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みずほ信託で異例のトップ人事 銀行“天下り”がなくなる理由とは? - 森岡 英樹

 みずほ信託銀行が2月28日に発表したトップ交代人事が金融界の話題をさらっている。4月1日付けで飯盛徹夫社長(59)が退任し、梅田圭常務執行役(54)が後任に昇格するのだが、異例尽くめだからだ。

「梅田氏は旧安田信託銀行出身です。みずほ信託の前身である安田信託は富士銀行経由で公的資金を受けた後で、みずほフィナンシャルグループ(FG)入りした経緯がある。そのため、歴代社長は富士出身者が就き、取締役の多くも富士、第一勧業銀行、日本興業銀行の母体3行の出身者で占められ、安田信託出身者は人事で冷遇されてきたのです」(みずほFG関係者)

飯盛徹夫社長 ©共同通信社

 梅田氏を後任にと飯盛氏は以前から考えていたようだ。半年ほど前、飯盛氏は筆者にこう語っていた。

「私は富士銀行時代から、安田信託銀行の分離、再統合に関与してきた。安田信託プロパーを社長に引き上げることが、現場のモチベーションを高めて、“ONE MIZUHO”の力を最大限引き出す近道だと思っている」

 抜擢された梅田氏は福岡県出身で、稼ぎ頭の不動産畑を主に歩んできた。

「高倉健も先輩に名を連ねる福岡県立東筑高校時代には野球部レギュラーとして鳴らした。口数は多くないが情に厚い地元の川筋気質を体現したような人物です」(みずほ信託関係者)

 社長着任早々、信託協会長にも就くことになり、手腕が問われる。

もう一つの“異例人事”とは?

 今回、異例といわれるもう一つの理由が、飯盛氏が会長に就くのではなく、みずほFGの持ち分法適用会社であるオリエントコーポレーション(オリコ)社長に転じるからだ。背景にはみずほの事情がある。

「みずほFG初代社長の前田晃伸・現NHK会長が大のサラ金嫌いだったため、グループ内に消費者金融会社を持っていなかった。大手信販会社であるオリコがその役割を担わなければならないが、2013年に明らかになった反社会的勢力への融資で失われた信頼の回復はまだ道半ば。収益力強化が求められており、明るく企画力に優れ、誰からも好かれる飯盛氏に白羽の矢が立ったのです」(同前)

 実はいま、メガバンクの役員人事には大きな地殻変動が起こりつつある。

「これまで慣例となっていた系列・関連会社への役員の天下りをやめようと考えています。専門家でなければ経営できない時代になっているからです」(メガバンク首脳)

 異業種との競争も激化する中、専門性なき人材は役員でも安直な天下りは許されない。みずほ信託の人事は、そうしたメガバンクの実情を象徴している。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年3月12日号)

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