記事

英国民と女王のトラウマ(下)何が違う?日本の皇室と英の王室 その3

2/2

さて、ヘンリー王子とメーガン妃の話である。

これまた前回述べた通り、エドワード8世の「王冠を捨てた恋」は、1936年の話である。当時の英国国教会は、離婚歴のある女性を王妃と認めることはできず、もしも結婚が強行されるなら、戴冠式を拒否する、という態度であった。

これに対してヘンリー王子とメーガン妃との結婚には、まあ反対の声がなかったわけではないが、少なくともロイヤルファミリーはすぐ認めた。国王と皇太子の次男とでは立場が違うが、それ以上に、やはり時代が変わってきたということなのだろう。

▲写真 ヘンリー王子とメーガン妃 出典:wikimedia

しかも、結婚当初は、女王はメーガン妃を「いたくお気に入り」だとの報道まであった。それが、今次の離脱騒動が起きてから、色々と内情が暴露されてきているが、女王は王族や宮廷スタッフに対し、メーガン妃の言動がたとえ目に余るように思えても、とにかく「最大限、寛大に接するように」と指示していたというのが真相であるという。

その理由までは定かではないが、英国発の情報を私なりに注意深く読み解き、かつ色々と聞いて回った結果、ひとつの心証を得るに至った。どうやらダイアナ元妃の悲劇が、いまだに尾を引いているらしいのである。

ダイアナ元妃の悲劇的な結婚生活と、さらに悲劇的なパリでの事故死については、日本でも大きく報道された。私自身も、離婚と死去にかかわる記事を書いたし、その後『女王とプロンセスの英国王室史』(原著ベスト新書・電子版アドレナライズ)という本も出していただいた。手前味噌ながら、英国史の入門書としてもお役に立つと思うので、ご一読いただきたい。

もともとエリザベス2世女王は伝統に対して非常に厳格で、たとえば宮廷での食事会では、銀器(ナイフやフォーク)の並べ方がレストラン的=平民的であることさえ認めないと言われていた。

こうした厳格な伝統主義が、若い(結婚当時19歳)ダイアナを精神的に追い詰めたのではないか、と考えているらしいのである。王室スタッフなどにコネを持つ人たちが言うことなので、おそらくそうした側面はあるのだろうと私も思う。個人的には、長男チャールズ皇太子の不倫問題を棚上げにしての「トラウマ」は、いかがなものかとも思うのだが。

そのダイアナ元妃の忘れ形見が選んだ女性であってみれば、常識外れの衣装代を使おうが、結婚披露宴でゴスペルを歌わせようが、ここは「最大限に寛大に」と言いたくなる気持ちも、分からないではない。これまた悪く言えば、それがメーガン妃をますます増長させたということも、ほとんど疑う余地がないのだが。

英国の王室にせよ日本の皇室にせよ、長い伝統と、それに裏打ちされた独自の価値観を持っている。しかし一方では、時代とともに価値観も変遷してきた

守るべき価値観と変わるべき価値観との相克こそ、王室と皇室の永遠のテーマなのかも知れない。

(続く)

あわせて読みたい

「イギリス王室」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    菅首相発言に漂う日本崩壊の気配

    メディアゴン

  2. 2

    KDDI「povo」への批判はお門違い

    自由人

  3. 3

    渡邉美樹氏 外食産業は崩壊危機

    わたなべ美樹

  4. 4

    電車止めない政府 危機感の甘さ

    諌山裕

  5. 5

    青学・原監督の改革を学連は黙殺

    文春オンライン

  6. 6

    なぜ日本経済は低成長に喘ぐのか

    澤上篤人

  7. 7

    印象論で政権批判 NEWS23に苦言

    和田政宗

  8. 8

    大戸屋TOBは企業「乗っ取り」か

    大関暁夫

  9. 9

    慰安婦問題 朝日誤報にも責任

    PRESIDENT Online

  10. 10

    尾身会長が求めるリーダーの姿勢

    BLOGOS しらべる部

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。