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神戸児相が深夜に訪れた小学生を追い返したのは問題だが、だから警察に委ねろというのは児相の役割の否定だ

2020年2月10日未明、小学6年生の女の子が児相に保護を求めて来所しながら、宿直担当職員がさっさと警察に行けと言って、追い返してしまった事件は衝撃的でした。

 これは指導の問題レベル以前のものかもしれません。これだけ児相の役割が報道され、問われている中で、確かに児相に背負わされた責務の重さも大変なものがあるかと思いますが(お金は出さないのに責任だけを押し付ける構図)、とはいえ、やっぱりこの事案で追い返してしまった担当職員に適正があったのかどうかは疑問がないとは言えません。現場もさぞかしこの対応には仰天したでしょう。「いくら何でも…」だからです。

 警察に行くまでの間、何事もなく無事で本当に良かったと思います。


2020年2月19日撮影

 ところでこの問題を警察との全件情報共有の問題にすり替える方がいます。

 後藤啓二弁護士です。

神戸児相、女児を追い返す 専門家「体制的に限界、警察と全件共有し連携した活動を」」(弁護士ドットコム)

 この方は、児相と警察で全件情報共有を主張する最右翼にいますが、この神戸の事案を利用するのはあまりにお粗末です。

 この男性職員に指導するだけでは足りないというのは、そうなんだろうとは思いますが、それが何故、全件情報共有、そして夜間は警察だというのはあまりに飛躍が過ぎます。

 これでは全件情報共有化を超えた組織の一体化でもあります。

 地域によっては子が警察に駆け込むということにならざるを得ない地域もあるのは承知しています。
 
しかし、都市部でそうすべきということにはなりません。

 全件情報共有ができれば子の虐待を防げるというのも妄想の類であり、全件情報共有していれば防げたのか、そもそも児相がすべきことをしていなかったからのかという問題をわざと混同させています。

小4女児の命が守れなかったのは情報共有がなかったから? 一時保護をなし崩し的にないことにしたからですよ 求められるのは責任の所在の明確化

日弁連意見書
児童相談所から警察への情報提供に関する意見書

「児童相談所と警察の連携は、児童虐待の防止及び虐待を受けている児童に対する援助の観点から重要であるが、児童相談所が保有する児童虐待事案に関する情報を警察に対し全件一律に提供する旨の取決めは、子ども自身やその親、親族等からの自発的な相談を抑制するおそれがあるなど問題があり、妥当でない。

児童相談所から警察への情報提供は、児童相談所が当該事案の内容に鑑み、児童の福祉の観点からその必要性を判断すべきである。そして、警察から児童相談所への情報提供の重要性も認識しつつ、児童相談所と警察が各地の実情を踏まえ、児童虐待の発生防止・早期発見にとって真に効果的な、「質」の高い連携の在り方を協議し、実施すべきである。」

 児相には児相としての役割があり、全件情報共有化は、児相の役割を潰してしまいかねませんし、全件情報共有化されたら児童虐待が防げるという性質のものではなく、要は弊害しかないということです。

 にも関わらず、口を開けば「全件情報共有化」などというのは、全情報を警察のコントロール下に置こうとするものであり、子のためとは無縁のもので政治的パフォーマンスでしかありません。

 欺されてはいけません。

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