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焦点:FRBの新型コロナ対策、電撃利下げに続く4つのシナリオ


Howard Schneider

[シャンペーン(米イリノイ州) 4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として緊急利下げを決定した。政策担当者によれば、経済的リスクが急速に積み重なり信頼感が低下している中で、利下げは実はかなり順当な対応だったという。

問題は次の対応で、そこまで単純ではない。

FRBは主要な経済統計に現われていない潜在的なリスクへの「保険」として金利を少しずつゼロに近づけてきたため、その分、次の一手が読みにくくなっている。

米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は3日、イリノイ大学で行われたイベントの際に、「難しい質問だ。こうした状況は始まったばかりだから、これからどういう展開になるか正確に言うことはできない」と語った。

FRBにはいくつかの選択肢がある。以下で詳しくみていく。

<一段の利下げ>

先進諸国のなかで、FRBはまだ利下げの余地を残しており、金利をプラスに保っている数少ない中央銀行の1つである。

FRBは3日、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を50bp引き下げ1.00─1.25%にすると発表。

エコノミストの多くは、3月17ー18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイント、今春後半にも0.25%ポイントの利下げが実施されると予想している。

FRBで金融政策を担当した経験があるイェール大学ビジネススクールのビル・イングリッシュ教授によれば、3月に提示されるFRBの経済見通しは、今週実施した利下げの効果と、予想される新型ウイルス禍の推移という、2つの想定に基づいたものになるという。

教授はさらに、FRBは、成長減速・失業率上昇という点で現実的な変化の兆候があるかどうかを探ることになるだろうとみる。

今後「悪いニュース」が入ったとしても、それはほぼ織り込み済みであるため、FRBが反応するとは限らないと教授は警告する。新たな対応のためには、状況が予想よりも悪くなる必要があるが、恐怖感に動かされる緊張感ある環境のもとでは、正確に見極めるのは難しい、という。

「予防的にかなり金融緩和に動いたために、FRBとしては、どういう状況になればさらに踏み込むのかという点について、コミュニケーションが少し難しくなっている」と教授は話す。

FRBがさらなる利下げを進めれば、政策担当者が言う政策金利の「事実上の下限」までの余地がほとんどなくなる。この場合、「事実上の下限」は実質的にゼロ金利を意味する。

欧州中央銀行(ECB)や日本銀行と異なり、FRBはこれまでのところ、マイナス金利への意欲をまったく見せてこなかった。仮に今後数カ月内にこの限界に到達すれば、FRBは景気刺激のために別の道を探る可能性が高い。

<債券購入の拡大>

FRBのバランスシート上の資産はすでに4兆2000億ドル(約445兆円)を超え、そこには3兆8000億ドル以上の債券が含まれている。

2008年の金融危機の際、FRBは長期金利・借入コストの抑制による景気回復の促進をめざし、米国債や住宅ローン担保証券の購入を拡大した。

現在、再び国債の購入を進めているが、対象は短期国債に限られており、その目的は、昨年に短期市場に問題を引き起こした準備預金不足を補うことにある。当局者は、現在の債券購入は純粋にテクニカルなものであり、第2四半期には規模を縮小したい考えを強調している。

コーナーストーン・マクロのアナリストによれば、このところ米国債利回りが過去最低水準にまで低下しているのは、FRBの利下げや相場調整が要因というより、米国経済の成長鈍化、場合によってはマイナス成長の予想を反映しているように見えるという。

「FRBは新型ウイルスがリセッションのリスクになっていると受け止めているが、市場はむしろ、リセッションを基本シナリオとして想定するようになりつつある」というのが彼らの見方だ。

こうした悲観的なシナリオの可能性が高まってくれば、FRBは恐らく素早く金利を引き下げ、一足飛びにゼロ金利に至るかもしれない(最近の調査では、金利がゼロに近づいているときは、利下げの幅が大きいほど効果が出ることが分かっている)。

その上でFRBは債券購入を行うだろう。そうすれば、研究や政策分析によって今年明らかになったように、たとえ短期金利がゼロ近辺にあっても米国内の借入コストを引き下げられる。

さらに、FRBは追加的な景気刺激策として、彼らの言う「大規模資産購入」の再開を選択する可能性もある。

こうした施策が単に低金利を維持するためだけに必要となる可能性は低いが、副次的な効果として、株式などよりリスクの高い資産の価格を引き上げる場合が多く、新型ウイルスの感染拡大によって厳しくなった金融状況の緩和につながる可能性がある。

<積極的なフォワードガイダンス>

FRBは、どのような条件が整えば利上げに転じるかを提示することもできる。多くのアナリスト、研究者、政策担当経験者は、これが企業や家計の期待感を支え、金融政策の効果を改善することにつながるとの見解を示している。

この種の「フォワードガイダンス」、特に、ある基準が達成されるまで景気刺激策をかなり先まで維持するという約束があれば、企業・消費者は、近い将来の利上げはなさそうだという安心感を抱くことになろう。

<何もしない>

利下げ以降に発言した政策担当者は、あいかわらず「力強い」「反発力がある」といったポジティブな表現を使って経済を語っている。

シカゴ地区連銀のエバンズ総裁をはじめ、もっと明快に、経済成長に対して短期的かつマイルドな打撃はあるが、年末までに回復し、少しばかりの痕跡しか残らないという期待を口にする人もいる。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は4日、CNBCのインタビューに応じて「いずれ新型ウイルス問題は切り抜けられる」と語った。メスター総裁は、問題が収束すれば、経済はそれ以前に予想されていたようなコースで動き続ける、とした。

エバンズ総裁は、問題の収束後もFRBが金利を低く維持したとしても不思議はない、と示唆する。政策担当者らはウイルスの感染拡大前、予測に何らかの明白な変化が生じない限り、1.5ー1.75%という今よりも高い金利が適切であると考えていた。

迅速な回復が見られるとしても、FRBのインフレ目標を実現するか、あるいはそれを超えない限り、金利を元に戻すべき理由はない、とエバンズ総裁は言う。「それによって多少のリフレーションが生じても、私としては不満はない」

そして「計画とまったく同じように事態が運ぶことはめったにない」と続ける。「我々が伝えたい最大のメッセージは、我々は必要とあらば何でもやる意志がある、ということだ」と明言した。

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