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新型コロナの影響でカミュの古典小説「ペスト」が売上げ増 疫病扱う歴史書や90年代SF作品も人気に

BLOGOS編集部

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、疫病や感染症を扱った書籍の売上げが増加しているという。

書店での売上げが伸びている書籍のひとつが、1947年に発表されたフランスのノーベル賞作家カミュ(1913-60)の『ペスト』だ。40年代のアルジェリアを舞台に、ペストが発生して外部と遮断された状態のなかで戦う市民たちの姿を描いた同作。

出版社の広報担当者は「売れ行き増加の背景には新型コロナの流行があるが、こんなケースは滅多にない。本当に驚いている」と話す。

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出庫数が一ヶ月あたり400冊→742冊→約3900冊と急増 出版社「めったにない出来事で本当に驚いている」

同作では、フランス領アルジェリアの港町オランで謎の熱病が発生。政府はペスト地区として町を閉鎖する。カミュは疫病という天災下で孤立状態に陥った人々の生き様を、年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む不条理を炙りだした。

出版元の新潮社によると、通常で1ヶ月あたり400冊前後の出庫があったが、1月には742冊、2月にはその流れを受けて同社が販売促進をかけたこともあり、約3,900冊に達したという。今回の反響で緊急重版をかけ、週明けにさらなる重版を検討するという。

担当者は売れ行きが増加した背景に関して、新型コロナの流行を指摘。「現実の状況が、この小説に出てくる内容を想起させる」という読者からの反応がツイッターで相次いでいるという。広報担当者は「テレビでタレントが紹介するなどして、古典小説が再発掘されるケースは時々あるが、感染症の流行などによって名著の人気に火が付くことはめったにない。驚きというほかありません」とコメントした。

電子版の売上げは10倍 疫病を扱うほかの書籍も人気に

大日本印刷株式会社(DNP)が株式会社丸善ジュンク堂書店、株式会社文教堂及び株式会社トゥ・ディファクトと共同で運営するハイブリッド型総合書店「honto」の広報担当者によると、昨年12月の1ヶ月間と今年2月の1ヶ月間で、電子版、書籍通販、実店舗販売の総売上げを比較すると、8倍強に増加。もっとも売れているのは電子版で、約10倍となった。紙の書籍も通販用の在庫が少なくなり、実店舗在庫を回して対応している状態だという。

東京都中央区の大型書店「八重洲ブックセンター本店」では、今月に入り売上げが約3倍に。同店営業部の内田俊明さんは「カミュの『ペスト』はパンデミックが起きた際の先例。新型コロナのニュースが相次いで先が見えない状態のなかで、多様な人物が描かれている同小説を通して手がかりをつかんでいただければ」と話す。

同店では『ペスト』のほかに、生物兵器として開発された菌によって滅亡に追いこまれる人類を描いた小松左京のSF小説『復活の日』(1998年、ハルキ文庫)や、病の流行に焦点を当てて世界史を読み解いたウィリアム・H・マクニールの『疫病と世界史』(2007年、中公文庫)など、感染症に関連する書籍の売上げが新型コロナの影響で増加しているという。

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