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新型肺炎止まらず頬キスや握手も控える欧州 - 宮下洋一 (ジャーナリスト)

新型肺炎がイタリアを中心に欧州連合(EU)で急速な広がりを見せている。ジョンズ・ホプキンス大学のシステム科学工学センター(CSSE)によると、2020年3月7日現在(以下、各国のデータはすべて同日)、世界中の感染者数は10万1811人、死者数は3460人に上った。

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イタリアでは、北部のミラノやベネチアなどで感染が集中し、国内全体の感染者数が4636人、死者数が197人に増加した。1月31日の感染者数2人から2カ月間で劇的な増加を見せ、欧州全体に緊張が走った。

ルイージ・サッコ病院の細菌・ウイルス研究所のマリア・リータ所長は、ウェブニュース「ニウス」の取材に対し、「ウイルスが世界中に広がっても恐れない。多くの人に伝染するにつれ、ウイルスの感染力は弱まる」と楽観的な見方を示した。

感染者数400人、死亡者5人のスペインでは、感染者の多くがイタリア渡航者だった。新型肺炎の広がりを懸念したバルセロナ市は2月、世界最大級の携帯見本市を中止。3月には政府がサッカーなどのスポーツ競技を無観客試合にすると決定した。

感染者数653人、死者数9人のフランスは、5000人以上を収容する建物の入場を禁止。ルーブル美術館は3月2日から閉鎖に至っている。

オリビエ・ベラン保健相は3日、「公共の場での身体的な接触を控えるよう求める」と勧告し「それは頬へのキスも含まれる」と言及。欧州では、頰と頬を接触させる挨拶も控える動きが出ている。

ドイツもフランス政府同様、握手を控える動きを見せていた。メルケル首相は1日、400人の企業家を前に演説を終えた後、「今夜は誰とも握手しない」と宣言。ゼーホーファー内相も同首相との握手を拒否する一幕もあった。ドイツで死者は出ていないが、感染者数は2月29日の64人から3月7日までに670人に増えた。

経済協力開発機構(OECD)は、リーマンショック以来の深刻な危機に直面していると警戒。昨年11月に予測した今年の世界の実質経済成長率2・9%を2・4%に引き下げた。EUはこの影響をほぼ受けない見通しだが、観光を中心とする被害は深刻だ。

欧州対外国境管理協力機関によると、中国人観光客の減少により、EUにもたらされる経済的損失は、毎月10億ユーロ(約1200億円)。EUでは、今年1月からの2カ月間で、合計約200万泊分の宿泊が取り消されたという。

新型肺炎の感染者と死亡者の数は、今後、さらに増加する。欧州の人々は、隣り合わせのテロリズムとはまた異なる種類の恐怖に怯え始めているようだ。

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