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- 2020年02月18日 11:51
【香川ゲーム規制条例】「ゲームは1日60分」で物議醸す日本、学校でのスマホ使用を違法にしたフランスでは何が起きた?
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18歳未満の子どものゲームの使用を平日は60分、休日は90分に制限する――。
香川県議会が、今年1月に子どものゲーム依存症対策として示した、「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」の素案が物議を醸している――。今後、2月の定例県議会に条例案が提出される予定だ。ネットなどでは賛否両論の声が上がり、「子どもと、ゲームやスマートフォンとの付き合い方」を見直す機会にもなっているのではないだろうか。

一方で、筆者が暮らすフランスでは、小中学校でスマートフォンの使用が法律で禁止されている。特にスマートフォンに関しては、10代の所有率が急速に伸びると同時に、「オンライン上のいじめ」、「授業中の集中力の低下」などの関係性が、教育の現場などでも課題として上げられている。
デジタル機器と子どもの関係性の現状を、フランスから探った。
そんなフランスで、スマホ依存対策として2018年9月から小中学校でスマホの使用が全面禁止となった。もともと授業中の使用は2010年から禁止されていたが、新法では校庭や食堂などを含む、校内全域で使用が規制されるようになった。国民教育省によると、この法律を生徒が破った場合、罰則は各学校が定め、宿題の追加、機器の没収などが行われるという。
これはマクロン大統領の選挙公約の1つでもあり、国民教育相のジャンミッシェル・ブランケ―ル氏は「21世紀の法律」だと言及している。
一方で、この新法が制定されるにあたり、賛否両論の声が上がった。集中力上昇などの子どもへのプラスの効果を期待する声がある一方で、反対意見として、教師が子どもの私物を取り上げる権利がないとする声や、携帯電話が広く浸透している今の時代に実効性があるのかなど懐疑的な意見も上がった。しかし、既に学校によっては携帯電話の使用禁止を早い段階で行っているところもあり、そのような学校の成功例もメディアなどで度々取り上げられていた。
そんななか、2018年7月末にフランス国民議会で62対1の賛成多数でこの法律が可決し、同年9月からスマホ規制が開始した。
”校庭”や”食堂”などでスマホが使用できなくなったことで、一体何が変わったのか。パリ郊外イブリーヌ県の閑静な住宅街にある中学校を訪れ、教員のアストリッド・ベコフ氏に話をうかがった。
――校内での携帯電話の普及率はどの程度でしょうか。
当校には10歳~15歳までの約920名の生徒がいます。ここ3~4年間で携帯電話の普及が急速に進み、現在では約90%以上の生徒が携帯電話を所有しています。大多数の生徒がスマートフォンを使用し、複数台所有する生徒も珍しくはありません。
――スマホ規制が実施されてから約1年半が経ちます。どのような変化がありましたか。
生徒たちが、“現実の世界で”もっとコミュニケーションをとるようになりました。
以前は、お昼休みになると生徒たちは校庭の隅っこに座り込み、各個人がスマホと睨めっこをして動画の鑑賞や、ゲームをしていました。その光景は、子ども本来の快活さが感じられず、悲惨でした。しかし、スマホが学校全域で禁止になってからは、以前のように校庭で追いかけっこをしたり、輪になって談笑やカード遊びをする姿が見られるようになり、教師一同喜んでいます。
また、オンライン上のいじめも少し減少しました。校内で友達の恥ずかしい姿を盗撮しその写真をSNSに投稿するといった、嫌がらせ行為が問題となっていました。しかし、スマホが規制されて以降、学校の敷地内でこのような盗撮が行われたケースは今のところ見つかっていません。
――規制に反し、校内でスマホを生徒が使用した場合、どのような措置をとっていますか。
生徒たちは学校にスマホを持ち込むことは許可されていますが、電源を切り、かばんの中にしまっておかなければいけません。もし、このルールを破った場合、教師はスマホを没収して校長に渡し、保護者が取りに来るまで携帯電話を返却しません。
――過剰なスマホやゲームの使用は、子どもにどのような影響を及ぼしますか。
生徒たちは既に11歳頃から、危険なインターネットの使い方をしています。例えば、ポルノ中毒の生徒もいて、スマホ規制が実施されるまでは、お昼休憩に食堂でポルノ動画を見ている生徒もいました。
また、家で長時間ゲームをすることも問題です。当校にも、深夜1時頃までゲームをし、学校に来ても授業に集中ができない生徒がいます。そして、これらの生徒はゲーム仲間以外の友達との関係にもあまり興味を持たず、孤立している印象を受けます。
また、全体的に、最近の生徒たちの態度は受け身になったと感じています。
――正しいSNSやスマートフォンの使用方法に関し、保護者や生徒たちに啓発活動はしていますか。
多くの保護者が、子どものスマホ使用の管理をしていません。そのためPTAが保護者向けの講習会を開き、子どものスマホ使用に潜む危険性について啓発をしています。その後、親同士が積極的に対策について話し合います。
