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ユニクロやしまむらなど”勝ち組企業”が売上占める アパレル業界で広がる格差

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「倒産件数は4年ぶりに増加」アパレル不況は拡大しているのか

写真AC

帝国データバンクによると、

1 アパレル関連企業の倒産件数は、前年比2.4%増の252件となった。2016年以降、3年連続で前年を下回る減少基調で推移していたが、2015年以来4年ぶりに前年を上回った

2 負債総額は前年比92.4%増の579億9100万円で、2014年以来5年ぶりに増加した。負債規模「1億円未満」の小型倒産が減少している一方、「50億円以上」の大型倒産が3件発生しており負債総額を引き上げた

3 業態別にみると、倒産件数は「卸売業」が前年比3.8%増の109件、「小売業」が同1.4%増の143件となった。また、負債総額は「卸売業」が同43.7%増の256億7800万円、「小売業」が同163.2%増の323億1300万円となった

アパレル関連企業の倒産動向調査(2019年)

とのことです。

この結果だけをみて、2019年が特別に売れない年だったということには簡単には結び付きません。企業が倒産するのは多くの場合、そんなに急激ではないからです。何年間かの不振が重なって倒産するので、2019年に倒産件数が増えたというのは、それまでにダメージが蓄積していたアパレルが多かったということになります。

また、増加に転じたといっても件数は2・4%増と微増ですので、それほど増えていませんが、負債総額は50億円以上の大型倒産が3件発生したため、大幅に伸びています。ここだけをみれば、何年間かにわたるダメージを蓄積していた大手が2019年にはついに支えきれなくなって倒れたと考えられます。

一方、アパレル小売市場規模は、ここ数年大きく変化していません。2019年度の統計はまだ発表されていませんが、2013年から2018年までは9兆3000億円台~9兆2000億円台で推移し続けています。2019年の市場規模にもそう大きな変化はないと思われます。市場規模がほぼ横ばいで推移しているので、全体的な売れ行きは不調とも好調ともいえません。

しかし、世間的には「アパレル不況」と認識されていますし、例えば三陽商会やライトオンなどのような著名企業が苦戦しています。また、売上高が伸び悩んでいたり減少しているアパレルも珍しくないため、「アパレル不況」という実感を強く持ってしまいます。

ここから導き出される可能性は2つあります。

1、 負け組と勝ち組の格差が激しくなっている。一部の勝ち組と大多数の負け組とに分かれる。
2、 売上総数が減っていないということは、アパレル業界の企業数が減っていない。

という2つです。

ユニクロ、しまむら…売上の大半を大手が占めるアパレル業界

Getty Images

まず、1について考えてみましょう。

アパレル業界での売上高1位は、ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングです。2位は、売上高5500億円前後のしまむらとなっています。

ファーストリテイリングの売上高は、海外の売上高を含めると 2兆2000億円を超えます。国内の売上高をみてみるとユニクロは約8700億円、国内店舗がほとんどを占めるジーユーも2000億円超となっており、この2ブランドだけで国内売上高は2兆円を超えます。

また、近年足踏み状態が続くしまむらですが、海外店舗数は少なく、5500億円のほとんどは日本国内で稼いだ売上高です。ユニクロとジーユー、そしてしまむらの売上高を合計すると1兆5000億円となり、国内の市場規模の6分の1を占めます。如何にこの上位2社の売上高が大きいのかがわかります。

ユニクロはともすると成長率の鈍化で「不振論」を唱えられやすいですが、国内売上高が8500億円を超えてもまだ売上高が伸び続けているという点は驚異的といえます。成長率の鈍化が問題視されますが、金額ベースでいえば100億円、200億円という規模で売り上げを伸ばしているのです。

100億円、200億円規模といえば、アパレル業界でいえば大手の一画とみなされます。また、1年間で100億円、200億円の増収を見込めるアパレルはほとんどありません。どれほどユニクロの強さが圧倒的かおわかりになるのではないでしょうか。そして、ユニクロとは補完関係にあるジーユーも売上高2000億円を超えました。

この2社に加えて、この10年で成長が目覚ましい「現在の」アパレル大手の売上高をみてみると、グローバルワークやローリーズファームを展開するアダストリアは売上高2200億円規模に到達、ユナイテッドアローズは売上高約1600億円、アースミュージック&エコロジーなどを展開するストライプインターナショナルはグループ全体では売上高1200億円規模、チャオパニックやスリーコインズのパルグループは約1300億円となっています。

多くの売れていない負け組アパレルと、売上高を寡占化する勝ち組アパレルの格差は開くばかりです。そのため、負け組アパレルがいくら不振に陥っても一握りの勝ち組の売上高は増えているので、市場規模は横ばいという結果になると考えられます。貧困率は高まっていても一握りの富豪によって各国のGDPが押し上げられているのと似た構造だといえます。

コンサルタントの河合拓さんは

これに対してアパレル業界は、(従来は別分類されていた小売りも含めた衣料品販売という括りで統計すると)某コンサルティング会社の試算によると、2018年度、上位10社で市場全体の40%を占め、残りの60%は約2万社弱がひしめき合う超ウルトラ・ロングテール産業で、さらに、その上位10社の中でファーストリテイリング 1社が約20%も占めている。

と、記事中で書いておられますが、統計データはないものの、状況証拠から分析すれば、国内のアパレル業界の構造はそれと近い物になっているといえるのではないでしょうか。

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