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英国でまたも「離脱騒動」  何が違う?日本の皇室と英の王室 その1

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意外に思われるかも知れないが、我が国の皇室も戦前は大地主で大株主であった。

もともと鎌倉時代に権力が武士の手に移って以降、皇室の暮らしは質素どころか貧しかった。世界遺産はもとより国宝に指定される宮殿さえないのが、ひとつの証拠である。上洛した戦国武将が同情して献金した例はいくつもある。

しかし、明治政府の礎を築いた元老の一人である岩倉具視は、徳川幕府の天領(直轄領)などの不動産、さらには横浜正金銀行(後に東京銀行。さらには合併により現在は三菱UFJ銀行)などの株式を皇室財産とした。

▲写真 岩倉具視
出典: Public domain

「日本の宮廷文化」があまり質素では諸外国に対して体裁がよくない、ということであったようだが、災害や戦争などで急に多額のカネが必要になった場合に、議会での予算措置を経ずとも、皇室財産で一時的にしのげるようにしておこう、との目論見もあったと考える人が多い。

郵政民営化の議論が盛り上がった頃、反対派の間から、緊急時に備えて郵貯マネーという「別の財布」が必要なのだという意見が繰り返し出たことをご記憶の向きも多いだろう。こういう発想は昔からあったのだ。

話を戻して、ヘンリー王子の「決断」に対して、当初は同情的な声も聞かれた。家族を大事に思うあまり王族の特権を捨てるというなら、それも「あり」だろう、というように。

しかし、前述のように生活を保障されたまま公務を放棄するのだということが知れ渡ると同時に、ブーイングの嵐となったのである。

▲写真 新年をお迎えになった皇室ご一家の近影
出典: 宮内庁ホームページ

日本の皇室はこの点、今では税金で維持されているので、たとえばプリンセスの結婚問題にもそれが影響する。私も個人的には、

「若い二人が幸せなら、それでいいじゃないか」

で済まされないのはお気の毒だと思うのだが、やはり日本国憲法の天皇条項に照らしても、また皇室の現実の立場から考えても、国民ひとしく祝福するような結婚でなければ……という意見のほうに理(ことわり)があるとせざるを得ないのである。

このプリンセスについても、皇籍離脱の可能性がささやかれているが、一見、「王族・皇族の立場より幸せな結婚生活を選ぶ」

こうhしという同じ選択肢に見えて、実態はまるで異なることが、ここまで読まれた方にはお分かりのことと思う。 

 近代日本の皇室は、様々な点で英国王室を手本にしてきたとされているが、実はそもそもの立ち位置が違う。今回のシリーズでは、その話題を掘り下げてみたい。

(続く)

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