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新型コロナウイルス感染拡大で懸念される経済への影響 元経産官僚「国会が全く仕事をしていない」


 OECD(経済協力開発機構)が「世界経済は金融危機以来最も深刻な脅威に直面している」と警告するなど、新型コロナウイルスの感染拡大に懸念が強まっている。G7の財務省・中央銀行総裁は緊急で電話会談を開催、世界経済への影響に対しては財政措置を含め「すべての適切な政策手段を用いる」との共同声明を出した。

 大和総研の試算によれば、今回の新型コロナによる経済活動自粛では、短期シナリオ(2月~4月頃)で3.8兆円程度、長期化(1年間)すれば12.1兆円程度の減少が見込まれ、東日本大震災後の個人消費の落ち込み(2011年上半期)2.6兆円程度を上回る。

 すでに中国人観光客などの激減により、インバウンドを頼りにしていた観光業界、百貨店業界などが痛手を被っており、製造業界からも「中国からエアコンやトイレの部品が入ってこず、施工できないし代替しようがない」(工務店)、「食材はあるから製造はできるが、入れる箱や瓶がない」(食品製造)といった悲鳴が上がっており、倒産する中小企業も出始めている。

 政府は大きな損失が発生した企業を対象に「セーフティネット保証」と呼ばれる制度を導入。各地の信用保証協会が中小企業の借入金を100%保証するというもので、すべての都道府県で実施することを発表した。また、麻生財務大臣は6日夜、金融機関に対し、企業の資金繰りなどへの支援を要請したことを明らかにした。


 6日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した井上真伯・神奈川県中小企業診断協会代表理事は「今の物づくりは非常に国際的で、国内でも分業が相当進んでいる。副資材をまとめて発注しようとしたところで中国から船が来ないとなると非常に困る。当然、仕入れをしていたり、外注していたりしているので、そのお金は払って下さいと言われてしまうと、材料費が持ち出しになってしまう。破産や倒産がニュースになるのは、まだ良い方だ。倒産の手続きをきちんとすればお金がかかる。その資金すら無く、“会社のお葬式”が出せない現実、追い込まれて夜逃げもできないという現実もある。そうしたものはニュースにならないし、実際は調査機関が出す数以上にあると考えていただく必要がある」と話す。

 また、自粛の動きについても「皆が皆自粛したいのかというとそうではないし、“今がチャンスだ”という方もいる。世の中のムードに流されず、感染を拡大させないという心がけを徹底した上でやっていただく分には問題ないと思う。しかし、プライベートも公式も飲み会は当面禁止という通達をしている企業もあり、外に食べに行ってしまうとルール違反になってしまうので、息苦しいが雰囲気に合わせざるを得ないという方もいる。こういう時こそお金を使わなければならないということもあるが、感染を拡大させてはいけないので、非常にバランスが難しい」とした。


 そこで問題となるのが、自治体の情報公開だ。勤務先や店名を公表することで不安が広がり、周辺の店まで臨時休業になったというケースもあるという。

 ナビタスクリニック理事長の久住英二氏は「最近、“クラスター”という言葉がよく使われているが、大して意味がないし、どこで感染したのか分からない人がたくさん出ているときに、見つかった人たちの点と点を繋げて遊んでいても仕方がない。

そうではなく、本当に感染者の広がりを調べたいのであれば、言い出しにくい環境を作ってはダメだ。公開された感染者が集中砲火を浴びるようであれば、“具合悪いけど絶対病院に行かない”ということにつながるし、中には我慢しているうちに重症化してしまう人も出てくるかもしれない。感染した人を見つけては血祭りにあげるのは、感染を封じ込めるということとは対極の動きだ」とした。


 元経産省キャリアの宇佐美典也氏は「景気の低迷と自粛のバランスということをどう考えるかということだが、一緒に考えてしまうと手の打ちようがなくなるし、どこかで全体的な流れを覆すという働きかけをしないと、世界経済も日本経済も危ないので、“今の段階では自粛は致し方ない”と考え、ある期間まではこれで行くしかない。

ただ、その間に企業が潰れてしまっては困るから、お金を貸し出しやすくする環境を作る。今回のセーフティネット保証ということはそういうことだ。とりあえず銀行さんはお金を貸してあげて下さい、仮に潰れても国が間接的に100%保証するから、安心して貸せますよという状態を作る。

ただ、どこかで期限を区切るという宣言を政府は絶対にしなければならない。そのためには、ある程度指標を示さなければならない。リーマンショックの時は中小企業金融円滑化法、通称モラトリアム法を政治主導で作った。そういう法律が今回も必要なのに、国会が全く仕事をしていない」と指摘。

 また、大阪市の松井一郎市長が「全ての商品、取引に軽減税率を適用し、実質的な消費税減税措置をすべき」と訴えていることについては「消費税減税すれば消費がなんとなく盛り上がるだろう、みたいな話だと思う。飲食や流通などがきつくなるので、飲食店の軽減税率についての議論はありえると思う。あまた、高速道路無料化、航空運賃を安くするなどして、流通と人の動きの国内観光を盛り上げるといったことは絶対にやらなければいけないと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:コロナショック景気低迷で中小企業は悲鳴 無用な自粛も?

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