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入試で「まさかの不合格」となった人がその後も苦労するワケ

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入学試験では模試でA判定の人が「まさかの不合格」となることがある。なぜなのか。精神科医の和田秀樹氏は「頭がよく偏差値の高い人は、自分が犯したミスをしっかり省みない。同じように出世コースを歩んでいるビジネスパーソンでも、自己モニタリングの習慣がないために突然転落することがある」という——。

「A判定」の人が本番の試験で落ちてしまう理由

2月、私立大学や国公立大学の入学試験が連日実施されている。新型コロナウイルスの市中感染の危険性が高まる中での入試は、受験生にとって例年以上の試練となっているだろう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/yopinco)

そもそも受験本番は何が起こるかわからない。必ずしもふだんの学力通りの結果が出るものではない。非常に高い学力で、模擬試験の合格判定でもA判定を連発するような受験生が不合格になることも珍しくない。

私は、医師や大学院の教授の傍ら、以前から東京大学の現役学生が通信教育で個別指導をする塾の監修をしている。その中で感じるのは、こうした「想定外の不合格」は、試験問題との相性の悪さや体調不良などよりも、ケアレスミスが致命的な原因となるということだ。

日本では、偏差値の近い者同士が同じ大学(学部)を受験する傾向が強い。よって実力伯仲となり、正解率の高い問題をミスしない者は合格し、ミスをする人間が不合格になることが多い。

読者の中にもうっかりミスで志望校へ行けなかった方がいるかもしれない。また、仕事でケアレスミスをした経験は誰にもあるだろう。そこで今回は、ケアレスミスの構造とその対策について論じてみたい。

原発の廃炉作業をする会社が実施する「ヒヤリ・ハット対策」

「ミス対策」というと受験の世界には依然、上から目線で生徒たちに「気をつけろ」「見直しをきちんとしろ」とおおざっぱなアドバイスをする教師や講師がいる。一般のビジネス社会と異なり、学校や予備校・塾は閉じられた世界であり、だからそんな物言いが通じるのかもしれない。

私は、医療者としての仕事の一環で、原子力発電所の廃炉作業をしている会社の産業医も務めている。その関係で毎月、同社の安全委員会に出席している。

ちょっとしたミスも許されない原発の作業現場における最も効果的なミス対策は、いわゆるヒヤリ・ハットや些細(ささい)な事故をしっかりと報告するということだ。ヒヤリ・ハットとは、大きな災害や事故とはならなかったものの、そうなってもおかしくない事例のことをいう。

この事例をなるべく全員で共有することが重大事例を防ぐことにつながる。この認識のもと、委員会ですべてを報告し、委員間で共有した上で従業員にも伝えることになっている。

1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の
ヒヤリ・ハットが存在する
※写真はイメージです

これは労働災害の分野でよく知られている「ハインリッヒの法則」である。同社でもこれに基づいて、ヒヤリ・ハット事例を報告することが重大事故を防ぐという考えを徹底させているのだ。こうした姿勢・取り組みを、受験生や仕事場に応用するのは有効だと思う。

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