- 2012年08月01日 15:36
USAToday紙が「新聞」初のネット動画紹介欄を新設
今はどの新聞でも当たり前のように大きく紙面を割き、それなくしては新聞の価値半減かも知れないテレビ・ラジオ欄ですが、当時としては画期的な試みでした。新しいメディアの登場は旧来からのメディアにとって脅威ですから、番組表の掲載は「敵に塩を送る」ようなものと思われたようです。それに似たような大きな決断を米国最大手紙の一つUSAToday紙が行いました。
見るべきネット動画を紹介する<TV on the Web>を同紙のサイトだけでなく紙の新聞にも掲載を始めたのです。オンラインのページはここです。紙の方は近所の図書館にないので現物確認はしてませんが、テレビ欄に並んで掲載されているそうです。
検索すれば、ネット上には、ビデオ動画紹介のサイトは沢山ありますが、大手紙では初めての試みだそうです。なぜ、踏み切ったのか。USATodayの社長兼発行人のLarry Krammer氏は、先の記事によれば「トム・ハンクスやジェリー・サインフェルドといった売れっ子有名人がウェブのみの番組に出たり、YouTube、Hulu、Netflixが独自の番組を発信するなど、変わりつつあるメディアの景色を反映する時代がきたのだ」と語っています。
このKrammer社長、年齢も60歳台半ばだと思いますが、年齢に似合わず?実はデジタルにとても明るい上に、キャリアは新聞記者から始まった起業家というちょっとユニークな人物で、そこを買われて今年5月に社長に就任したばかりなのです。
履歴を簡単に追います。ハーバード大で修士を取って、1974年にサンフランシスコ・エグザミナー紙で記者としてキャリアを開始し、3年後、ワシントン・ポスト紙で金融記者に。一旦、地方紙に出たあと、再びポストに戻り社会部次長を務めたあと1986年、エグザミナー紙で若き編集局長となります。そこも5年で辞めて起業し、そこから生まれたのが金融情報サイトMarketWatchです。
このサイトを2005年に5億2800万ドル(当時のレートだと550億円)でダウ・ジョーンズに売却し、その後2年間はCBS Digital Mediaの初代社長になり、大学バスケットの試合をネット配信するMarch Madness on Demandの創設など、CBSのデジタルコンテンツの拡充に力を振るいます。その後はベンチャーキャピタルに加わるほか、ディスカバリーチャンネルなどを運営するディスカバリー・コミュニケーションなど多くの先端企業の役員や大学の非常勤教授を務めていました。
こうした華麗なキャリア、とりわけそのデジタルマインドを買われてUSATodayに招かれたわけで、デジタルの要素を同紙でどのように展開するかが注目されていたようです。社長就任直後のPoliticoのインタビューにも、“I want to boost coverage of the changing media landscape,” ”I want to add more video and bring back more graphics, in print and on digital. ”と答えていました。その第一弾がこれだったのですね。
続く、第二弾、第三弾のデジタル戦略は何かが興味深いところですが、Politicoのインタビューでは「あまり明らかにはしたくないが、9月の創刊30周年に向けて大きな計画を進めている」とし、活版印刷の発明者の名前を持ちだして「Gutenberg moment」という意味深なフレーズを使っています。果たして、苦境にあえぐ米新聞界を刺激する秘策が登場するのでしょうか。興味津々です。



