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- 2020年02月18日 11:27
『時間とテクノロジー』雑感、それと自由のゆくえ
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時間とテクノロジー
- 作者:佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2019/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
近未来が、この本に書いてあるとおりになるかはわからない。それでも、「テクノロジーの進歩によって人間の世界の捉え方が変わる」というテーマの大筋は間違っていないだろうし、いくつかの具体例には説得力を感じた。
たとえばレコードを買っていた時代からストリーミング配信の時代に変わったことで音楽の受け止め方が変わり、「古い時代の曲も新しい時代の曲も懐かさを伴わなくなる」というのはわかる話だ。また、デジタル録画が鮮明になればなるほど、鮮明すぎる過去の録画から郷愁を感じとることは難しくなる。
過去のコンテンツも未来のコンテンツも等しいクオリティで体験できる時代では、どの音楽やコンテンツが古くて新しいのかはっきりしない。
これに近いことを、私はコンピュータゲームの分野で感じる。
たとえば私は『ドラゴンクエスト3』や『ディアブロ2』を懐かしいゲームと感じる。ところが配信サービスやアーカイブをとおして新旧のゲームにアクセスする私の子どもは、switch版の『ドラゴンクエストビルダーズ』と同時にファミコン版の『ドラゴンクエスト3』を知るから、後者に古さを実感していない。『ディアブロ2』にしてもそうで、2019年サービス開始の『ラグナロクマスターズ』を遊んだ後に『ディアブロ2』に触れているから、むしろ『ディアブロ2』に新しさすら感じている。
「古いハードウェアのゲームBGM=古い」という感覚も子どもには無い。ファミコンの音源で奏でられる『ドラゴンクエスト3』のアレフガルドのBGMは、古いものでも懐かしいものでもない。新しいものですら……ないのかもしれない。とにかく、新旧のコンテンツに対する感性が私と子どもではかなり違っている。
佐々木さんは、こうした変化がコンテンツだけに留まらないと指摘する。たとえばVRや自動運転がすっかり当たり前になり、それこそ『PSYCHOーPASS』で描かれる世界のように服装*1や部屋のインテリアまでもがAIにリコメンドされ、体験される時代になったら、体験の真贋や体験の新旧はますますわからなくなり、そういったことに拘る世界観はなくなっていくだろう。
PSYCHO-PASSサイコパス 新編集版 Blu-ray BOX Smart Edition
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2019/04/17
- メディア: Blu-ray
グーテンベルクの銀河系―活字人間の形成
- 作者:マーシャル マクルーハン
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1986/02/21
- メディア: 単行本
では、メディアがテレビやPCやスマホから飛び出し、VRやARや自動運転の発展によって私たちの五感を覆いつくすようになった時、いったい何が起こるだろう? そういうことを考えたくなるのがこの本だ。
- シロクマ(はてなid;p_shirokuma)
- オタク精神科医がメディアや社会についての分析を語る



