記事
- 2020年03月05日 08:18
【アマゾン】、4都市で最短5時間の高速配達!時代はミニ・フルフィルメントセンター?

競合ウォルマートがアマゾン・プライムのようなメンバーシップ・プログラムを模索する中、アマゾンは当日配送の高速化でプライム会員のさらなる囲い込みを図る。
当日配達で高速化されるのはアリゾナ州フェニックス、ペンシルベニア州フィラデルフィア、テキサス州ダラス、フロリダ州オーランの4都市。
対象商品は注文頻度が高い日用品や家電製品など最大300万アイテムとなっており、対象となる商品のページには「今日中に」を意味する「ツデーバイ(Today By)」のマークが入る。
当日配送は注文金額35ドル以上が条件となっており、35ドル以下の場合では手数料2.99ドルのチャージとなる。
高速配達では深夜0時〜午前8時までに注文すれば午後1時までに到着する。午前8時〜午後1時までに注文すると午後6時までに届けられる。
午後1時〜午後5時までで午後10時までに、午後5時〜午前0時までは午前8時までとなっている。なお4都市以外の当日配送は午前11時〜正午までに注文すれば同日の午後9時までに配達している。
従来の配達では都市部から遠く離れた大型フルフィルメントセンターが使用されている一方、高速配達では都市部に近く10分の1となる10万平方フィート(2,800坪)のミニ・フルフィルメントセンター(Mini-Fulfillment Center)が稼働するという。
アマゾンでは、配送距離が短縮されることでトラックの利用を減らし二酸化炭素の排出削減にもつながるとしている。
競合のウォルマートはアマゾン・プライムに対抗する有料のメンバーシップ・プログラムを開始することを明かにしている。
これを報じたニュースサイトに対してウォルマートのスポークスマンが会員制プログラム「ウォルマート・プラス(Walmart+)」を検討中であることを認めたのだ。
会員費やメンバーへのサービス特典など詳細については言及を避けている。ウォルマート・プラスはウォルマートの宅配サービス「デリバリー・アンリミテッド(Delivery Unlimited)」をリブランド(再構築)したもの。
1回の宅配手数料が通常9.95ドルかかるところをデリバリー・アンリミテッドでは年会費(もしくは月会費)で無制限に注文できる定額宅配サービス。デリバリー・アンリミテッドの年会費は98ドルとなり、1ヶ月のプランでは12.95ドルとなっている。
特典には富裕層向けパーソナル・ショッピング・サービス「ジェット・ブラック(Jet Black)」で使われたテキストメールによる商品注文や店舗ではお客が商品バーコードをスキャンしながら買い物をする「スキャン&ゴー(Scan & Go)」、処方箋薬やガソリンのディスカウントも含まれると予想されている。
ウォルマート・プラスではリアル店舗で利用できるサービス特典をつけることで年会費119ドルのアマゾン・プライムが真似できない内容になるのだ。
今年は大手企業による有料メンバーシップ・プログラムの覇権争いがにぎやかになりそうだ。
トップ画像:アマゾンは都市部から遠く離れた場所に広大な敷地を確保し、膨大な在庫を保有する物流倉庫のフルフィルメントセンターを展開している。その一方、アマゾンは大都市近郊に小規模な配送センターのミニ・フルフィルメントセンターを展開して最短5時間のスピード宅配を拡大する。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。定義化するならマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)はスーパーマーケット店内もしくは店に併設する形で設置され、一般的な広さは1万平方フィート(約300坪)。MFCは1.5万〜1.8万アイテムを扱い、60アイテムの注文ではピッキングから袋詰めまで5分程度となります。着工から4ヶ月程度で稼働でき、工事費は300万ドル前後です。これとは別になるのがアマゾンのミニ・フルフィルメントセンター(Mini-Fulfillment Center)。
通常のフリフィルメントセンターの10分の1となるミニ・フルフィルメントセンターはMFCの10倍となっています。興味深いのはミニはアマゾンが自前で建設する一方でMFCは今のところアマゾンはスタートアップと提携して作ろうとしている点です。ミニはウォルマート・ディスカウントストアやターゲット、ホームデポ程度の大きさで廃墟モールで展開が可能です。スクラップされるモールが増えればミニができるのでしょうね。
チェーンストアの売り場が減るかわりにミニ・フルフィルメントセンターがオープンしていく時代になるのです。