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焦点:中国頼みの製造業、物流ストップでお手上げ状態


[上海/バンコク 20日 ロイター] - 高速道路は封鎖され、労働者は職場に行けず、製品供給は細り続けており、貨物船や航空機による輸送も機能不全――。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中国は、春節(旧正月)が終わっても「世界の工場」としての役割をなかなか再開できない。足かせとなっているのは感染防止のための人の移動制限や隔離措置で、多くの地域では今もなお継続されている。

典型的なケースを見てみよう。製造業の一大拠点である広東省東莞市で加湿器などを製造する工場は先週、全従業員40人の半分しか出勤せず、重要な職務を担う人を欠いたため苦戦を強いられた。工場経営者のルノー・アンジョラン氏は「品質検査担当者が誰もいなかった。1人は湖北省で身動きできず、別の1人は交通機関が止まったままの地域にいる」と話した。

アンジョラン氏は、東莞市にある他の複数のメーカーも、出勤者が通常の半数という状態で操業しており、一部では半分に満たないところもあると述べた。

これらの製造業にとっては、既に米中貿易戦争で受けた傷口に塩をすり込まれているのに等しい。また多くが労働力を農村部から集めているだけに、それぞれの省や都市、自治体がめいめいに打ち出した移動制限に対処するのは難しくなっている。

米アップル<AAPL.O>は17日、数週間前に示したばかりの1-3月売上高見通しが達成できないと表明。現代自動車<005380.KS>や日産自動車<7201.T>は、一部の生産を停止した。中国国内だけでなく、部品が入手できないとの理由で自国工場も停止の対象になった。

特に東南アジアが拠点で、中国からの製品供給に依存するような中小企業では、厳しい決断を迫られつつある。シリコンメタル(金属ケイ素)を製造する台湾企業の錩泰材料は1月末にタイの工場を突然閉鎖し、約350人をレイオフした。工場があるカンチャナブリー県の幹部は「原材料が中国から送られてこないので、生産できなくなった」と述べた。

アパレルブランド「ZARA」を展開するインディテックス<ITX.MC>などを顧客とするシノプラウド・カンボジア・ガーメンツはロイターに、素材の繊維の在庫が底を突きかけているため、減産する可能性があると話した。

上海の米商業会議所が米企業109社を対象に行った調査では、半数近くがサプライチェーンの面で既に影響を受けていると回答し、残りの大半も3月中には影響が出てくるとの見方を示した。

モルガン・スタンレーのエコノミストチームは、新型ウイルス問題によって世界経済は第1・四半期の成長率が0.5%ポイント押し下げられ、中国の国内総生産(GDP)成長率も前期の6%から4.2%まで減速するとの試算を明らかにした。

<輸送不能>

たとえ工場が十分な人員を確保しても、部品仕入れや完成品出荷の輸送手段がないというのが大きな頭痛の種だ。

山東省にある製鉄所の幹部は「自動車による輸送再開は遅々としており、生産を抑制している」と語り、ドライバー不足や幾つもの検問所の存在が陸上運送を妨げていると説明した。

中国各地の港湾でも人手が足りず、コンテナ需要が減っているため今後数か月、海運の面でも製品出荷に遅れが生じる公算が大きい。さらにルフトハンザ<LHAG.DE>など一部航空会社は、乗務員の健康への配慮や需要動向の不透明さを理由に、航空貨物サービスを縮小している。

フェデックス・エクスプレス・アジア・パシフィックのカレン・レディントン社長は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時よりも新型ウイルスによる危機の方が、ずっと逆風が強いと指摘。「中国は当時よりもはるかに世界とつながっている。中国が世界経済の大きな部分を占めているという事実こそが、影響度は今回の方が格段に大きいことの理由に思われる」と付け加えた。

広東省でスマートフォン向けアクセサリーを製造するフランス企業のビッグベン・インタラクティブのゼネラルマネジャー、マシュー・モンテロン氏は、足元の混乱について、複雑に絡み合うサプライチェーンの実態を浮き彫りにしているとみている。

たとえどこかの工場が再開できて注文を受けられる態勢にあっても、その下請け業者がその地域の当局者との間で問題を抱えているかもしれず、そうなると下請け業者たちが操業できないか、労働者確保ができないという。同氏によると、ビッグベンは対策として、新型ウイルス問題の影響が小さい国で製造する品物の出荷を増やす方向にかじを切っている。

もっと思い切って、生産拠点全般を中国から別の場所に移そうと検討する企業もある。東莞市の工場を経営するアンジョラン氏は、米国の顧客向けにメキシコに2番目の組立工場を設置することを考えていると打ち明け、「中国はリスクの主な発生源とみなされつつある」と述べた。

(Josh Horwitz記者、Chayut Setboonsarng記者)

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