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【映画感想】1917 命をかけた伝令

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あらすじ
第1次世界大戦が始まってから、およそ3年が経過した1917年4月のフランス。ドイツ軍と連合国軍が西部戦線で対峙(たいじ)する中、イギリス軍兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に、ドイツ軍を追撃しているマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)の部隊に作戦の中止を知らせる命令が下される。部隊の行く先には要塞化されたドイツ軍の陣地と大規模な砲兵隊が待ち構えていた。

2020年、映画館での4作目。
平日のの夕方の回で、観客は僕も含めて4人でした。
新型コロナウイルスの影響で外出を控える人も多いでしょうし、第一次世界大戦がテーマの映画ということで、日本人にとっては、わざわざ映画館に観に行かなくても……という感じなのかもしれません(僕も正直、あまり気乗りせず、アカデミー賞で有力視されていたのと『野性の呼び声』を観るつもりが上映時間が合わずにこちらを観たのです)。

実際、軍服をみても、「これ、どこの国の軍隊?」って悩んでしまう場面がたくさんありましたし(イギリスやフランス、ドイツの人は、ああ、どこそこの国か、とわかるのだろうか)、この映画の流れも、敵も味方もいないはずのところに、いきなり友軍が大勢登場してくる、というような「えっ、なんでそうなるの?」という展開が多いんですよね。

戦場の光景はものすごくリアルだし、最初から最後まで、伝令を命じられた兵士の動きに沿って、カット割りなしのように画面が動いていくので、「まるでテレビゲームみたいだ……」と感動してしまいます(2020年の僕にとっては、テレビゲームの画面のほうが、戦場よりも「リアル」なのかもしれない)。

ストーリーは、伝令役の兵士におこったさまざまな出来事を1日に凝縮しているので、前述したように「ものすごい偶然」みたいなことが立て続けに起こり、まるで一夜の夢物語みたいなのですが、描かれているひとつひとつの場面には、死体がゴロゴロ、泥がべちゃべちゃ、どこにトラップが仕掛けてあるかわからない。戦場は『バイオハザード』より怖い。

僕は『硫黄島からの手紙』という映画の冒頭のシーンで、硫黄島を守っていた日本軍が、毎晩米軍の砲撃の音で眠れずに精神的に参っている、という描写がすごく印象的だったのです。

「戦争映画」の多くは、「戦闘シーン」が見せ場で、「戦争の悲惨さ」も、戦闘で人が人を殺し、死体がゴロゴロしている描写で伝えようとしているのですが、前線での不安や怖さは、24時間、ずっと、いつ何が起こるかわからない状況に置かれ、緊張しつづけなければならないことにもあると思うのです。

戦場とは比べものにならないけれど、医者の仕事のストレスの原因は「何か緊急の処置をしている時間」だけにあるのではなくて、「いつ呼び出されるかわからない状況にずっと置かれていること」にあるように。

この映画の主人公の2人は、休憩しているところをいきなり上官に指名され、極めて危険な伝令を命じられます。
なんてブラック企業なんだ、という感じなのですが、そこで上官の命令は絶対であり、一兵卒というのは、死んでしまう可能性が高い任務に、いきなり就くことになるわけです。

それを当たり前のこととして受け入れなければならないのが戦争というもので、それは、1917年でも2020年でも変わらない。
伝令となった2人は、まさに「生死をともにする」ことになり、深い友情(という言葉では軽いような気がする)で結ばれることになります。

戦争というのは、過酷な状況というのは、ときに人と人を強く結びつけることがある。
それを美化するばかりではいけない、と思うけれど、美化しないとやってられないものでもあるのでしょう。
観客としても、それが、ものすごく美しいものだと感じてしまう。
戦場の真実は、泥だらけになってハエにたかられたり、ネズミに食い散らかされている死体しか知らないのかもしれないのに。

あと、すごいな、と思ったのは、前線の陣地の様子が、ものすごく緻密に描かれていることでした。
こんなふうになっているのか、と感心しながら観ていました。

「戦争の恐ろしさ」を伝令の兵士の目と体験を通じて伝える、というと、なんだかとても教条的というか、面白みがなくてストレスばかり感じる映画のように思われるかもしれませんが、この映画、観てみると、「やっぱり戦場には行きなくないなあ、こんなのPTSDになるのが当たり前じゃないか……」というのと同時に、「とてつもなくお金をかけて、世界観を構築したお化け屋敷」のようにも感じました。ものすごく不謹慎かもしれないけれど、映画館でしか味わえない「臨場感」もあったのです。

残酷な描写も多いので、万人向けではありませんが、ここまで読んで興味を持った方には、ぜひ、映画館で観ていただきたいと思います。
ちなみに、ワンカットにみえる映像ということで心配していたのですが、画面酔いしやすい僕も、この映画は最後までほとんど酔わずに観ることができました。



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