に勝利を譲った。朴泰桓の失格を宣言した審判は米国人(ポール・メモント)だった。自国が掌握する伝統種目を蚕食する新興強国に対し、牽制心理が作用したということだ。

アジア3大スポーツ強国のうち中国は誰も手を出せない地位を確立していて、日本も国際スポーツ舞台で強い影響力を発揮している。日本は31日、男子体操団体戦の決勝で強く抗議して点数を0.7点高め、4位から2位に上がった。スポーツ外交力が落ちる韓国だけが誤審の犠牲になっている状況だ。

 そしてアン・ヨンギュ韓国体育大教授の「これ以上の犠牲を出さないためにはスポーツ外交力や情報力など総体的なスポーツ国力を高める必要がある」との言葉を載せています。

アン・ヨンギュ韓国体育大教授(体育哲学)は「最近相次いだ誤審はスポーツ強国を自負する欧州国家の横暴だ。これ以上の犠牲を出さないためにはスポーツ外交力や情報力など総体的なスポーツ国力を高める必要がある」と述べた。

 なんだかなあ、「スポーツ外交力」って言葉も初めて聞きましたが、お気持ちは分かりますがもう少し冷静になられたほうが良いのではないでしょうか、あくまでオリンピックはスポーツの祭典つまり「お祭り」でしょ、とまあ私などは思ってしまうのですが、国際大会で多くの国でナショナリズムが高まるのは理解はしています。

 で、この後、例の世界バドミントン連盟(BWF)が「無気力試合」で韓国4人・中国2人・インドネシア2人の8人の選手を失格(disqualify)処理いたします。

 国際的大ブーイングが発生しますと、中央日報の論調は一転、「犠牲者」から「国の恥さらし」とお怒りのベクトルが180度変節していきます。

<五輪>バドミントン無気力試合で非難…オリンピック精神に泥、国の恥さらし(1)

2012年08月02日09時35分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/746/156746.html?servcode=600&sectcode=670

 記事は最後まで抗議していた韓国チームだけが「体面を汚すことになった」とお怒りです。

これに対し、韓国とインドネシアのチームが抗議した。「中国はこれまで何度か無気力試合をしてきたが、BWFは黙認した」という趣旨だった。しかしインドネシアはその後、抗議を自主的に撤回した。中国は電子メールで声明を発表し、「BWFの決定を尊重する」という遺憾声明を出した。結局、韓国チームだけが体面を汚すことになった。

 で3日付け社説では「正々堂々と競うのがオリンピック精神だ」と掲げます。

【社説】正々堂々と競うのがオリンピック精神だ=韓国

2012年08月03日08時57分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/825/156825.html?servcode=100&sectcode=110

 社説では韓国選手の「無気力試合」を指して「韓国スポーツ史上初めて経験する恥だ」とお怒りです。

ロンドンオリンピック(五輪)バドミントン女子ダブルスに出場した韓国選手が「無気力試合」をし、世界バドミントン連盟(WBF)に全員失格とされたのは恥ずかしい事件だ。オリンピック競技場でこうした無気力試合をした韓国選手4人が中国選手2人、インドネシア選手2人とともに退去させられたのは、韓国スポーツ史上初めて経験する恥だ。

 うむ、お気持ちは分からんでもないですが、オリンピックはたかがスポーツのお祭りのわけですから、そう力まずに愛でるように楽しむのがメディアとしても疲れなくてよろしいのではないでしょうか、読んででも「犠牲者」とか「国の恥知らず」とかちょっと日によって落差ありすぎで、血圧は大丈夫ですかと要らぬ心配をしてしまいます。

 ・・・

 自国の選手の動向をアツく報道する韓国メディアをご紹介しましたが、まあオリンピック競技は「平和の祭典」なのであり外交戦術で語るのは間違いであるなどと、綺麗な正論で批判するつもりはありません。

 特に開催国誘致戦などは毎回のことですが、まさにその国の外交総合力が問われるのも事実なわけです。

 で、我が国の「スポーツ外交力」でありますが、中央日報記事では「日本も国際スポーツ舞台で強い影響力を発揮している」と書かれていますが、東京オリンピック誘致にご執心の石原都知事の言動を見るに付け、ちょっとなあと、私などは日本の「スポーツ外交力」に懐疑的に穿ってしまうわけです、ハイ。

 例えば、石原慎太郎知事は今回のロンドン五輪開会式への出席などを予定していましたが、体調不良のため渡英を中止しています。

石原知事:体調不良で渡英中止

毎日新聞 2012年07月19日 20時15分(最終更新 07月19日 22時02分)

http://mainichi.jp/select/news/20120720k0000m040075000c.html

 この毎日記事に寄れば、石原知事は20年夏季五輪の東京招致委員会長として各国代表や国際オリンピック委員会関係者に協力を求める予定だったそうで、知事の渡英中止は誘致戦で不利になるような論調になっていますが、まあご高齢のことを考えれば「体調不良」では致し方ないと思われますが、本当の問題は実は体調不良で渡英を取りやめたことではないところにあります。

 7月26日産経新聞記事から。

石原知事にIOC委員反発

2012.7.26 19:17

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が26日、国際オリンピック委員会(IOC)委員に選ばれた。2020年夏季五輪の東京招致には大きな弾みになると期待されるが、アジアのIOC委員からは東京都の石原慎太郎知事の発言に反発が出ている。

 「知事発言は問題を起こしている。IOC委員から不満も出ている。彼はだまっているべきだ」。あるアジアの古参委員は、顔をしかめた。日中両国や台湾が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)を都として買い取るとして、強硬な姿勢を示す石原知事に不快感を示した。

 JOCは招致活動を推進するため、ロンドン五輪で選手村外の活動拠点となるジャパンハウスを、IOC委員が宿泊するロンドン中心部の高級ホテルのそばに設置。約2億円で借り上げた施設で、開催都市決定の投票権を持つIOC委員に積極的にアピールする作戦だ。(ロンドン 共同)

http://sankei.jp.msn.com/london2012/news/120726/otr12072619200014-n1.htm

 この産経記事によれば「知事発言は問題を起こしている。IOC委員から不満も出ている。彼はだまっているべきだ」とIOC委員が発言しています。

 私は、イデオロギーは抜きにして、石原知事は「スポーツ外交」にはまったく一番向いていないタイプの政治家ではないかと思っています。

 彼は不用意な発言が多く敵を作りすぎます。

 また、相手に頭を下げることを嫌いますから、しなやかな巧みな外交戦術を取ることができないのです。

 例えばですが、わざわざ大阪に行って橋下市長と密談をしたとき、維新側は誰しもが石原知事から新党構想とその新党と大阪維新の会の連携の打診があると思われたのですが、石原都知事からは新党の話はいっさいなく、身構えていた橋下市長サイドは肩透かしに会いました。

 これなどは石原都知事の交渉力の限界をよく示しているエポックだと思います。

 つまり彼は年下の橋下市長に頭を下げて連携をお願いするなど、断じてできなかったのです、断られて面子がつぶれることを彼のプライドが許さなかったのです。

 絶対に頭を下げないというこの頑固一途な交渉スタイルで、さてオリンピック招致戦というスポーツ外交の舞台で各国の支持を集めることが可能なのか、私はもう少ししなやかなスポーツ外交力を身につけないと東京誘致という彼の「悲願達成」にはおぼつかないのではないかと穿っています。

 各国の共感を呼ぶようなしなやかな「スポーツ外交力」、そのよいお手本が卓球の福原愛選手に見ることができます。

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