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武富士の利息取り過ぎは社長個人の不法行為になる

ちょっと前の報道だが、消費者法的には重要な判決があった。

横浜地判平成24年7月17日
毎日:過払い金:「武富士」元社長側に賠償命令 横浜地裁

これは過払い金の返済を求めることができなくなった元借主が、武富士元社長を被告として、正規の利息としてとれないことを知りながら取り立てたことを不法行為として賠償を求めたというものである。
「元社長は顧客に対する貸金残高が、正規の利率とは大きく異なっている可能性が高いことを十分認識していた」との理由で、裁判所は2007年以降に受け取った超過利息の分の賠償を命じた。

さて、悪質な事業者は、法的に有効ではない取引でもとにかく金銭を取り立てることにより、後日司法判断などで返還せよと命じても応じず、強制執行しようにも会社は既に倒産して無くなっているといったケースが多い。
武富士がこの種の悪質事業者かというと、ちょっと違う気もするのだが、ともあれ結果的には典型的な倒産で責任を免れようとする悪質事業者のパターンである。

この場合に、大株主オーナーや経営者の責任を追及しようにも、有限責任の壁に阻まれて困難な場合が多い。
上記の判決は、元社長の個人の不法行為として、不当な利得の強制剥奪を可能にしたものとして重要である。

この報道では不法行為とされているが、実は会社法には取締役の第三者に対する責任を認めた規定が存在する。

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条  役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

そして、この条文のもとで取締役の責任を認めた事例は結構多数に上る。
例えば未公開株の詐欺的譲渡に関して、未公開株取得の勧誘をした会社とその役員個人に連帯して損害賠償を命じたのが東京地判平成24年1月25日(WLJ)。
同じく未公開株譲渡について、勧誘した会社に加担したとして、当該会社とその取締役が連帯して損害賠償を支払えと命じられた東京高判平成23年9月14日(金商 1377号16頁)。
同じく未公開株譲渡について、当該会社自身とその取締役が虚偽の説明をして買わせたとして賠償を命じた東京地判平成23年8月26日(WLJ)。

そういうわけで、悪質な事業者が、会社をたたんで逃げようとしても、その取締役の個人責任を追及する道があり、取締役個人がさらに財産を隠匿したような場合には、その徹底追及手段が必要になる。

実は、この個人責任追及のための財産捜索が、日本の民事訴訟・民事執行制度の最大の難点の一つとなっている。
悪質事業者から不当な収益を剥奪し、被害を受けた消費者の被害回復を実現するということは、さらなる消費者被害の抑止にもつながるし、公益に資することはいうまでもない。そのための法的手段・財産開示手段を充実させることが、今、課題となっている。

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