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若手教師のクラスが荒れるのは「経験不足」だけではない

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若い教師の授業や学級は「荒れやすい」といわれる。その原因は「経験不足」だけではない。現役の公立学校教師の江澤隆輔氏は「半数以上が全く経験のない競技の部活動を引き受けている。特に若手教師は未経験の競技を任されることが多い。それが生徒の不信感を招いてしまう」という――。

※本稿は、江澤隆輔『先生も大変なんです いまどきの学校と教師のホンネ』(岩波書店)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/XiXinXing

「中学生になったら部活をがんばりたい!」

小学校の教師として、子どもたちに「中学校に入ったらなにをがんばりたい?」と聞いてみることがあります。すると、多くの子どもが「部活動」と答えます。「勉強をがんばる!」という子どももいますが、6年生も後半になると、多くは部活動に目がいっています。それくらい子どもたちは、部活動に関心があるのです。

自分の好きなスポーツ、興味のある活動を自分で選んで、顧問の先生や先輩が教えてくれる。そこでは、たくさんの先輩もいるし、違う小学校から入学してきた新しい友達もできるでしょう。

土日もまた学校に集まってきて部活動をする。大好きなスポーツ、活動を好きなだけできる、大好きなスポーツ・活動に好きなだけ打ち込みたい子どもたちにとって、こんなに幸せなことはないでしょう。

強制的に部活をさせる学校や自治体がある

ただし、「どの子も部活動をやりたい」というわけではありません。長時間の部活動がつらい、部活動をやりたくないのに加入させられる、という生徒の問題は広がりつつあります。自主的であるべき部活動に、生徒が強制的に入部させられる学校や、それどころか「何かしら部活動に所属すること」と定めている自治体すらあります。

他方の教師にとっても、部活動は大変です。生徒が授業と違う場で輝く姿を見られるという良さがあるとはいえ、過労死ラインを超えて働かざるを得ない可能性があるほど、大変な業務なのです。

紙幅の関係上詳細は省きますが、部活動の顧問は「ボランティア」であり、教師の業務として位置付けられないものと考えられています(詳しくは、本書『先生も大変なんです』の第5章をお読みください)。そして、その活動はほとんど勤務時間外に行われます。

そして、土日の一定時間を超えて働く場合にわずかな手当が支給される以外、何時間働いても残業代や土日出勤分が支払われることはありません。こうした、部活動の労働時間は、多い先生では毎週数十時間にも及びます。

「顧問ができて一人前」という風潮がある

こんな実態があるにもかかわらず、職員室の中には、その業務量の多さに対して文句を言ったり、未経験のスポーツの指導を任されたことに不平を述べたりすることは憚られる空気があります。

その理由として、一つには、「部活動顧問ができて一人前」という風潮の存在です。「生徒が好きで参加する部活動の指導ができなければ授業もうまくできない、そして生徒がやりたい部活動の顧問をするのは当然」というわけです。

そしてもう一つ、重要なのが、多くの学校には部活動に並々ならぬ思い・労力をかけている教師がいるためです。

往々にしてそういった部活動顧問の教師は、学生時代に力を入れていた競技の部活動顧問です。自分自身が学生時代にその競技・活動に魅了されて、その素晴らしさを教師になって生徒に伝えたい……そう思って教師になった人もたくさんいるのです。

部活動顧問として県大会・ブロック大会などで優勝経験があり、長年その競技の部活動を担当している「大御所」のような先生が職員室にいる学校は、決して珍しくありません。もちろんその「大御所」は部活動を誇りに思い、それに全力を尽くすことが大事だと考えています。

「部活大好き教師」たちの本音

そんな「大御所」の前で、「部活動がつらい……」「勤務時間後のボランティアで成り立っている」などとは言いにくいものです。そして「若いんだから、部活動で生徒と一緒に汗をかくべきだ」と当然のように言われたら、よほどしっかりした気持ちを持っていないと、拒むことは難しいでしょう。

インターネット上では、教師の立場から「中学校では部活動顧問が授業や学級経営とセット。それが嫌なら小学校に異動するか、学習塾に勤めたりしたらどうだ」とする意見も散見されます。本当にその発言者が教師なのか定かではありませんが、実際にそう思っている教師がたくさんいることも、想像に難くありません。

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