本日3月10日、著作権法改正案が閣議決定されました。
この著作権法改正案ですが、漫画村に代表される海賊版サイトにより、約3,000億円分の出版物がタダ読みされ、漫画家や出版社の収入・売り上げが20%も奪われているという状況から、対策を講じるために行われるものであり、その柱となるのが、①「リーチサイト規制」と、②「違法コンテンツのダウンロード違法化」であります。


しかしながら、昨年2月に文化庁が出してきた改正案は、②の範囲が広すぎるため、インターネット利用の萎縮が起きてしまうことが懸念され、本来被害者である漫画家などからも反対意見が出されました。
このため、「海賊版被害への実効的な対策」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」という2つのバランスを取った案にすべく、漫画家や出版社などの関係者や国民からの意見を丁寧に把握しつつ、有識者検討会において議論の取りまとめを行い、この度の閣議決定へと至りました。

まず、①の「リーチサイト規制」の内容ですが、「侵害コンテンツ(海賊版)へのリンク提供者」への規制と、「サイト運営者・アプリ提供者」への規制が行われるのですが、これらを「非親告罪」ではなく「親告罪」とすることにより、何でもかんでも取り締まるということではなく、侵害を受けた側からの訴えにより取り締まるという形になりました。

次に、②の「違法コンテンツのダウンロード違法化」の内容ですが、これまでの法律では、「違法(コンテンツ)と分かっていてダウンロードすることを取り締まれない」ことから、海賊版被害が横行していたということで、この規制が盛り込まれました。
しかしながら、まず重要なことは「違法コンテンツ(違法にアップロードされたもの)であると知りながらダウンロードすることが規制の対象となる」ということであり、全てのダウンロードを違法化するというものではありません。
この「違法コンテンツであると知りながら」というところは、「重過失」(僅かの注意をすれば容易に有害 な結果を予見し、回避することができたのに、漫然と看過したというよ うな、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態)によって違法とは知らなかった場合も違法とはならないとしており、確信犯や悪質なダウンロード以外では対象にならないことが確認されています。
また、刑事罰の対象となるものも、「正規版が有償で提供されているもの」を「継続・反復して行う場合」となりましたので、本当に悪質な場合以外は対象外となるということで、ユーザーの方には安心していただければと思います。

また、過度な萎縮を生じさせないために、質や量が①「軽微なもの」や②「二次創作・パロディ」、そして③「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」は対象外とすることとなりました。



また、スクリーンショットや生配信などで違法コンテンツが写り込んでしまうような場合も規制の対象外とすることになりました。

そして、より根本的な原因であるアップロード側への対策強化を行っていくことも附則に盛り込まれました。

そして、今後はもっと正規版の流通が促進されるということも重要であるということで、これについては引き続き、自民党の関係部会等で具体的な方法を議論していくこととなっております。
長くなりましたが、ユーザー側に過度な萎縮を生まず、漫画家をはじめとした権利者に対して、正当な報酬が支払われるようになるよう、これからもこの分野の第一人者である山田太郎議員とも連携して、取り組んでまいります。