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このまま新聞は死んでいくのか? 新聞メディアの生き残りにテレビも「重大関心」

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「新聞はこのままではいずれ死んでしまう」

 映画として劇場公開され、話題になった東海テレビのドキュメンタリー「さよならテレビ」には、筆者がそんなことを聴衆に向かって話している場面が登場する。現在の報道機関がこれからどうなっていくのか話してほしいという依頼を受けての発言だったが、新聞もテレビも「このままだと死んでしまうのか」「それとも生き残れるのか」や「死ぬとしたらそれはいつなのか」「10年後にはどうなっているのか」「20年後にはどうなっているのか」が最大の関心事だ。

 新聞の発行部数がどんどん減っている。とはいえ新聞というメディアの衰退は、新聞業界だけの問題にとどまらない。最近のコロナウィルス問題だけを見ても新聞の日々の報道が国民生活に必要な情報を伝え、大きな影響を与えていることは疑いようがない。しかし新聞社や関係する会社は現在、急激な環境の変化の中で「生き残り」を模索している。

 そうした変化が最近、テレビ番組で相次いで取りあげられたのでご紹介したい。

NHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」で“大行列の大ブーム! 高級食パンのお金の秘密”(2月22日放送)に朝日新聞販売店が登場

 街中で見つけた長蛇の列の先にあったのは「高級食パン」の専門店。最近、よく見かけるようになった専門店の「お金の秘密」を探っていくという番組だった。もともとは惣菜店だった店が高級食パンを扱うようになったら相乗効果でパンも惣菜も売れるようになったなど、様々な店の「秘密」が解き明かされていく中で、「食品以外」の業界から参入したと紹介された食パン専門店が筆者の目を引いた。

 「くちどけの朝じゃなきゃ!!」という看板が出てくる。もともと何も店かというと・・・とカメラが店のあるビルの地下に入っていくと、そこでは新聞の分別作業をしていた。朝日新聞と毎日新聞が並べられているのが見える。「なぜ高級食パンの専門店を始めたのか?」尋ねると新聞販売店の社長・井口忠寿さんが率直に答えた。

(新聞販売店社長・井口忠寿さん)

「ネット社会が発展して新聞購読者が減少している。生き残るために食パンを始めた。」

(ナレーション)

「そう。今新聞の発行部数はどんどん減っており、『新聞販売だけではやっていけない』と判断した社長が、従業員用の食堂スペースを改装し、昨年6月に食パン専門店をオープン。今では行列ができる人気店に。」

 とはいえ順風満帆だったわけでなく、食パンを販売開始した直後に「朝食前の配達サービス」を始めたもののあまり客足が伸びず試行錯誤の連続だったと紹介されていた。今では多い時には1日200本の食パンが店頭で売れる。配達サービスで高齢者宅や老人ホームにも配達している。模索しながらも順調な様子だ。

 この店は東京・世田谷区用賀にある朝日新聞の販売店で、新聞業界では昨年、話題になったという。番組のホームページにも触れられている。

大行列の食パン専門店「こだわりの作り方」を大公開!新聞販売店まで参入!?過熱する「食パンビジネス」のウラ側とは!

出典:NHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」番組ホームページ

 また、この食パン店「くちどけの朝じゃなきゃ!!」のホームページには、食パンをかじりながら新聞を読む男性のおしゃれなイラストに加えて、以下のような記述がある。

系列会社である新聞販売店の配達能力を活かし、朝焼き上げた食パンをご自宅へお届けする(8月初旬からの予定)ことから、“毎朝焼き立てのおいしいパンが食べられる”という日常の楽しみが増えることをストレートに伝えるネーミングで、「くちどけの朝じゃなきゃ!!」といたしました。用賀・二子玉川地域の新たな「朝」の演出の一助となればと考えております。商品は濃厚なコクのある甘みが感じられる一方、すっきりとした上品な後味が特徴のプレーンとレーズンの2種を2斤サイズにて販売いたします。

