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コーヒー100円の「低価格路線」で大復活したマクドナルドの行く末

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他チェーンの追随を許さない安さ

低価格メニューの打ち出しが功を奏していることから、やはりマクドナルドの強さは「価格の安さ」にあるといえる。「スパチキ」など「ちょいマック」のハンバーガーはどれも200円で十分安い上に、レギュラーメニューでも「ハンバーガー」「チキンクリスプ」がいずれも110円と圧倒的に安いハンバーガーが存在する。

これほど安いハンバーガーを提供するチェーンは他にないだろう。人気チェーンのバーガーメニューでいちばん安いのはいずれもシンプルなハンバーガーだが、ロッテリアでは170円(税抜)、モスバーガーでは204円(税抜)、ドムドムで240円(税込)と、マクドナルドには太刀打ちできない。

ドリンクも同様だ。マクドナルドはSサイズ100円のドリンクを多数取りそろえている。いずれのチェーンもそこまでの低価格路線は採っていない。

18年1月に「カフェラテ」を全面リニューアルし、Sサイズを50円値下げして150円で販売を始めたことも、マクドナルドの低価格路線の象徴といえるだろう。これによりコンビニと同程度の価格となり、コンビニとも十分戦えるようになった。

中価格帯商品でも「バリュー」を演出

マクドナルドは18年に「もっと、おいしさ向上宣言」を掲げていたが、19年はこれを刷新して「もっと、おいしさ&バリュー向上宣言」を掲げた。これ以降、より顕著に「お得感」を演出するようになってきている。

19年3月から期間限定で新作「ホットアップルカスタードパイ」(120円)を販売したほか、7月には期間限定で「プレミアムローストコーヒー」Sサイズと、「ワッフルコーンプレーン」または「マックフライポテト」Sサイズのセットを60円引きの190円で販売した。

中価格帯以上の商品でもこの路線は同様だ。例えば昨年4月、平日午前10時半から午後2時までセット商品が割安になる「バリューランチ」に、レギュラーのセットメニュー「バリューセット」との比較で90円割安となる「ビッグマック」と「グランベーコンチーズ」を追加し、サイドメニューとドリンクをセットにして600円で販売した。

次いで8月には期間限定で、「夜マック」(午後5時から閉店まで)の中で、3~4人分のハンバーガーやポテトなどをセットにした「わいわいパック」を約3割引きで販売している(3人分:1490円、4人分:1980円)。

背景にある圧倒的なスケールメリット

マクドナルドが思い切った低価格を実現できる背景には、圧倒的なスケールメリットがある。世界100カ国以上で3万8000店以上、日本では約2900店もの店舗を展開するスケールメリットを生かして原材料を安定して安価に調達できるのだ。これは競合にはない強みといえるだろう。

マクドナルドプレスリリースより

外食店を取り巻く環境は厳しさを増している。増税による消費者の節約志向の強まりや、コンビニエンスストアなど中食勢との競争激化、人件費をはじめとするコスト上昇など、成長を阻害する要因は多い。

低価格で商品を提供できない外食店は苦しい状況に置かれている。値上げを余儀なくされて客離れが続く定食チェーン「大戸屋ごはん処」や、居酒屋チェーン「鳥貴族」を見れば明らかだ。

その中にあって、スケールメリットを生かして価格を抑え、お得感を演出できるのは巨大チェーンならではといえる。マクドナルドは2020年もこの路線を突き進んでいくようだ。年間を通じて「コーヒーだけでも、お気軽に。」のメッセージを発信し、100円コーヒーのみの注文も歓迎するスタンスを打ち出している。俳優の木村拓哉さんを起用して、このメッセージをアピールするCMを通年で放映していくという。

さらに20年は、スマートフォンによる事前注文を強化して、店舗の収益力を高めていく。20年12月期連結業績予想によれば、全店売上高は前期比4.0%増の5710億円を目指し、営業利益は3.5%増の290億円で9年ぶりの最高益を見込む。お得感を武器に勝ち続けられるのか、行く末を注視したい。

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佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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(店舗経営コンサルタント 佐藤 昌司)

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