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日本の危機管理能力がいかに乏しいかを世界に知らしめたクルーズ船隔離の失敗

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世間の関心は,この話題に集中しているのではなかろうか。神戸大学の岩田健太郎教授による指摘から明らかになったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内での隔離と検疫政策の失敗である。

1.厚生労働省技術参与の高山義浩氏の反論の説得力

私は,あくまで法務,訟務,コンプライアンスを専門とするキャリアを積んできたので,感染症はおろか医学系については素人である。もっとも,あらゆる係争は裁判の場においては,裁判官は素人的感覚をもって,専門家の意見などの証拠資料を吟味し,社会通念上何が相当であるのかということを経験則に照らして判断していく。そこで,私も素人的観点から,高山氏の反論を読んでみた。しかし,結論として高山氏の反論を読んでも,何ら岩田健太郎氏が指摘した事実の不存在を裏付けるような反論にはなっていないというのが正直な素人的感想である。以下主要な点について評価したい。

というのも、現場は乗客の下船に向けたオペレーションの最中であって、限られた人員で頑張っているところだったからです。そうしたなか、いきなり指導を始めてしまうと、岩田先生が煙たがられてしまって、活動が続けられなくなることを危惧したのです。まあ、クルーズ船とは特殊な空間ですし、ちょっと見まわしたぐらいでアドバイスできるものではないとも思ってました。

 この部分は何ら反論にもなっていない。単に経緯を述べているに過ぎない。

 >DMATのチーフのドクターと話をして、そうすると「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし、お前は感染の仕事だろう、感染の仕事やるべきだ」という風に助言をいただきました。

これ事実です。岩田先生は、これで自分は感染対策についての活動ができるようになったと理解されました。ただ、船には、DMATのみならず、厚労省も、自衛隊も、何より船長をはじめとした船会社など、多くの意思決定プロセスがあります。その複雑さを理解されず、私との約束を反故にされました。せめて、私に電話で相談いただければ良かったんですが、そのまま感染対策のアドバイスを各方面に初めてしまわれたようです。

この部分は,岩田教授に根回しをしてほしいと言っているに過ぎず,何ら,指摘した問題点に対する反論にもなっていない。

 もちろん、岩田先生の感染症医としてのアドバイスは、おおむね妥当だったろうと思います。ただ、正しいだけでは組織は動きません。とくに、危機管理の最中にあっては、信頼されることが何より大切です。

この部分もむしろ,厚労省のオペレーションがまずいことを認めた上で,組織論を振りかざしているに過ぎず,厚労省の対応が指摘通り問題だったことをむしろ自認しているといえる。

 しかしながら、実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ・・・。

この部分は,我々は中を見ていないから何とも言えないわけではあるが,後述するとおり,厚生労働副大臣の自爆的ツイッターの投稿から明らかに素人目からして,隔離はできてないと判断できると思う。ゾーニングの定義がわからないが,密閉できるような状態ではないにしても,もっとビニールなどで覆うなどして,何らかの隔離というのはできないのかと素人の大多数の国民は思ったに違いない。

こんなことは初めての取り組みです。失敗がないわけがありません。それを隠蔽するようなことがあれば、それは協力してくださった乗客の皆さん、仕事を放棄しなかった乗員の方々、自衛隊の隊員さんたち、そして全国から参集してくれた医療従事者の方々を裏切ることになります。 

この部分も,現場で頑張っているという精神論的な論調であり,説得力がある事実は何も摘示されているとは思えない。むしろ,岩田教授が告発して初めて多くの国民に,命の危険にさらされている乗客,乗員,医療従事者の現状が明るみになったのであって,隠ぺいしていないとしても,情報を積極的に開示してこなかった厚生労働省の責任は極めて重いのではないだろうか。アメリカ政府(CDC)も日本の対応は不十分であり,帰国者を更に14日間隔離すると表明している。厚労省は,アメリカ政府が日本の施策が明白に失敗したという烙印を突き付けていることに気が付くべきであろう。

私の米国時代の友人は,米国政府の中枢におり,この問題に対して非常に強い関心を持っているが,岩田教授の告発ビデオと共に後述の橋本厚生労働副大臣が投稿して,慌てて削除した写真を共有したところ,閉口していた。

結局のところ,高山氏の反論投稿を読んでも,何ら厚労省の対応に対する危機感は変わらないと感じた人が大多数なのではなかろうか。この反論のあらゆるところに人格攻撃的な文言が散らばめられており,かつ,そこを大々的に政府の側も突いた反論をしていたが,この反論からは日本政府がおかしな政治主導を振りかざし,無責任に場当たり的な対応しかしていないのが問題であるということを追認すらしているものの,何ら岩田氏の指摘に対する反論にはなっていないといえるだろう。

さらに言えば,岩田教授は、現場の人を批判してるのではなく,そのようなオペレーションをさせてしまっている体制を批判してるのであって,「一致団結していかなければ 」などと精神論をしている場合ではない。真正面から批判を受け止め,どう改善すべきか指示を仰げば良いのではないか。なぜそれができないのであろうか。多くの国民や海外の人がそう思ったからこそ,岩田教授の告発に多くの国民と海外メディアが共感しているのだと思う。

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