記事

「緊急事態宣言、事前の国会承認必要」山尾志桜里衆議院議員

1/2
©Japan In-depth編集部

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が国会で間もなく成立。

・緊急事態宣言として国会報告では足りず、承認が必要。

・安倍政権のリーガルマインドの欠如は底が抜けている。

新型コロナウイルス感染症を適用対象に加える新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が3月11日、衆議院内閣委員会で与野党の賛成多数で可決した。

感染拡大を抑制するために私的権利の制限を含む措置をとれる「緊急事態宣言」が可能となる。発令する際、国会への事前の報告を求める付帯決議も採択した。

衆議院議員山尾志桜里氏に話を聞いた。所属する立憲民主党は3月11日午前中の内閣委員会にて賛成したが、山尾氏の見解はどうなのか。

■ 緊急事態宣言について

「まず、今回の特措法に関してどれだけ私権の制限が強いかを見るべきだ」と山尾氏は述べた。

「私自身非常に驚いたが、総理大臣が政令で指定すれば、民放テレビ局に対し報道内容に介入することができるという。3月28日の法務委員会で質問したときの政府答弁は、変更・差し替えも指示し得るというものだった。民主主義のインフラに関わるかなり強い私権制限といえる」と述べ、報道の自由が侵害される状況が生まれかねない事に、強い懸念を示した。

また、期間は2年が上限で、その後1年ごとに延長ができ、延長の回数制限はない。これに対し山尾氏は、「民主主義が機能する前提条件がない状態をずっと続けることができる」と述べた。また、それに対して市民が異議を唱えようとしても、集会を開くことさえ許されない状況が生まれる、と懸念を示した。

そして、「これだけの強制力を持つ緊急事態宣言として、国会報告では足りず、承認が必要だ」と述べた。その理由として「強い私権制限だからというだけではなく、報告だと主体が政府になってしまう。承認事項にすることで与野党議員が、共に責任の主体になる。賛否の責任を負ってこその国会議員であり、立法府」であることを挙げた。

その上で、「スピード感と人権保障のバランスの問題なので、宣言の時は例外的に事後承認にする余地はつくるべきだと思う。ただ延長の時は締め切りが見えているので事前承認ができるはずだ」と述べ、緊急事態を無制限に延長できるような仕組みに反対した。

さらに、「期間は2年からせいぜい半年に短縮して、必要があれば説明して延長していくという形にすべきだ。そのあたりが民主的統制としての最低ラインだ」と述べた。

緊急事態条項を巡る改憲論議との関係はどうなのか?

「私は立憲主義を守ることと憲法の文字を守ることとは全く違うと考えている。例えば野党の大半の意見というのは、緊急事態条項は危ない、現在の法律で事足りている、というものだ。そういう中で、仮に緊急事態法制が民主的統制の面でザル法だとしたら、その法律がそもそも危ないのではないかという話になる」と述べ、あくまで国会における承認が必要との考えを示した。

さらに山尾氏は、「憲法の議論は、憲法典の条項を変えるか否かという話に限られない。国家による国民の権利抑制をどう国民の側からコントロールするかという問題だ。憲法典はその重要な手段の1つ。今回の特措法が提示した問題は、憲法典に限らない広義の「憲法」として我が国の緊急事態における歯止めをどう設定するのかという問いかけとも本質的にリンクする問題だ」と述べた。

その上で、「今回の件が直近の緊急事態法制のスタンダードになる。どういう歯止めを必要とするかが非常に重要となってくる。それは各党、各国会議員の考えの提示にもなる」と述べ、国会議員一人一人の姿勢が問われるとの考えを強調した。

現在行われている、幼小中高の一斉休校だが、現在自治体によって対応にばらつきがあるのが現状だ。これに対し、山尾氏は、「総理が要請した一斉休校に対し、各自治体が、休校を遅らせたり、子どもたちの居場所として学校を一部開放したりと、リスクを背負って様々な措置を選択している」と述べ、自治体の独自の判断がなされたことを評価した。

一方、「それは要請だからこそできたことで、緊急事態宣言の指示となるとできなくなる。要請レベルの時ですらサポートができない政府に、指示の権限まで持たせて本当に事態が良くなるのか」と懸念を表明した。

あわせて読みたい

「山尾志桜里」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    渋谷で「一揆」補償巡りデモ行進

    田中龍作

  2. 2

    電通らが甘い汁を吸う給付金事業

    青山まさゆき

  3. 3

    コロナが炙り出す質低い大人たち

    毒蝮三太夫

  4. 4

    宗男氏 共産党議員に厳しく対処

    鈴木宗男

  5. 5

    元自民議員 安倍政権長く続かず

    早川忠孝

  6. 6

    報ステ視聴率危機? テレ朝に暗雲

    女性自身

  7. 7

    「北九州第2波」の表現は大げさ

    木走正水(きばしりまさみず)

  8. 8

    木下優樹菜が復帰できない事情

    文春オンライン

  9. 9

    検察庁前で開催「黒川杯」に密着

    SmartFLASH

  10. 10

    元慰安婦団体なぜ内部分裂したか

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。