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「高貴な方々」も大変なのだ どこが違う?日本の皇室と英の王室 最終回

トップ写真:ウィリアム王子とヘンリー王子 出典:Wikimedia Commons;Carfax2

林信吾(作家・ジャーナリスト)

【まとめ】 

ウィリアム、ヘンリー王子は、幼い頃から「賢兄愚弟」。

・故ダイアナ元妃も不倫の事実あり。

・日本皇室問題で「金銭トラブル」という表現はメディアが自主規制。

年末年始、日本では有名芸能人の不倫が相次いで報じられ、騒がれた。

ほどなくコロナウィルスの騒ぎが起きて、はからずも「鎮静化」してしまったが。

かつて「不倫は文化だ」と言い放った俳優がいたが、私はこの意見には与しない。基本的には単なるエッチに過ぎないからだが笑、人間にとって不治の病のようなものかも知れない、とは思っている。

その話はひとまず置いて、私はTIMES電子版を購読するなど英国発のニュースには常に目を配っているが、3月初旬にウィリアム王子夫妻がアイルランドを訪問した際、スピーチの中でコロナウィルスを引き合いに出したという話は、さすがに笑えなかった。

「私たちがウィルスを広めに来たかも知れない。握手したくないという方は、どうぞそのように(握手しないでください)」

と述べたというのだ。

▲写真 ウィリアム王子 出典:Wikimedia Commons; Frankie Fouganthin

日本の読者には、順を追って説明しなければならないが、かつて北アイルランドにおいてはカトリックとプロテスタント、それぞれの過激派と英軍が、激しい武力闘争を繰り広げ、多くの血が流された。

そして、今またブレグジットのあおりを受けて、またもや「国境問題」が再燃しようとしている。このアイルランド問題とブレグジットの問題は、どちらも私が報告させていただいたので、過去記事を検索していただきたい。要するに、ウィリアム王子は、自分が再び「歓迎されないイングランドの王族」の立場になってしまったということを、コロナウィルスにかこつけて笑いをとろうとしたわけだ。

いかにもイギリス紳士らしい自虐的なジョークではあるが、日本の愛国者としては、

「謹んで申し上げます。貴国が寄こしたクルーズ船のおかげで、こちらは国中ひっくり返る騒ぎになっているのですが」

とでも返したくなるではないか。

クルーズ船に罪はないことなど百も承知だが、ジョークにも時節柄ということがあるだろう、と思えたのである。もっとも、こんなセリフが英語に翻訳されたら、

「これだから日本人はシャレが分からない、と言われるんだよ」

とでもいった反応になりそうだが。

さて、本題。

チャールズ皇太子の長男ウィリアム王子と次男ヘンリー王子は、幼い頃から「賢兄愚弟」といった目で見られてきた。勉強熱心で、セント・アンドリュース大学でも、望めば大学院に行けたというほど成績優秀だった兄に対して、弟は11歳の時から飲酒・喫煙を覚え、パブリックスクール(中高一貫の私立校)時代にアルコール依存症の治療を受けたことまである、と聞いたら、それも無理はない話だと思われるかも知れない。

ただ、その背景に、ある「噂」がからんでいる可能性があったとしたら、どうだろうか。

兄弟の母親である故ダイアナ元妃が、夫チャールズ皇太子の不倫に長年心を痛め、最終的には離婚に至ったことは、日本でもよく知られている。

ただ、ダイアナ元妃にも、不倫の噂があった。今では、事実であったことが確認されている。相手は、近衛騎兵連隊のジェームズ・ヒューイット少佐

英国陸軍には今も騎兵連隊が組織されているが、もちろん馬に乗って戦場に駆けつけるわけではなく、平時はパレード要員、いざ戦争となれば機甲部隊に姿を変えて出撃……という存在だと思えばよい。少佐自身、1991年の湾岸戦争に従軍している。

ともあれ騎兵でポロの選手でもあった少佐が、元妃の乗馬のインストラクターに指名されたことから、親密な関係になったとされるが、問題は、この少佐こそヘンリー王子の実の父親であったのではないか、との噂が広まったことだ。

二人とも赤毛で、顔だちもどことなく似ていたためで、また「火のない所に煙は立たぬ」という要素もあったわけだが、少佐自身はこの噂を即座に否定した。

なんとなれば、王子は1984年生まれ。少佐と元妃が親密になったのは1986年以降のことなので、親子関係ではあり得ない、というのである。

▲写真 ダイアナ元妃 出典:Flickr; Joe Haupt

エリザベス2世女王はそれでも納得せず、DNA鑑定を命じたとまで噂されたが、最終的には「シロ」と結論づけられた。

その後、前述の湾岸戦争などもあって二人は破局したが、この間男、もとい、少佐ときたら、ダイアナ元妃の死後、彼女からの手紙をメディアに高額で売りつけようとしたり、不倫の顛末を得々と語った本の印税で家を買ったり、家だけでなくコカインまで買って逮捕されたりと、ろくなものではなかった。

ちなみに、1994年に退役しているので「元少佐」と記すのが正しいのだが、こんな男の肩書などもはやどうでもよい、と言いたくなるのは、私だけではないだろう。

いずれにせよ、多感な思春期にこのような噂を立てられ、かつ両親の離婚を経験した王子にしてみれば、早い話が「グレてやる」といった心境になったとしても、まあ同情の余地くらいはある、と私は考えるのだ。今となっては、あまり賛同は得られそうもないが。

日本のプリンセスにせよ、相手の男性よりもその親族がトラブルを抱えていたせいで、結婚に難色を示す人が多い、というのは、本当にお気の毒と言うほかはない。

ただ、今回この連載のために、週刊誌の過去記事などを調べてみたが、もともとはこの男性が、プリンセスとの電話の内容をメディアに得々と語るといったことがあり、かなり早い段階から皇室の内部では、結婚を危惧する声があったらしい。親族の金銭トラブルが浮上したのは、その後なのだ。

ちなみに、この「金銭トラブル」という表現は、今ではマスコミで使われることが減ってきている。くだんの男性側からの申し入れもあったが、今次の結婚問題がどのような結果を見るにせよ、記者会見が開かれた際に締め出されてはたまらない、という「忖度」どころか自主規制だというのだから、おかしな話だ。私はそうした利害関係がないので、堂々とこの表現を使っているが。

ネットもいろいろと検索してみたが、この問題に絡んで、ある漫画家が、

「わしが400万円出す」

と発言したとの記事まであった。だから若い二人の自由にさせてやれ、ということのようだが、そういう問題でないことは自明の理で、ここまでくると、あんたはペンネームを「わるのり(悪乗り)」に変えたらどうだ、という返しくらいしか思いつかない。

シリーズ第1回で述べた通り、税金や世襲の財産で生活を保障されている人たちが、世間から厳しい目を向けられることは、致し方ない。しかしながら、一挙手一投足が注目の的になる生活は、さぞや大変だろう、と考える惻隠の情くらいは、失いたくないものだ。

有名芸能人と違って、あの人たちは望んでその地位についたわけでもないのだから。

その1その2その3その4 :本シリーズ全5回)

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