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神戸(2009)の知見が全く生かされなかった新型コロナウィルス対策

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2009年、神戸で新型インフルエンザが発覚した時には罹患者(高校生)の確認の翌日には近隣3区の小中学校・保育園の休園・休校が決まった。感染拡大を回避するために福祉畑出身だった当時の矢田市長が行なった決断である。一方で、休校に際しては、学校の先生は休校中に全生徒の家庭訪問を実施するなどの対応も行なっている。

これが普通の対応で、全国的な認識も同様だと思っていたので、今回の対策の遅れに忸怩たる思いもある。しかし、関東地区での反応を見ると、この経験は改めて局地的なものだったことに気づかされ、多くの国民にとって共通認識ではなかったのだ。実際、その後の「総括」では、こうした神戸市の対応は「過剰反応」的にまとめられたらしいが、早期の対応だったからこそ、あの程度で済んだのだと今も思う。本来は省庁等がこうした知見をプールし、平時に分析、また対応マニュアル等も作って、いざという時には関係機関や国民に周知徹底できるようにしておかなければならない。しかしその経験・知見は全く生かされていないことは対応の遅れを見ていると明らかである。

2009年のその時期は、政治的な混乱もあった時期で、今と酷似している。夫の日記の一部から4日間の神戸市における対応、特に休校等で地域がどうなっていたのか、病院が対応できない様子、商店や外食の際の状況、感染地域以外に行った時の差別的な対応等々「今後」がわかると思う。

以下、夫の日記の抜粋。

「新型インフルエンザの現場?より」

 週末は民主党党首選に加え、東2キロに住む鴻池副官房長官の辞任、また西3キロにある神戸高校で新型インフルエンザ・国内感染の「第1号」が発見されるなど、周辺がとてもあわただしい日々であった。

 特に新型インフルエンザの「震源地」扱いをされている神戸市東灘区・灘区・中央区(これがそのまま妻が代表を務めている兵庫第1区)が今、本当はどんな感じなのか?

 15日(金)夜から18日(月)朝までの「現場」をレポートしてみたい。

 <15日(金)夜>

 東灘区の小学校校長教頭会+PTA役員の懇親会があり「サプライズ出演」。

 会にはPTAがある14校の校長・教頭が全て出席しており、また夕方時点で「神戸に感染容疑者発見」が伝えられていたのだが・・・まさか翌朝からあんなに大騒ぎになるとは。

 <15日(金)深夜>

 2次会。

 その時点ですでに(いつもは1番になって飲んでいる:笑)校長・教頭の姿が1人もなかった・・・ということは、実はここまでの時間に「緊急事態指令」がなされた可能性が高い。

 しかし、自分たちには何の問題意識もなく・・・飲みに飲んで、1時半頃帰宅。

 <16日(土)早朝>

 「朝の活動」に参加する前の妻がやって来て、「学校&保育所が1週間休みになった」と一報をくれる。

 「この週末行事は全て中止?」「1週間一体どうする?」と思いながら、NEWSを見るが、以上の情報はなし。

 が、今にして思えば、この最短時間での市・県の決断は正解だった。

 震災の教訓を持つ地域だからこその英断であり、あれがなければ多分、今頃はもっとひどい状態になってしまっていたことだろう。

 <16日(土)午前>

 「野球試合中止」「ラグビー練習中止」「空手稽古中止」・・・子どもたちの習い事中止の報が次々に入る。

 が、この段階での対応はまだ団体ごとでバラバラ。この日の午前中はU小学校で航空財団?か何かのイベント(パラシュート、気球体験)に出かけることになっていたので、マスク購入がてら下3人と自転車で出かける。外を歩いている人はやはり多くなく、かといってマスクをしている人も1-2割?。マスクを買うのは楽勝。

 U小イベントは多分中止だろう・・・と思ってたら、やっていた。予想来場者に比べ、来ているのは半分くらい? 知り合いのお母さん3名、うちマスク着用は1名で、「帰りに買っとこか」と言った人1名だったので・・・皆こういった感じのノリの対応だったと思われる。

 中止連絡がなかった午後からの子どもたちの習い事(プール、体操、将棋)に連絡を取ると、「様子をみながらですが今日はやります」とのこと。

 <16日(土)昼>

 子どもたちと昼食に。大型スーパーに近い場所だったからか、いつもより混んでいる感じ。1週間分(7日×3食×今いる子どもだけで4人)の買出しをせねばいけないことに気づく。

 子どもたちを習い事の場所(プール)に連れて行き、野球がなくなった3番目にしばらく面倒を見させることにして一時帰宅。民主党党首選を見ていると、マスゾエさんに画面が切り替わり「感染確定」との報が。

 しかし、対応は基本的に神戸市・兵庫県任せ・・・というのが政府見解であった。学校名を公表するかどうかもプライバシーの問題があり地方一任とか。

 <16日(土)午後>

 3番目から下2人を引き取るため、再びプールへ。ロビーでNEWSを見ていたら「学生が通ってた学校」が画面に。

 地域一番校で旧い公立校なので、見る人が見ればすぐに分かる・・・「神戸高校」である。「おいおい、神戸高校かよ」とロビーでも気づいた人の声。しかも学年や「バレーボール部」まで公開されれば、個人名なぞ簡単に特定できてしまう。

 この学生の場合、たまたま優秀な(?)医者にかかったから判明しただけで、渡航歴のない国内感染者が出たという時点で、この学生が(「発見第1号」だったかも知れないが)絶対に「感染第1号」ではない。

 なぜ、感染が相当に広がっていることをまともに想像しようとしないのか?

 1人の何の罪もない若者が「第一号」として、個人名が特定され一生の傷を負うような感じになっている。

 そんなことをしていては、様子がおかしくても医者にかからない人が増えるだけではないか、と想った。

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