「45年末時点の日経平均株価の水準について、専門家49人の回答の中央値は4万5200円で、低金利の長期化や円安をてこに1989年12月末に付けた過去最高値(3万8915円)を16%上回るとみる」(29日付日経電子版 「プロに聞く25年後の日経平均、最多予想は4万円台」)
調査の時期が「2019年12月2日~20年1月6日」とコロナウイルスの感染拡大があまり織り込まれていない時期であることを少しは割引く必要はあるかもしれないが、「証券会社や銀行、保険会社、運用会社、調査会社などの売買、情報、運用、調査担当者」に聞くとこういう超楽観的な見通しになるという典型。
この先25年間「低金利の長期化や円安」が続き、それが株式市場の追い風になると考えるというのは専門家とは思えない楽観的過ぎる見方に思えてならない。この先25年も低金利が続くというのは経済が低迷し続けるということ。政策金利も長期金利もマイナス水準に沈んでいる状況を考えると「低金利の長期化」が株式市場の追い風になるとは常識的に考えにくい。
この1週間だけで日銀はETFを2812億円購入し、保有額は既に29兆円を超えて来ている。専門家達は過去最高値(3万8915円)を16%上回るまでに日銀は一体どのくらいETFを買付けることを想定しているのだろう。
こうした超楽観的なアンケート結果から分かることは、新著「202X金融資産消滅」で指摘している「世界最大の機関投資家GPIF」が売手に回ることを考えている専門家は皆無だということ。
早ければ今年度からGPIFが売手に回る可能性を想定している小生は、生きている間に過去最高値更新を見れない可能性の方が高いと考えている。
金融商品販売を生業としている1990年のバブル崩壊の恐怖を体験していない多くのプロの目には「相場」以外の「GPIFが売手に回ること」や「日銀のETF買いの限界」などは目に入って来ないのかもしれない。
高齢化の進展によってGPIFの資産が年金給付の財源として使われ始めることは決まっていることで「相場」状況で変わることはなく、問題はいつから始まるかという時期の問題であるということだ。このことを認識せずに盲目的に資産形成に励んでいくと、将来「受け取る年金も、自身の金融資産も目減りする」というダブルパンチに見舞われることになる。
詳細は拙著「202X金融資産消滅」で。
記事
- 2020年03月02日 15:19
25年後の日経平均は4万円台???
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