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感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(13)具体的症状のデータが不可欠

 新型コロナウイルスの感染について、厚労省は、今日2月17日、診療の目安となる指針を発表したが、もう少し症状のデータがほしい。

 2009年の新型インフルエンザのとき、水際作戦については、全く意味がないという批判も展開されたが、これはあくまでも時間稼ぎであり、水際作戦3週間の間に感染者の状況を把握したり、発熱外来などの医療機関の現場の整備を見直したりすることができたのである。

 しかし、国内最初の感染者は海外渡航歴もない者であり、感染経路も特定できなかった。そのこともまた、水際作戦不要論の根拠付けとなった。

 ただ、行政の責任者の立場から見ると、もし仮に検疫などの努力をしなければ、国民からは、「なぜ水際で食い止める努力をしないのか」という批判が起こることは必定であり、国民の心理的不安は増幅されたと思う。要は、人的資源の最適な配分を考えながら、様々な対策を総合的に行うということに尽きるであろう。

 学校の一斉休校は、生徒達が濃厚に接触する確立が高いので、大きな効果がある。感染者が出たら、一気に休校にして感染拡大を防ぐことは極めて大事である。しかし、感染が拡大したら、通常の季節性インフルエンザと同様な対応に変えて、都市機能を維持しながら、患者の重症化を阻止することに努めるべきである。

 新型インフルエンザは、人類にとって全く初体験、いわば「未知との遭遇」であるからこそ、患者の臨床情報を積み重ね、きちんと分析していくことが重要である。その作業の上に、新たなる、そして的確な対応策が打ち出せるのである。

 とくに日本の場合、諸外国に比べて、国民の協力が得やすいこと、そして何よりも情報の精度が高いことが強みである。日本の臨床情報の解析は、国際的にも大きな貢献となる。

 神戸市の感染について、国立感染症研究所と神戸市保健所によって5月19日までに43例の患者の臨床調査結果がでたので、20日の夕方に私が記者会見して国民に知らせた。患者の中央値が17歳(5〜44歳)で、ほとんどが10代後半、中学・高校生、とくに高校生に多い。男性が19例、女性が24例で男女比1:1.13である。

 主な症状としては、38度以上の高熱が約90%、60〜80%の患者に見られる症状としては、倦怠感、熱感、咳、咽頭痛があり、約半数の患者に見られるのが鼻汁・鼻づまり、頭痛である。

 そして、嘔吐や下痢が約10%、結膜炎が7%である。43例中39例がインフルエンザウイルス薬の投薬をうけていた(タミフル19例、リレンザ20例)。

 入院については、「患者の大半は入院を要する臨床状況ではなかったし、「人工呼吸器での治療を必要とするような重症患者は無く、死亡例も発生していない」。

 これらを総合すると、「季節性インフルエンザウイルスと臨床像は類似して」いるということになる。

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