千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を 虐待し死なせたとして、障害致死罪などに問われた父勇一郎被告(42)の裁判員裁判公判が、先月下旬、千葉地裁で開かれました。
検察側は被告の携帯電話に保存されていた動画を再生し、心愛さんが泣きじゃくりながら「ママ、助けて。お願い」などと繰り返す様子が、明らかにされました。
動画には、「ごめんなさい」「お願い、お願い、苦しいよ。死んじゃいそうだよ」「お願い、トイレ行かせて」などが録画されていて、心愛さんが号泣する動画が再生された後に裁判員の1人が同様した様子を示したため、4日後に延期されて再度開かれた、ということです。
勇一郎被告は、「しつけの範囲を超えていたと後悔している」としていますが、起訴内容の暴力行為の一部を否認している、ということです。
再三伝えられているように、心愛さんを虐待から救える機会を、何度も逸していました。
虐待は2017年に沖縄から千葉に転居した頃には始まっていて、学校アンケートの訴えに児童相談所が一時保護したものの翌月には解除していました。
また市教委がアンケートの写しを被告に渡した、という信じられない行為もありました。
祖父母の家に身を寄せていたのに自宅に戻すことを児相は認め、それ以降、特段の対応をしていませんでした。
2019年1月に亡くなるまで、学校も児相も家庭訪問もしていませんでした。
何度も助けを求めていたのに、大人の側がかえって虐待を悪化させるような対応しかしなかったことに、心愛さんがどんな思いをもって死んでいったのか、胸が痛くなります。
こうした悲劇を繰り返さないために、親が子どもに体罰を加えることを禁じる改正法が昨年6月に成立しました。
改正法の4月施行を前に、厚生労働省が、体罰の具体例などを示したガイドライン(指針)をまとめました。
その主な内容は、体罰の例として、
〇宿題をしなかったので夕ご飯を与えない
〇他人のものを盗んだので、お尻をたたく
〇大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせるなどです。
体罰ではない例としては、
〇道に飛び出しそうな子どもの手をつかむ
〇他の子どもに暴力を振るうのを制止する、があげられています。
そして、体罰によらない子育てのポイントとして、
〇子どもの気持ちや考えに耳を傾ける
〇大声で怒鳴るよりも「ここでは歩いてね」などと肯定的・具体的に落ち着いた声で伝える
〇子どもやる気が増す方法を意識する。「靴をそろえで脱いでいるね」など、できていることを具体的にほめる
〇困ったことがあれば市区町村の相談窓口に連絡する、と示されています。