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「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査

 中国・武漢を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大が、企業活動にも影響を及ぼしている。IT大手のアップルは2月17日、感染拡大により中国の生産拠点でフル稼働できないことや中国国内の販売店の閉鎖などで、「売上高ガイダンス(予想)を達成できない」と発表した。

 日本国内の企業(以下、国内企業)への影響も深刻だ。東京商工リサーチ(TSR)が国内企業に新型コロナウイルスの影響を聞いたところ、66.4%(1万2,348社中8,207社)が「すでに影響が出ている」、または「今後影響が出る可能性がある」と回答した。

 「すでに影響が出ている」と回答した企業のうち、約4割(構成比35.9%)が「現地サプライヤーからの仕入が困難となった」と回答している。また、感染拡大による懸念については、半数(51.3%)の企業が「中国の消費減速、経済の低迷」をあげた。

 中国は「世界の工場」で、大消費地でもある。国内企業も、製造や売上高の依存度が大きく、中国国内の企業活動の停滞が次第に、国内企業に影響を及ぼし始めている。

  • ※本調査は2020年2月7日~16日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万2,348社を集計、分析した。
  • ※資本金1億円以上を大企業、1億円未満を中小企業と定義した。

大企業の3割が「すでに影響が出ている」

 新型コロナウイルスによる企業活動への影響では、最も多かったのが「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」の43.7%(1万2,348社中5,401社)だった。次いで、「現時点ですでに影響が出ている」が22.7%(2,806社)で、約7割(66.4%)の企業が企業活動への影響をあげた。

 企業規模別では、「現時点ですでに影響が出ている」は、大企業(資本金1億円以上)で31.5%(2,344社中739社)だったのに対し、中小企業(同1億円未満)は20.6%(1万4社中2,067社)で、大企業が10.9ポイント上回った。

 グローバルに展開し、中国と直接・間接に取引密度を高めている大企業ほど、新型コロナウイルスの影響がより早く出ている。


産業別 製造業に大きな影響

 産業別で「すでに出ている」は、卸売業や運輸業、製造業でそれぞれ3割近くを占めた。

 「今後出る可能性」は、製造業が最も多く51.7%(3,540社中1,833社)。次いで、卸売業の47.3%(2,816社中1,333社)。世界的なサプライチェーン(供給網)を築く製造業や、価格競争などで国境を跨ぎ商品を輸入する卸売業などへの影響が色濃く出た格好だ。宿泊業や旅行業が含まれるサービス業他は、38.3%(2,089社中802社)だった。

 観光バスの運行会社が含まれる運輸業は、「影響なし」が29.3%(518社中152社)で3割を割った。これは訪日観光客の減少、国内旅行の自粛などが背景にあるとみられる。

 一方、建設業では62.3%(1,494社中932社)、農・林・漁・鉱業では53.0%(49社中26社)が「影響なし」と回答した。内需を中心に展開する企業は、新型コロナウイルス拡大の影響は緩やかなようだ。


「出張の中止・延期」が約4割、「仕入困難」も35.9%

 「すでに影響が出ている」と回答した企業に内容を聞いたところ、2,745社から回答があった。

 最多は、「現地への出張の中止、延期」の1,081社(構成比39.3%)だった。次いで、「現地サプライヤーからの仕入が困難となった」の987社(同35.9%)、「売上が減少」の899社(同32.7%)、「営業日数が減少」の565社(同20.5%)と続く。

 また、「現地取引先の事業停止や倒産の発生」は135社(同4.9%)だった。新型コロナウイルスの発生から約2カ月が経過し、すでに中国では企業の信用度に大きな変動が生じているようだ。

 「その他」では、「M&Aの中止検討」や「展示会、イベントの中止・延期」など。

「売上げ減少」が42.3%

 「今後影響が出る可能性がある」と回答した企業に内容を聞いたところ、5,133社から回答があった。

 最多は、「売上の減少」の2,176社(構成比42.3%)。次いで「現地サプライヤーからの仕入困難化」の1,550社(同30.1%)と続く。

 「現地取引先の事業停止や倒産の発生」を懸念する企業は342社(同6.6%)だった。

 「その他」では、「金融機関の融資姿勢の変化」や「ソフトウェアの委託開発の遅れ」、「中国人を中心とした不動産投資の減退」、「社員への感染」などがあった。

大企業と中小企業で対応姿勢に開き

 新型コロナウイルスへの対応状況では、「対応を取る可能性がある、対応を取っている」は23.9%(1万1,872社中2,838社)で、約4分の1にとどまった。一方、「対応を取っていない」は76.1%(9,034社)だった。

 企業規模別では、大企業では39.5%(2,234社中883社)が「対応を取る可能性がある、対応を取っている」と回答したのに対し、中小企業では20.2%(9,638社中1,955社)にとどまった。

 企業規模により、対応に大きな開きがみられた。

サプライチェーン再構築の動き

 新型コロナウイルスへの対応を聞いたところ、2,638社から回答があった。

 最多は「中国以外に所在する企業からの調達強化」で974社(構成比36.9%)だった。また、「中国への新規進出計画の凍結・見直し」が200社(同7.5%)、「中国拠点の撤退・縮小」は104社(同3.9%)だった。国内企業の多くがサプライチェーンや拠点の在り方を再考しているようだ。


半数が中国景気への影響を懸念

 新型コロナウイルスによる今後の懸念について聞いたところ、1万1,352社から回答があった。

 最も多かったのは、「中国の消費減速、景気低迷」の5,834社(構成比51.3%)だった。中国景気が国内企業の受注・業績に直結していることを物語っている。

 次いで「サプライチェーンへの影響」の4,154社(同36.5%)、「入出国手続きの煩雑化」の2,140社(同18.8%)と続く。


 2月13日、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、日本政策金融公庫などに総額5,000億円の緊急貸付・保証枠を設けることを決め、14日に閣議決定した。また、金融機関に資金繰りへの影響を受けている企業からの返済緩和の要請に対し、柔軟な対応を要請した。

 今回の調査で、新型コロナウイルスの感染拡大で国内企業の約7割(構成比66.4%)が「影響が出ている」、または「今後影響が出る」と回答した。

 産業別の分析では、運輸業は今後の可能性も含め、7割を超える企業が影響があると回答している。また、宿泊業や旅行業を含むサービス業他でも、約6割の企業が影響を意識している。政府環境局によると、2019年の訪日観光客のうち約3割が中国籍で、観光・宿泊を含め、インバウンド需要を取り込んできた各地の企業への影響は計り知れない。

 影響の内容では、サプライチェーンの乱れを心配する声が多く、国境を跨いだ調達網の脆弱性を露呈した格好だ。調達先の変更や、中国拠点の移転や撤退・縮小を検討する企業もあり、収束までの時間が長引くと、減損処理などに直面する可能性もある。また、中国の景気減速への懸念は半数を超え、国内企業の多くが世界2位の経済大国の中国の景気に敏感になっている。

 感染拡大は終息の気配が見えず、日本国内では経路不明の感染まで広がっている。このため、国内企業は業態を問わず直接間接に影響を受けることが避けられない状況になりつつある。

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