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米大統領戦とガラスの天井

米民主党の大統領候補指名争いから、エリザベス・ウォーレン上院議員が先週、撤退を表明しました。

先に、エイミー・クロブシャー、カマラ・ハリス両上院議員も撤退し、残るは女性候補はタルシ・ギャバート下院議員一人。

ギャバート氏は、バイデン、サンダース両氏の争いの中で完全に圏外のようで、改めて、4年前に大統領選で破れたヒラリー・クリントン女史が呟いた「ガラスの天井」が強固なことを印象付けた感じです。

しかし、有力ネットメディアAxiosが8日の国際女性デーの直前に公開した<International Women’s Day and the glass ceiling>に接して、米国では政治への女性参加が空前の勢いで進んでいることを知りました。

特に、記事の冒頭にあったこのグラフに目を惹かれました。

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これは、ラトガーズ大学のアメリカ女性と政治センターが2月下旬段階でまとめたものをAxiosが図表化したもので、2年前の中間選挙に下院選に出馬した女性候補と今年11月の連邦選挙で出馬を予定している女性候補を党派別に見たものです。

特にめざましく増えたのは共和党で、217人というのは前回の96人から121人も増えています。女性蔑視のクリントン大統領が共和党なのを思うとちょっと意外感もありますが、むしろ、それへの反発が共和党の女性には強まっていることの証かもしれません。

前回、大量の出馬があり、下院を「赤(共和党)から青(民主党)に変える原動力になった」と言われた民主党女性候補は、さらに26人増えて367人が出馬予定。両党合わせて584人という数字は下院定数435人を大きく上回りますから、いかに、女性の政治意欲が高まっているかが窺えます。

上院も同様で、2018年の中間選挙での改選数33に対し、女性候補は両党で53人でしたが、今年はさらに増えて62人になりそうということで、改選数の倍近い女性候補です。

この傾向は、州議会でも共通し、特にネバダ州では上下院とも女性議員が男性議員をわずかに上回って「全米初の女性多数派議会になった」とラスベガス・ジャーナルが伝えています。

また、先のラトガーズ大の全米マップを見ると、女性議員比率で州毎に色分けしていて、ネバダ州に次いで全米ランク2位のコロラド州では下院定数65に対し女性議員32と男性議員に拮抗、上院を合わせた女性比率は44%に及びます。女性比率3位はオレゴン州で、上院定数60人中29人が女性で、下院を合わせた比率は42.2%です。

このような土壌があって、大統領選に名乗りを上げる女性候補が増えたのでしょう。今から10ヶ月前の日経新聞の一覧表によれば、当時23人が名乗りを上げていましたが、そのうち女性は6人もいました。これも初めてのことのようです。

今年は米国の女性に参政権が与えられてちょうど100周年にあたります。1920年8月、女性に投票権を与える憲法修正19条が施行されたのです。

大統領選は、高齢な白人男性同士の戦いになることが決定しましたが、同時に行われる連邦議会選挙は、この女性参政権100周年を背景に、一段と女性議員の躍進が見られるかもしれません。

国際女性デーに朝日新聞に掲載された<(Dear Girls)「121位」政財界が足かせ 女性議員「候補になる方が100倍大変」>という長文記事によれば、「自民の17年衆院選での女性候補比率は8%」「2018年末現在、全国の地方議員の女性比率は13%。自民は5%」とあります。

NHK解説アーカイブスで「縮まらない男女格差 女性の政治参加を」という記事を見つけました。昨年12月に世界経済フォーラムが発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・リポート2020」について解説したものですが、この図表が全てです。

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日本では「ガラスの天井」は相当に強固に見えますが米国ではどうか。撤退を表明したウォーレン氏はこう述べたそうです。

「今回最もつらいのは、(女性大統領の誕生を)また4年待たなければならないすべての少女のことだ」

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