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パンデミックより怖いインフォデミック~情報に振り回されるメディアと政府

コロナウイルスという戦争状態?

ご存じのように政府の要請で本日から全国の小中高校が休校となっている。もちろんコロナウイルスの蔓延を防ぐための対策なのだが……なんか勘違いというか、掘る穴を間違っているとしか思えない。

いや、それどころか人が集まると思われる場所で、めぼしいところは次々閉鎖といった状態。TDL、USJ、そしてあちこちのスポーツイベントやライブが中止になっている。僕の勤める大学も卒業式とその後の懇親会(3/24を予定していた)が中止になり、教員に海外渡航を極力避けるようにという(中国、湖北省は渡航禁止)通達もなされた。

そして、メディアでは聞き慣れないことばが頻用されるようになっている。パンデミック、クラスターがその典型。前者は世界規模での感染爆発を意味しており、今後、コロナウイルスが拡大して大変なことになるのではとの懸念が起きている。またIOC委員のディック・パウンド氏が「中止や延期は世界的な危機が訪れていることが条件」とコメントしたが、これが「すわ、東京オリンピックは中止か?」といった具合に尾鰭がついた。

街を歩けば20~30%の通行人がマスクを着用している。元宮城県知事の浦野史郎氏は昼のワイドショー・ひるおびで「これは戦争だ」とまで言い切った。いやはや、日本、そして世界はとんでもないことになっていると思えないこともない。

「おいおい」なのである。

正直「なんでそこまで騒いでんの?」としか思えないのだが。

情報だけが一人歩きする

問題点を指摘してみよう。

まず、情報の冷静な把握がなされる前にマスメディアと政府がわけのわからない動きをしてしまったことが問題。マスメディアは確認を取ることもなく、先を争って情報を次から次へと報道する。しかし、これはイエロージャーナリズム的、センセーショナリズム的な報道が大半で、その結果、これらに煽られるかたちで人々がわけのわからない対応をするようになってしまった。

たとえばマスクの着用。マスクは、他者にウイルスをまき散らすことを極力減らすために装着するものであって(それでも結局、伝染は完全には防げないのだけれど)、マスクそれ自体はウイルスを防御するものではない。強いて効果を上げれば、マスクをすることで口の中が乾きづらくなる、だから喉の乾燥をある程度防げる程度でしかないのだ。しかし、とにかくマスクをしないといけないという脅迫観念に多くの人間が駆られている。これは、明らかに「病原菌」対策と言うよりも「世間体」対策というほうが当を得ている。

前述したパウンド氏のコメントについても同様で、「あくまで個人の意見」という断りをはっきりとは入れず(アリバイ的に挟むだけ)、元IOC副会長という権威を前面に押し出すため、勢いIOC公式見解(本当は本人は明確なことを述べているわけでもない)であるかのように情報がバイラルした。

そして、この手の潮流に乗っかったのが政府ということになるのではないか?休校措置に何の意味があるのか、正直、サッパリ意味がわからない。

問題なのはひょっとしたら起こるかも知れないパンデミックではなく、いまここにあるインフォデミックだ!

インフォデミックとはとはインフォメーション(=情報)、とエピデミック(=伝染)の合成語で、根拠なく情報が爆発的に拡大し、結果としてフェイクニュースが蔓延してしまう事態を指している。

今回の場合、前述したように、先ずマスメディアが確認の取れていない情報(あるいは取れていたとしても、ある種のバイアスを加えた情報)を大量に拡散し、これがインターネットでもバイラルされ、さらにこのバイラルがマスメディアにフィードバックされてグルグル回るという悪循環が発生しているように思える。こうした悪循環は個人レベルではフィルターバブルと呼ばれているが、これが大規模なレベルで発生しているのだ。

インフォデミックが覆い隠してしまう本当に大切なこと

そして、この悪循環に振り回されているのが、実は政府ではないか?だから休校というわけのわからない要請を出している。僕にはそんなふうに思えてならない。

こうしたインフォデミックは、翻って、肝心な情報を覆い隠してしまう効果も備えている。前述のマスクの着用が典型的だが、ここではもうちょっと皮肉な例を紹介しよう。僕の通っているスポーツクラブの現状についてが、それだ。ここ数日、クラブを訪れるメンバー数は激減した。例の「濃密接触」が該当する典型的な場所だからだ。

ところがである。

数は減ったものの、ある種の層は依然としてクラブに通い続けている。それは……高齢者だ。ご存じのように、スポーツクラブはそのメンバーのかなりの割合が高齢者で占められている。おそらく、ビジネスマンは仕事に影響が出ることを懸念してクラブ通いを控えているのだろう。リタイアした高齢者は、そんなこと考える必要はないので、いつものようにスポクラにやってくる。

だが、よく考えてみればコロナウイルスの犠牲になるのはこの層なのだ。死亡した感染者はそのほとんどが高齢者(ダイヤモンド・プリンセスの例を見れば、これは明らか)。子どもの死亡例は少なくともわが国にはない。だとすれば、政府は小中高校ではなく、こうした高齢者が集まる施設、とりわけ濃厚接触の最たる施設であるスポクラに営業中止の要請を行うべきなのだ。

コロナウイルスよりもっと怖いインフルエンザ

ちょと待て!このスポーツクラブについても、もう少し冷静に考えてみると別の見方もできる。

「いや、スポクラだって別にフツーでいいんじゃないの?」

というのが、それだ。

インフルエンザは毎年発生している。それによって死亡した例もある。昨年、わが国におけるインフルエンザの死亡者数は3000人程度。しかも、この数、実は年々増加している。もちろん高齢者が中心だが、こちらは子どもも含まれる。でも、なんで、こっちはほったらかしなの?インフルエンザ=野村克也、コロナウイルス=長嶋茂雄なのか???実績と知名度が全然違っている。

僕は、今回の事例は結局、「大山雷同してネズミ一匹」ということになるんじゃないかと踏んでいる。現在はインフォデミックでしかないというのがその根拠だ。この読みが当たったとしたら、危機管理能力について安倍自民党政権は、3.11の時の民主党政権とまったく同じということになるだろう。つまり、どちらも無能。で、おそらく、これは「当たり」だろう。だから、これは将来「事件」ではなく「騒動」として語られるのではないか?「あんとき、なんで、あんなに騒いでいたんだろう?」

オリンピックが楽しみだ!オリンピック、絶対やりますよ、予定通りに。ご心配なく。

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