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共同通信「日本防衛に沖縄は不要」と米高官が…← いいえ、昔の話です

米高官「日本防衛に沖縄不要」 67年に言明、外交文書で判明 (共同通信)
佐藤栄作政権が沖縄返還の対米交渉を本格化させる直前の1967年1月、沖縄駐在の米高官が外務省幹部に「日本の防衛ということなら沖縄は要らない。沖縄の基地を必要とするのは極東の安全のためだ」と言明、沖縄を日本防衛ではなく極東戦略の拠点に位置付ける姿勢を明確にしていたことが、31日公開の外交文書で分かった。

日本政府は沖縄駐留米軍を「日本防衛に必要な抑止力」としてきたが、米側はむしろ極東全体をにらんだ安全保障上の地政学的役割を重視していた実態を物語っている。新型輸送機オスプレイの沖縄配備計画を進める現在の米軍戦略にも通底しており、論争を呼びそうだ。
「論争を呼びそうだ」??? いいえ、呼びません。当時の主敵はソ連、いまは中国です。あれから40年たって、国際情勢は変わっているんです。

朝日新聞読売新聞時事通信も、そのあたりをきちんと踏まえた報じ方をしています。オスプレイの配備なんかに無理やりこじつけるようないやらしさはありません。

沖縄返還交渉ならびに1960年の日米安保交渉の前哨戦として訪米した岸信介首相に対して、アメリカが米軍撤退を対日交渉のカードとして切ってきたことは今回の文書が公開されるまでもなくよく知られています。

例えば、2000年8月の朝日新聞によると、1957年6月19日、アイゼンハワー大統領が「我々はどこであれ望まれぬ場所にはいたくない。したがって、兵力撤退の開始を考慮する用意がある」と岸首相に告げていますし、その翌日、ラドフォード統合参謀本部議長も「日本の国内政治の目的に役立つなら、日本からの撤退も可能だ」と述べています。ダレス国務長官も「米国が日本から離縁するのが望みなら、米国はその願望に応えよう」と言っており、沖縄駐留どころか日本からの撤退さえも辞さない構えを見せています。


これら一連の発言は、本当にアメリカの真意を示したものだったのでしょうか?

旧安保条約締結から20年近くの間、日本は「捨てられる不安」がほとんどありませんでした。朝鮮戦争、台湾海峡危機、そしてすでに兆しがあったベトナム戦争…。むしろ「巻き込まれる不安」の方が強く、だからこそ集団的自衛権の不行使や非核三原則といった日米間の共同防衛体制のあいまいさが重要でした。

そして1960年を目前に、冷戦はいわゆる「危機の時代」を迎え、日米同盟も旧安保条約の「駐軍条約」的性格から、形式的ではあるものの双務的体制を掲げる60年安保条約へと移行する準備を迎えていました。客観的に見て、ソ連と対峙するアメリカが、日本を捨てても構わないとこの時期に本当に考えていたわけではないことくらいは分かりますよね。

いずれにしても、前述の米政府高官の言葉は、交渉上の駆け引きに過ぎません。アメリカの真意は、日本と東南アジアの前進防衛のために「日本に米軍を駐留させたい」でした。日米の比較にならないほどの国力(戦力)を鑑みれば、アメリカにとって日米同盟=在日米軍基地という思考であったことは当然です。その上で、米軍のこうした機能に日本が反対ならば我々(アメリカ)は撤退するし、日本の防衛も勝手にすればいい、とブラフをかけたわけです。

ただし、沖縄駐留にこだわっていなかったのは事実です。対ソという観点から見れば当時の沖縄の地理上の戦略的価値は高くありませんでしたからね。ですから、「当時の日本防衛に沖縄は不要」という見出しであれば、正解だったと思います。現在の日本を取り巻く安全保障環境において沖縄の戦略的価値が分からないはずはないですよね?(分かりたくない、分かろうとしない人は別ですが。。。)

1950~60年代の沖縄返還交渉、新安保条約交渉のなかでアメリカが駆け引きとして使った言葉を、国際情勢の変化を加味せずに現在の問題に牽強付会する共同通信のやり方はさすがにいただけません。

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