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会計不正事件の王道「架空循環取引」は増えることはあっても、減ることはない

2月14日、東芝は連結子会社の東芝ITサービスなど複数のIT(情報技術)企業が関与した架空取引についての調査結果を公表しました。これに先立ち、2月13日に、従業員が同取引を主導したとされるネットワンシステムズが、特別調査委員会の中間報告書を公表しましたので、こちらの報告書を一読いたしました。

まず、取引に関与していたいずれの会社においても、国税によって取引の疑義を指摘されるまで、架空循環取引が行われていたこと(取引に関与していたこと)は知らなかった(わからなかった)と発表しています。さらに、会計不正事件を起こさないために、徹底的に内部統制システムを見直しておられたネットワンシステムズでさえ、5年以上にわたる架空循環取引を発見できなかったのですから、多くの上場会社において架空循環取引を許容する環境が構造的に存在しているのであり、今現在でも、多くの会社で架空循環取引が繰り返されていることは間違いないでしょう。

これは私の経験からですが、日本企業において、架空循環取引は今後増えることはあっても、減ることはないと思います。商品・サービスの現実的な移転を伴わないが、経済的合理性はあるとされている商流(商慣行上の介入取引)はいくらでもあります(カネボウ事件の「備蓄取引」、IXI事件の「紹介取引」、福岡魚市場事件の「ダム取引」等)。今回のネットワンシステムズの事例でも経済的な合理性のある取引(商流取引)と架空取引との境界線はあいまいです。

平成25年の「監査における不正リスク対応基準」の開発の際、会計監査人による取引先へのヒアリングの可能性が議論されましたが(結局、「取引先監査人との連携」が審議されたところ、多くの問題があるとして「継続審議」とされましたが)、取引先担当者も協力、関与することが架空循環取引の特色となりますと、もはや一企業の社内調査で発見することは困難です。

そして、私が「架空循環取引はなくならない」と考える最大の理由は「営業社員への会社の評価方法」です。架空循環取引を主導する営業社員は、いずれの事件でもチームリーダーだったり、各グループ会社、各部門、各支店の売上に多大な貢献を残してきた人が多いのです。では、なぜ彼らは結果を残し、会社から評価をされてきたのか・・・。

私事ではありますが、近日、架空循環取引が発生する根本原因の解明と、これを前提とした再発防止策・早期発見策について、某会計専門誌に論稿を掲載する予定です。詳しくはそこで述べますが、上場会社が「架空循環取引」の防止、もしくは早期発見を本気で検討するのであれば、日本企業が直視したくない「不都合な真実」に真剣に向き合う必要があると考えます。そうでなければ、いつまでたっても第三者委員会報告書に出てくるような「上司のプレッシャー」だとか「内部監視機能の不全」だとか「売上至上主義の体質」といったお決まりの発生原因への対策でお茶を濁すだけで終わってしまうように感じます。

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