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新型肺炎、トロント発の機内で「武漢に行ってきた」と告げパニック状態にさせた男が逮捕

Photo by Francois Mori/AP/Shutterstock

2月5日、カナダ・トロント発モンテゴ・ベイ行きのWestJetのフライトでことは起きた。ジェームズ・ポトックは、パステルピンクのスウェットにマスク姿で搭乗した。離陸後彼は最近、これまで560名の死者を出したコロナウイルスの発生源と見られている武漢に旅行した、と240名強の乗客に告げた。「実はあまり具合が良くないんだ、よろしく」

当然誰もがパニック状態になり、機体は方向転換し、トロントへの帰還を余儀なくされた。着陸後、ポトックはカナダ警察に逮捕され、悪質ないたずら及び誓約違反で起訴された(すなわち、彼は過去に別の事件で起訴されたことがあるということだ。もはや驚くことでもないが)。ポトックの発言の真偽を確かめるため、地上では救急隊も待機。航空会社は「万が一に備えて」感染症発生時の手順通りに従った、と声明を発表した。

そもそも、一体全体なぜこんなことをするのだろう?もちろん、ソーシャルメディアでの話題狙いだ。米CBCとのインタビューでポトックは「6ixbuzzに取り上げてもらえるような、話題になる動画を作ろうとして」 嘘をついたと述べた。

6ixbuzzとは、ヒップホップ・アーティストを紹介するカナダのInstagramのアカウントだ。騒ぎを起こしたことを後悔しているかと訊かれたポトックは、いささか悔いた様子を見せてこう言った。「やり方がまずかった。俺はエンターテイナーとして、常に客のリアクションを求めてしまう。今回は俺が求めていたリアクションじゃなかった。欲しかったリアクションを得られなかった」

CBCによれば、彼は過去にもフライト中に似たような騒ぎを起こしていた。リル・ウェインがアルバムをリリースしたというデマを流し、本人の話だとそのときの動画は話題になったようだ。恐らく今回も、同じような結果を狙ったのだろう。

驚いたことに、ウイルスにまつわる集団パニックを逆手にとって、ソーシャルメディアで一発当てようとした事件はこれが初めてではない。バンクーバーのティーンエイジャーが「ブリティッシュコロンビア州最初のコロナウイルス感染者か」という見出し付きで、友人がコロナウイルスに感染したという動画をTikTokに投稿した。

「彼は咳がひどくなって救急車を呼んだ。結果、かかっていたみたいだ(しかめ面の絵文字)」と、TikTokのキャプションには書かれていた。投稿者はデジタル広告代理店の創立者だったことが判明。彼はプロフィール欄で自らを「コロナウイルスのCEO」と呼んでいた。TikTokは後に動画を削除。ニュースサイトDaily Beastとのインタビューで「意図的に公衆を欺こうとする投稿は削除します」と述べた。

だが、すでに被害は広がっていた。削除されるまでに問題のTikTok動画は何百万回も閲覧され、数十万件のいいねがつけられた。別のTikTok動画には、病院の緊急病棟と思しき部屋でマスクを着けたユーザーが、コロナウイルスの症状が現れたと告げた。その後、結局感染していなかったと明かす動画を投稿している。

新型コロナウイルスの報道が広まり始めた先月以降、世界中にパニックが広がる中、大量のデマや誤情報も流れている。以前ローリングストーン誌も報じたように、ウイルスは陰謀論者らは大手製薬会社と(理由はさておき)ビル・ゲイツ氏が私腹を肥やすために人工的に造られたという説や、全ての中国人がこうもりを食べ、それがウイルス拡散に拍車をかけているという(人種差別的かつ誤った)憶測を喧伝している。Qアノン信奉者らも、漂白剤を飲めばウイルスを撃退できるという、非常に危険な嘘を吹聴している。

残念ながら、世界的な感染症パニックに乗じて偽情報を流したり、注目を集めようとしたりする人々は珍しくない――新型コロナウイルスの発生源と見られているのが中国であれば、尚更だ。シラキューズ大学でミームとソーシャルメディアを専門とするコミュニケーション学のジェン・グリギエル助教授も、以前ローリングストーン誌にこう語っている。

「緊張が頂点に達し人々の不安が高まると、(間違った)情報を共有しやすくなるものです」と助教授。「米中関係が緊迫していることも、不安をさらに煽っています」 。これが相乗効果を起こしてポトックのような人間の背中を押し、注目欲しさに集団パニックを起こさせ――約250人のジャマイカのビーチでの休日を台無しするという、残念な結果を生んでしまった。

Translated by Akiko Kato

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