記事
- 2012年08月01日 00:01
どうなる?企業年金と積立金の取り崩し ~AIJ問題その後~
深刻化した厚生基金
昨年度末において、AIJ投資顧問に端を発した3千億にも上る運用損失以上に、全体で1兆1千億円もの年金積立金からの不足額が生じていることが分かりました。ご案内の通り、日本の年金構造は3階建てと言われております。その3階部分として、社員に年金をより手厚く支給するために企業年金が設けられました。昭和41年から、その1つの厚年基金に公的年金の積立金の一部を併せて運用しております。
とりわけ中小企業を集めて作った「総合型」の厚年基金は、運用のノウハウもないため、高利回りを約束してくれたAIJのような投資顧問会社に任されることとなったのです。
解決への糸口は?
このケースが今回の悲劇を生みました。さて問題は国から持ち出した公的年金(国に代わって徴収・運用したという意味で、代行と呼ぶ)を返せるのか、また厚年基金の社員への給付を減額することができるのかです。現時点では、参加の企業が代行部分を返済する場合、最長15年の分割納付が認められております。また、受給者の3分の2以上の同意があれば、給付の減額も可能であります。しかし、これだけでは問題の根本的な解決になりません。つきつめれば、国から代行して年金を徴収・運用する制度や、厚年基金そのものの存続の議論になります。
これからの対応と課題
問題が顕在化した3月以降、政府や各党内において厚年基金の構造的問題解決に向けて検討を開始しました。まず財政悪化の厚年基金の解散要件を緩和することや、基金に参加する企業の連帯返済を廃止することを視野に入れ、国への返済義務を円滑に進められる環境を整えることが課題です。不足額を公的年金で穴埋めする形を回避しつつも、参加企業の状況に応じた金融支援策がより現実的ではないでしょうか。まずは傷口をさらに広げないこと、今まさに早急な対応が求められます。