出典:高級食パン専門店「くちどけの朝じゃなきゃ!!」ホームページ

 この日の「突撃!カネオくん」は新聞社と一緒に新聞メディアを支えてきた新聞販売店の苦境を描いていた。

「すごい減りよう。新しいフェーズに入った印象です。」

 新聞業界では今、発行部数の減少が各紙で止まらないことに関係者から悲鳴に近い声が上がっている。

 2019年の新聞の発行部数は全国で3781万部。

 前年2018年の3990万部から

マイナス5.2%の減少(19年)

17年から18年も

マイナス5.3%の減少(18年)

2年連続で発行部数が「20分の1ずつ」減っているのだ

 くわしい数字は一般社団法人「日本新聞協会」が公表している

新聞の発行部数と世帯数の推移
出典:新聞協会ホームページ

を見て確認してほしい。

 2年連続のマイナス5%超という数字は、世界的な不況に見舞われたリーマンショックがあった翌年の2009年でもマイナス2.2%だったのと比べてみても突出したものだ。消費税が5%から8%に上がって消費が冷え込んだ2014年でも発行部数の減少率はマイナス3.5%に過ぎないものだった。それに比べると、マイナス5%を超えたことが関係者に与えた大きな衝撃は想像できる。

 リーマンショック以降ジワジワと進んでいた新聞離れがこの1、2年でいよいよ加速をつけてきた印象がある。

 一方で、新聞の広告費も2018年で4784億円で前年比マイナス7.1%の減少。2019年の広告費の数字はまもなく発表されるが、大幅減少はまぬかれず4000億円台に踏みとどまるかどうかが業界内で話題になっている。さらに2020年に入って、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う経済の冷え込みでさらなるマイナスがはっきりしている。

 特に発行部数減で深刻な打撃を受けているのが地方紙だ。この問題がテレビで報道された。

NHK「クロ現」(2月25日放送)でも地方新聞の生き残りを策特集

 NHK『クローズアップ現在+』は地方紙が生き残りに懸命になっている姿を特集した。タイトルは「あなたのニュースが社会を変える〜信頼のジャーナリズム〜」。

  冒頭で街頭で新聞紙を広げて読んでいる武田真一キャスターが語る。

(武田キャスター)

「最近、すっかり見かけなくなった、こうして新聞を読む人。ニュースをチェックするのは(胸ポケットからスマホを取り出して)これ、という人も多いのではないでしょうか? しかし今その陰で深刻な事態が起きているんです。今、全国で地方新聞が危機に直面しています。」

 番組は九州地方をカバーする西日本新聞を参考例として紹介する。

 発行部数は現在58万部。10年前のピークから3分の2まで減少。長崎県や鹿児島県での販売を休止するなど、販売エリアも縮小しているという。

(西日本新聞記者)

「これから紙の読者が少なくなっていく中でどうやって(需要を)喚起していくか。」

(ナレーション)

「ネットの利用が広がり、新聞離れが進んだことで全国の新聞の発行部数はこの10年で1200万部も減少。休刊や廃刊も相次いでいます。」

(岩手日報記者)

「我々オールドメディアはそのあり方を本当によく考えないと。たぶんもう未来はない。その時点ではたぶん存続していないじゃないか。」

(武田キャスター)

「こうしたメディアの危機がさらに進んでいるアメリカではこの15年で全体の4分の1にあたる2100の新聞が廃刊。必要な情報にアクスできない「ニュース砂漠」が広がっています。」

 「ニュース砂漠」という表現は、この番組のものらしいが、地元紙がまったく存在しないか、あっても1紙しかない郡をそのように呼んでいた。

 アメリカ南東部のノースカロナイナ州のロブソン郡。ここにも全米に広がるニュース砂漠があるという。人口13万人のロブソン郡で唯一の新聞社が1870年創刊のロブソニアン紙。経営難からかつて18人いた記者が6人に減っていた。ほとんどがキャリア2.3年の若い記者、編集長が翌日の紙面について意見を求めても記者からぱっとした回答はない。見るからにぱっとしない感じの記者集団だ。

 かつては1つの記事を3人の編集者でチェックしていたが今は2人でやっているという。週末には誰もチェックできないこともあり、誤植も増えた。

 取材の方法も変わり、自分たちの足で稼ぐ取材が減ったと編集長は語る。

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