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女芸人『THE W』レベルアップの背景にあった“芸人ファースト”の改革

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●決勝スタジオを劇場に近い環境に

『THE W 2019』決勝戦のスタジオセット

このライブの立ち上げのほかにも、『THE W』では、知られざる“改革”を次々に行っていた。事務所へのヒアリングや、懇親会で芸人たちの要望を聞き、決勝のスタジオセットを大きく変更している。

「それまでは、わりと“テレビのセット”という感じだったんですが、(第1回・第2回スタジオゲスト、第3回審査員の)ヒロミさんから『舞台がお客さんから離れすぎてるからやりにくいんじゃないか』と言われて、芸人さんたちにも話を聞くと、やっぱりネタをするには劇場のような形が一番良いという意見だったんです。そこで、どこの劇場がいいのかというのを芸人さんたちにアンケートすると、CBGKシブゲキ!!(東京・渋谷)の名前が一番出てきたので、スタッフが見に行き、それを参考にしてセットを組みました」

カメラもすべて客席の後ろから撮るようにした結果、「スタジオ内がギュッとした感じで、お客さんの笑いが反響する感じがして、芸人さんからも『やりやすかった』と評判でした」と狙い通りにいった。

「前の年が特にそうだったんですが、準決勝はもうちょっとウケてたのに、決勝でそこまで弾けない感じがあったんです。それは、芸人さんが決勝だと緊張してしまい、それが客席に伝わってしまったり、ネタを置きにいったりしてしまったんですね。だからいつもネタを披露している環境を作りたいと思ったんです」と話すように、予選から準決勝はすべて劇場で行っていることから、その感覚のまま決勝も戦えるようになった。

『THE W 2019』のファイナリストら

■客層や控室も改善

しかし、準決勝と決勝では、“客層”に大きな違いが出てしまう。準決勝はチケットを購入して劇場に足を運びに来る男性客が多いが、決勝はテレビ番組の観覧募集で女性客が多いためだ。そこで、準決勝の観客の一部を『THE W』の番組として招待することで、決勝のスタジオに近い客層を前にしてネタが披露できる環境を整えた。

決勝本番の緊張感の緩和のためには、控室の割り当ても変更した。「以前まで、1stステージはタイマン形式だったので、緊張感を保つために、対戦相手と楽屋はもちろん、エレベーターも別にして、スタジオまで一切会わないような形にしていたんです。ただ、もうちょっと和気あいあいの雰囲気のほうが実力を発揮しやすいという声もあって、控室を大部屋にしてファイナリストが顔を合わせるようにしました」。

●視聴者投票にも公平性担保のシステム構築

また、審査方法も大きくリニューアルした。それまでは一般公募の約400人がそれぞれ1票を投じていたが、今回はプロの審査員6人(1人1票)+データ放送からの視聴者投票(1票)という方式に変更。それは「芸人さんに聞くと、『勝っても負けても、その理由が知りたい』という声があったんです。説得力のあるお笑いのプロの方が選んでくれて、アドバイスが聞けると、次につながるし、納得感があるという話が結構あったんです」ということで、プロ中心の審査に移行した。

一方で、視聴者投票も番組を楽しむツールとして重要であることから、1票ながら継続。だがこれが、ただの投票システムではなかった。

今回の『THE W』は、AブロックとBブロックに分かれ、それぞれのブロックにおいて勝ち抜き方式で最終決戦進出者を決めるため、対戦する2組のネタを比較して面白いと思った方に投票するのが筋だ。しかし、従来のデータ放送のシステムでは、片方だけ見ても投票することができ、人気投票に陥ってしまう恐れがあった。それを防ぐため、両方のネタを見ていないと、投票できてもカウントされないというシステムを作り上げたのだ。

ネタ中に何回か信号を送り、それを獲得した視聴者でないと投票が反映されないという仕組み。この『THE W』で初めて導入された技術だというが、ここまで公平であることにこだわるのは「芸人さんが納得できるものでないと出たくないだろうし、それによって出場者が増えるとレベルが上っていくと思うんです」との考えからだという。

■さらなるブラッシュアップに意欲

『THE W』のレベルアップは、日テレの様々な番組に寄与する。「『イッテQ』の温泉同好会がありますし、私がやっている『さんま御殿』では“女芸人くくり”の回も多いです。『THE W』演出の宮森(宏樹)がやってる『ウチのガヤがすみません!』でも、新しい女性芸人さんがどんどん出てくるのが望まれています」。

ここまで打ち出した改革はいずれも、参加芸人や所属事務所などと意見交換して出てきた声を反映させたもので、その姿勢はまさに“芸人ファースト”。「これからも、『ここが良かった』『あそこが悪かった』といった話を聞いて、どんどん改善していければ」と、大会のさらなるブラッシュアップに意欲を見せる。

従来の副賞は、芸人側が指名した好きな日テレ番組への合計視聴率100%分の出演権だったが、今回は日テレ側が出演番組を指定したことで、女王に輝いた3時のヒロインは優勝直後から一気にテレビ露出が増えた。初代女王のゆりやんレトリィバァ、2代目女王の阿佐ヶ谷姉妹に比べて“彗星のごとく現れた”印象が強いことも相まって、他局の番組にも次々と出演している。

そんな状況を見て、相当悔しがっているという準優勝のはなしょーのために「残念会をやったんです(笑)。ライブで3時のヒロインがネタを磨いたように、『次こそは』という気持ちで頑張ってもらいたいとお尻を叩きました(笑)」という宮本氏。芸人への愛があふれるスタッフだからこそ、今回の改革が実を結んだに違いない。

はなしょー

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