また、子どもに対しては、警察と提携しスマホの安全な使用方法を教える授業を設けています。
香川県議会が、今年1月に子どものゲーム依存症対策として示した、「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」の素案が物議を醸している――。今後、2月の定例県議会に条例案が提出される予定だ。ネットなどでは賛否両論の声が上がり、「子どもと、ゲームやスマートフォンとの付き合い方」を見直す機会にもなっているのではないだろうか。

写真AC
デジタル機器と子どもの関係性の現状を、フランスから探った。
学校でスマホを使用すると没収や宿題の追加の罰則
フランスでは、2016年の段階で12歳~19歳の93%が携帯電話を所有している。さらに、Médiamétrie社(視聴者マーケット調査会社)によると、15歳~24歳の若者は1日平均58分スマホを使用するという(筆者注:平成30年度の日本の中学生のインターネット平均利用時間は約164分、高校生は約217分)。そんなフランスで、スマホ依存対策として2018年9月から小中学校でスマホの使用が全面禁止となった。もともと授業中の使用は2010年から禁止されていたが、新法では校庭や食堂などを含む、校内全域で使用が規制されるようになった。国民教育省によると、この法律を生徒が破った場合、罰則は各学校が定め、宿題の追加、機器の没収などが行われるという。
これはマクロン大統領の選挙公約の1つでもあり、国民教育相のジャンミッシェル・ブランケ―ル氏は「21世紀の法律」だと言及している。
一方で、この新法が制定されるにあたり、賛否両論の声が上がった。集中力上昇などの子どもへのプラスの効果を期待する声がある一方で、反対意見として、教師が子どもの私物を取り上げる権利がないとする声や、携帯電話が広く浸透している今の時代に実効性があるのかなど懐疑的な意見も上がった。しかし、既に学校によっては携帯電話の使用禁止を早い段階で行っているところもあり、そのような学校の成功例もメディアなどで度々取り上げられていた。
そんななか、2018年7月末にフランス国民議会で62対1の賛成多数でこの法律が可決し、同年9月からスマホ規制が開始した。
”校庭”や”食堂”などでスマホが使用できなくなったことで、一体何が変わったのか。パリ郊外イブリーヌ県の閑静な住宅街にある中学校を訪れ、教員のアストリッド・ベコフ氏に話をうかがった。
――校内での携帯電話の普及率はどの程度でしょうか。
当校には10歳~15歳までの約920名の生徒がいます。ここ3~4年間で携帯電話の普及が急速に進み、現在では約90%以上の生徒が携帯電話を所有しています。大多数の生徒がスマートフォンを使用し、複数台所有する生徒も珍しくはありません。
――スマホ規制が実施されてから約1年半が経ちます。どのような変化がありましたか。
生徒たちが、“現実の世界で”もっとコミュニケーションをとるようになりました。
以前は、お昼休みになると生徒たちは校庭の隅っこに座り込み、各個人がスマホと睨めっこをして動画の鑑賞や、ゲームをしていました。その光景は、子ども本来の快活さが感じられず、悲惨でした。しかし、スマホが学校全域で禁止になってからは、以前のように校庭で追いかけっこをしたり、輪になって談笑やカード遊びをする姿が見られるようになり、教師一同喜んでいます。
また、オンライン上のいじめも少し減少しました。校内で友達の恥ずかしい姿を盗撮しその写真をSNSに投稿するといった、嫌がらせ行為が問題となっていました。しかし、スマホが規制されて以降、学校の敷地内でこのような盗撮が行われたケースは今のところ見つかっていません。
――規制に反し、校内でスマホを生徒が使用した場合、どのような措置をとっていますか。
生徒たちは学校にスマホを持ち込むことは許可されていますが、電源を切り、かばんの中にしまっておかなければいけません。もし、このルールを破った場合、教師はスマホを没収して校長に渡し、保護者が取りに来るまで携帯電話を返却しません。
――過剰なスマホやゲームの使用は、子どもにどのような影響を及ぼしますか。
生徒たちは既に11歳頃から、危険なインターネットの使い方をしています。例えば、ポルノ中毒の生徒もいて、スマホ規制が実施されるまでは、お昼休憩に食堂でポルノ動画を見ている生徒もいました。
また、家で長時間ゲームをすることも問題です。当校にも、深夜1時頃までゲームをし、学校に来ても授業に集中ができない生徒がいます。そして、これらの生徒はゲーム仲間以外の友達との関係にもあまり興味を持たず、孤立している印象を受けます。
また、全体的に、最近の生徒たちの態度は受け身になったと感じています。
――正しいSNSやスマートフォンの使用方法に関し、保護者や生徒たちに啓発活動はしていますか。
多くの保護者が、子どものスマホ使用の管理をしていません。そのためPTAが保護者向けの講習会を開き、子どものスマホ使用に潜む危険性について啓発をしています。その後、親同士が積極的に対策について話し合います。
また、子どもに対しては、警察と提携しスマホの安全な使用方法を教える授業を設けています。
- Ayana Nishikawa(西川彩奈)
- 在仏ジャーナリスト



