- 2020年02月23日 12:52
新型コロナウイルス「最適な消毒薬は?」「安全な使い方は」「入手困難どうすれば?」薬剤師に聞きました
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「消毒用アルコールですか?入荷は未定です。マスクより厳しいです…」
けさ、筆者が近くのドラッグストアで店員さんに尋ねると、そんな答えが返ってきました。
いま、新型コロナウイルス感染症の影響で、消毒薬の品切れが相次いでいます。ネットのショッピングサイトでは1ボトルに1万円近い価格が付けられているケースまで出ているようです。
一方で消毒薬を求めるあまり、人体にとって有害な燃料用アルコールが購入されている可能性も危惧されています。
消毒用アルコール ひと文字違いが命取り(NHK News Web 2020年2月19日)
ドラッグストアには様々な消毒薬が売られています。コロナウイルスが心配な場合、どれを選べば良いのでしょうか?間違えると危険なものはないのでしょうか?
現役の薬剤師として「自分にあった市販薬を選びませんか?」をテーマにブログやSNSなどで情報を発信されている@kurieditsさんに聞きました。

多少入荷してもすぐ売り切れ 医療機関でも不足か
Q)いま消毒薬を求めてドラッグストアにいらっしゃる人は、多いですか?
消毒薬の需要は本当にすごいです。店頭では除菌・消毒関連の商品について1日に何度もお客さんから聞かれます。多少入荷してもすぐ売り切れてしまう。全く入荷してこない商品もあります。市場調査のために街のドラッグストアを何軒も回るのですが、どの店も欠品だらけです。
医療機関に勤務している方が、わざわざドラッグストアの店頭に消毒用アルコールを買いに来たケースもあり、これは本当に大変なことだなと感じました。
その中で気になるのは、先述のニュース(「消毒用アルコール ひと文字違いが命取り」)にもあるように、消毒薬への誤解です。お客さんとお話していると、消毒薬の種類を区別されていなかったり、自己流の使い方をされている方も意外と多く、消毒薬への理解には個人差が大きいと感じます。一口で消毒薬といっても、特徴も使い方も異なりますので、注意が必要です。
コロナウイルスへの対策に適した消毒薬は
Q)ドラッグストアで消毒用の製品のコーナーに行くと、いろいろなものが売っています。コロナウイルスへの対策を考えた場合、何を選ぶべきでしょうか?
消毒薬というのは万能ではなく、成分によって効果が発揮できる細菌やウイルスが決まっています。誤った消毒薬を選んでも、目的のウイルス対策にはなりません。
いまコロナウイルスへの対策として推奨されているのは、アルコール系の消毒薬です(※1)。
通常、消毒成分のアルコールとは「エタノール」成分を指します。ちなみにアルコールではない成分として「ベンザルコニウム」や「クロルヘキシジングルコン酸」なども市販製品によく使われていますが、過去の報告では、コロナウイルスへの効果が認められなかったり、エタノールに比べて劣っていたことが報告されています(※2)。
実はエタノールと並ぶ、もう一つの代表的アルコール成分としてイソプロパノールという消毒成分が市販薬として売られています。こちらも70%以上の濃度でコロナウイルスに効果的とする報告があります(※2)。ただし、匂いがきついことや、エタノールよりも脂を落とす作用が強く手が荒れやすいなど、安全面で欠点の多いアルコールです。
どうしても消毒用エタノールが手に入らない状況では止むを得ない場合もあるかもしれませんが、平時であれば70%イソプロパノールは手指の消毒に使うのはお勧めできません(※3)。
消毒用エタノール 適切に使うために
Q)「エタノール」と書いてあるかどうかが大事ということですね。ほかに、気を付けたほうが良いことはありますか?
エタノールを選ぶ上で着目するのは濃度です。店頭では製品のラベルに記載された成分濃度を確認してみてください。
ポイントは、濃度が高いほど効果が高いわけではないことです。市販薬で入手できる消毒薬のうち、いちばん手指消毒に向いているのは濃度80%前後のエタノールです。
エタノールにしても使いすぎは手を荒らすことになります。手荒れが気になる方は、あらかじめグリセリンなどの湿潤剤が添加されたアルコール系消毒薬を選んだり、使用後にハンドクリームでスキンケアしたりする方法があります。
