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ネット広告費がテレビ広告費を初めて上回る 「ネットメディア媒体も苦しい現状」との指摘も

広告代理店・電通は11日、日本の総広告費と、媒体や業界別の広告費を推定した「2019年 日本の広告費」を発表。媒体別広告費ではインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回り、2兆円を超える結果となった。

発表によると、日本全体の総広告費は6兆9,381億円で、8年連続のプラス成長となっている。

インターネット広告費が初めてテレビ広告費を超える

日本の広告費は

①マスコミ4媒体(2兆6,094億円)
・テレビメディア広告費(1兆8,612億円)
・新聞広告費(4,547億円)
・雑誌広告費(1,675億円)
・ラジオ広告費(1,260億円)

②インターネット広告費(2兆1,048億円)

③プロモーションメディア広告費(2兆2,239億円)

の3項目に分類される。

電通によると「日本の広告費」の調査は1947年から開始。97年にインターネット広告の分野が加わった。今年、インターネット広告費が初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を上回る結果となった。

電通

テレビ、新聞などマスコミの広告費は全て前年割れ デジタル化で伸長

①のマスコミ4媒体をみると、テレビメディア分野では地上波テレビが台風などの自然災害や、米中貿易摩擦による厳しい経済状況の影響から、通年で前年割れ。新聞は改元や消費税率変更などを背景に、好調な四半期ではあったが、通期でみると低下傾向が継続するなどし、雑誌、ラジオもふくめて、すべて前年割れとなった。

一方、市場を牽引したのが6年連続で二桁成長を遂げた②のインターネット広告費だ。

大型プラットフォーマーを中心として堅調な伸びが持続。マスコミ4媒体のデジタル化が進み、4媒体事業者が提供する、インターネットサービスにおける広告費が高い成長率をみせた。

これまで発行してきた紙媒体への信頼が高く、ブランドのイメージを意識する広告主からのニーズが高い新聞デジタルは広告費前年比110.6%の146億円。タイアップ広告や動画広告などが大きく拡大した雑誌デジタルは同120.2%で405億円という結果となった。

また、民放のテレビ番組が視聴できるアプリ「TVer」など、地上波テレビ由来のコンテンツ力を背景に好調な伸びをみせたテレビメディアデジタル分野では同146.7%の154億円となるなど、活発な成長が続いている。

さらに、今回、新たにインターネット広告費の分野で追加推定された「物販系EC(電子商取引)のプラットフォーム広告費」(1,064億円)は市場が拡大。電通は広告市場の短中期的な拡張の中心軸となりうると分析した。

③プロモーションメディア広告費では屋外広告(3,219億円)や交通広告(2,062億円)のデジタル化が進み、伸長を見せたものの、インターネット広告へのシフトや台風19号などの自然災害といった影響を受けた折込分野(3,559億円、前年比91.0%)が大きく減少する形となった。今回、新たに追加推定された「イベント・展示・映像ほか」の広告費(5,677億円)は、新元号制定に関する祝賀イベントや、ローマ法王来日、ラグビーワールドカップ2019などのスポーツイベントの活況により市場が拡大。総広告費全体を押し上げた。

電通

プラットフォーマーが広告費の大半を得る現状 「コンテンツ制作者は苦しい」

今回の発表について、朝日新聞記者やBuzzFeed Japan編集長などを経験し、現在はジャーナリスト・メディアコンサルタントとして活躍する古田大輔さんは「インターネット広告がテレビ広告を上回るのは既定路線だった」と話す。

古田さんは「注目すべきはネットが伸びていると同時に、テレビ広告の落ち込みが加速していること。紙媒体に続いてメディアの王様の位置にいたテレビも既存の構造のままではいられない」と指摘する。

マスコミ4媒体のデジタルシフトが進み、マスメディアによるインターネットサービスの広告費用は年々増加しているものの、4媒体由来のデジタル広告費は計715億円と全体で占める割合はわずか。「例えば新聞に関していえば、デジタルの広告費が、既存の紙媒体からの売上の落ち込み分をカバーするには全く達していません」

一方、インターネットの広告市場が明るいかというと、古田さんは「そうではない」と口にする。古田さんが着目したのは、インターネット広告媒体費(1兆6,630億円)のうち、ヤフーなどの大規模プラットフォーマー収入にあたる運用型広告費(1兆3,267億円)が占める割合だ。

「インターネット広告媒体費の大半をプラットフォーマーが得ているのが現状。実際に記事などのコンテンツを制作しているネットメディアに入る収入はわずかで苦しい状況に変わりはない」

今後もインターネット広告費は伸び続けることは間違いない。古田さんは「5Gが本格導入されることによって、今年、来年と動画の配信・視聴数は確実に増える。それに伴って、広告動画市場もさらに拡大する」と予測する。

しかし、現在、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスが及ぼす影響は無視できない。「コロナの感染拡大が世界経済全体に与える打撃は非常に大きく、2020年の広告市場もその波をダイレクトに受けることになるでしょう」

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