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『Fukushima50』に学ぶこと 臨時休校ワタミ50万食支援

政府の臨時休校要請を受けて、「ワタミの宅食」では昼食に困る子供たちに、栄養バランスに配慮したお弁当を商品無料で自宅まで届ける緊急支援策を決定した。400万件をこえる問い合わせがあり、50万食のお届けを昨日(9日)から開始した。

赤字だが、生活インフラ企業として上限いっぱい引き受ける決断をした。工場の生産体制を引き上げ、全国500営業所を動かすには、的確な指示が必要だ。現場の声を聞き、決断や指示を出し、事業責任者に「あとはおまえに任す」と、繰り返す毎日だ。

明日で東日本大震災から丸9年を迎える。「3・11」以降、福島第1原発に最後まで残った50人の作業員を描いた、映画「Fukushima50」を先月ひと足先に鑑賞した。当時の日本は、経験や政策力でなく、それまでの自民党や官僚への不満で、国民が「大衆迎合」で選んでしまった民主党政権であった。原発事故の国家危機の最中、映画の中で描かれていた総理は、常にイライラし、まわりを怒鳴り散らし、原発や東電に乗り込んでいた。指揮命令系統の混乱やリーダーが冷静でなかった。ただリーダー(政権)を選んだのは国民だ。

経営者目線の組織論として「現場から離れている人間が判断してはダメだ」という一言に尽きる。いかに現場に任せるかが重要だ。さらに、東京電力の本店は、現場よりも官邸の顔色ばかりをうかがい、危機を乗り越えるという本来の目的から外れていた。

映画の中では、渡辺謙さん演じる福島第一原発の吉田昌郎所長の役が一番ポイントだ。吉田所長が、事故以上に戦ったのは東電本店や官邸だったようにみえる。

私は「組織は放っておくと、本部が大きくなる」と常に思っている。東電もMAXまで組織が肥大化した例だ。映画を通して、地震大国日本で、原発がいまなお稼働していることを、国民が改めて考えるきっかけにしてほしい。東日本が壊滅寸前だった。原発事故は人間がとれるリスクではない。さらに、放射性廃棄物を捨てる場所がないにもかかわらず、稼働を続けるのは、未来への責任の先送り以外の何物でもない。私は、自民党議員でありながら「反原発」を訴え、現在は民間企業の立場で提言を続けている。

ワタミは、再生エネルギー100%を目指す「RE100」を宣言し、ワタミエナジーを通じて、環境エネルギー事業の普及を目指しているが、原発を有する大手電力会社に価格競争をしかけられることもある。岩手県陸前高田市参与としてみると、働く人や街の賑わいといった本質的な「復興」はまだまだだ。

陸前高田市に来春オープンさせるワタミオーガニックランドもそうした思いからだ。再生エネルギーを活用した循環型6次産業を、この農業テーマパークで実現する。自然と共存共栄を目指す。映画の中の、福島第一原発の吉田所長のセリフが印象的だった。「おれたちは、自然をなめていたんだ。10メートル以上の津波はこないと。慢心だ」。

震災から来年で丸10年となる。大衆迎合で選んでしまった政権や自然との向き合い方を決して忘れてはいけないと思う。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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