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令和の大本営発表

友人のOとメールをしていると、彼が呆れていた。今回のコロナちゃん問題である。「台風や大雨ではあれだけ脅かすのに、今回は心配することない大丈夫やとか散々言われて、挙げ句の果てに恐怖のクルーズ船やら屋形船を見せつけられる」というわけだ。

思うに、台風や大雨の心配は自然災害であるから政府の預かり知らぬところ。災害なんて起こりそうにないと安心させておいて、思いの外の大きな被害が出れば、それは政府の責任になる。だからオーバーに言っておくのが政府の保身的な立場として正しい。

コロナちゃんが日本にやってくるのを防ぐのは、政府としての重要な役割。だから、「完璧に対策ができるはずはない」、「ひょっとして大量の罹患者が出ることを否定できない」なんて本音を言おうものならマスコミの袋叩きに遭う。それよりは「完璧に考えられるだけの対策をした」、「だから安心していい」と言うのが政府の保身的な立場として正しい。

今回の厚労省は以上の基本に忠実だったわけである。コロナちゃんへの本来の対策として、基本に忠実だったかどうかは分からないが。

で、その対策、神戸大学の専門家が杜撰さを指摘した。政府は反論しているが、正面からの反論とは思えない。つまり、言い訳めいている。僕は専門家ではないのでこの議論に参加しないが、何回も書くように、厚労省としての危機管理体制がなかったか、あったとしても抜けが多かったように思えてならない。

最初に書いたOのメールで思い出したのが内閣府の経済動向の判断である。1月22日の「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」議事録を見ると、日本経済の先行きに関して、「緩やかに回復している」との判断を据え置いている。経済指標などからして理解が難しい、そんな政府の判断だと言える。しかも、経済の先行きに関して、当時からコロナちゃんの悪い影響も懸念され始めていたことだし。

これは邪推かもしれないものの、政府は、消費税率引き上げが経済の足を引っ張ったと批判されるのを恐れているのかもしれない。僕は、消費税率引き上げそのものは仕方ないと思っているので、急ぎ付け加えておく。

政府の懸念に戻ると、コロナちゃんの影響で経済が悪化しているのを見極めた後、ようやく日本経済の「回復基調が停滞している」、もしくは「回復基調が後退している」と表明する予定かもしれない。つまり、消費税率引き上げが悪者ではなく、コロナちゃんが悪い、おかげで景気が悪くなったと、責任転嫁を試みようとしているのかも。そんな悪知恵に長けた者がいるように思えてならない。

要するに、経済に関して政府は悪くない、悪いのは外部環境だというスタンスである。生まれていないので知らないが、戦時中は大本営発表というのがあり、実態とは逆に、華々しい戦果を報じていたらしい。そこまでひどくはないものの、今の日本、政府からの情報は「令和の大本営発表」と言えるのではないか。もう少し謙虚な、もしくは客観的な報道がなされて然るべきだと思えてならない。

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